オペレーティング・システムを提供する側の論理
7月25日(火)「Microsoft ON @ ITmediaオルタナティブ・ブログ」に参加して Windows Vista の説明を聴いた。なんで、「サン・マイクロシステムズのお前が?もしかしてスパイか?」などと楽しい勘ぐりをしていただきたいのだが、参加した理由はいくつかあります。
- サンはサーバ側の製品が多いが、クライアントの大部分が Windows であるので、その知識も当然必要になる。Windows XP の次期 OS なのだから勿論重要な技術要素である。
- .NET Framework 3.0 への移行に伴う Windows の変化に対して、相互互換性を保つ上でのヒントを入手。
- もちろん敵情視察!
知らない方が多いので、ついでに書かせていただくと、サンは、2005年度IAサーバの販売シェアが世界第6位でした。代表的なサンのIAサーバとしては Opteron を搭載した、Sun Fire X4200などがあります。
IAサーバなので、もちろんWindows 2000やWindows 2003 も稼動します。ちなみに現在、IAマシンで稼動するOSは、Windows、Linux、Solaris!です。SolarisはSPARCチップと同じものがIAチップの上で稼動します。2006年度はもっとサンのIAサーバを拡販しますので、シェアの順位を上げていきます。数年後にはIAサーバのシェア#1はサンなんて事になっているかも知れません (笑)。
SPARCチップのサーバは諦めるのかというと、その逆で、CoolThread T1 チップなどのスレッドの並列化などもっとすごいサーバが出てきます。サンの強みはIAサーバとSPARCサーバの両方持っていることです。サンの嫌いなことは独占。サンは常にオルタナティブ(代替案)を提供する事を考えています。
さて、Vistaの感想ですが、はっきり端的に言って、いい感じですね。まずコンセプトが良い(後付かもしれませんが)。
- Confident
- Clear
- Connected
の3つのコンセプトをもとに機能を統合している。
Confidentはセキュリティの強化、パフォーマンスの向上、Clearはユーザの体験向上(3D化や検索技術の向上など)、Connectedはモバイルやプロジェクタへの接続性の強化などなど。そして、これらを実現するサブシステムとして、
- Windows Presentation Foundation (グラフィックス系)
- Windows Communication Foundation (通信系)
- Windows Workflow Foundation (ワークフローが統一されるそうです)
がある。今回は、Windows Presentation Foundation を中心に説明があり、谷川氏のブログにあるようにまだあまり使われていないGPU(Graphic Processing Unit)の有効利用(といってもまだGPUを搭載しているPCは少ないので需要喚起にもなるねと、某ブロガ氏も言ってました)につながる。などなど。
敵情視察という観点からいうと、サーバOSでないので、Solaris 10 の機能に比べるのは無粋であり、Vienna待ちだと思います。ただ、Solaris 10 にも Desktop system があり、3D などは Java の Project Looking Glass に比較してまだまだだと思われます。ただし、GPUを使うというコンセプトは素晴らしい。(Project Looking Glass ダウンロード用バイナリ最新版日本語のWindows版はまだ出来ていません。出来上がったらまたご通知いたします。英語版はあります。)
ただし、マイクロソフトさんのすごいのはこういった数々の機能がオールインワンで入ってくることですね。いずれにせよ、オペレーティング・システムを提供するには、セキュリティ、パフォーマンス、使い勝手、管理のし易さ、など、基本的に使用者の資源を守り、かつ、生産性を向上させ、開発を容易にさせていかなければならないと思います。
Solarisは無償になり、かつ、オープンソースなので、その部分だけを取るとLinuxと変わりありませんが、Linuxと違うのは、こうしたオペレーティング・システムの基本機能以外に、重要な補完機能、補完製品を一貫したアーキテクチャと戦略、思想を持って構築できることだと思います。その点は、LinuxよりWindowsとSolarisが優位な点だと思います。