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プロフェッショナルのマジックナンバー

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「石の上にも3年」という言葉がある。3年は365日x3 = 1095日。休みを95日取ったとしても、約1000日。3年間修行をつめば、何かしら芽生えてくるという、ことわざだ。
 
1000というのは、プロフェッショナルになるためのマジックナンバーだ。1000回何かをやれば達人になる、という意味では決してない。やっと、プロとしてやって行くための何かをつかめる、という数だ。
 
9代目松本幸四郎をご存知だろうか。最近知恵の森文庫で「弁慶のカーテンコール」というエッセーの文庫本を出された。歌舞伎役者は知らないという人のためにあえて書くとすると、松たか子のお父さんである。または、「王様のレストラン」のギャルソン、千石武で覚えている人がいるかも知れない。本当は歌舞伎の大看板、高麗屋である。弟は「鬼平」の中村吉右衛門だ。
 
「弁慶のカーテンコール」の題は、9代目が勧進帳で800回目の弁慶を演じ、六方を踏んで終演となったが、拍手がなりやまない。歌舞伎ではカーテンコールなどないのだが、いつまでも拍手が続くので、9代目はついに弁慶の衣装のまま、汗も拭かずに舞台に飛び出してしまったという逸話からとられた。9代目松本幸四郎は市川染五郎のころから、ニューヨークやロンドンでミュージカル「王様と私」や「ラ・マンチャアの男」などの主役を勤めた世界的なミュージカル俳優でもあるから、カーテンコールはお手の物としても、歌舞伎の衣装を着たまま歌舞伎座でカーテンコールをしてしまったのは微笑ましい。
 
その「ラ・マンチャの男」も1000回の講演を33年目にして、ちょうど60歳還暦の歳に達成した。このときの心境をそのままここに記すると、

....このプロセスにおいて、義太夫でいう「肝」つまり役の内面からにじみ出るものを表現するとか、仏教の「勤行」に通じるような、心の誠を尽くすという意味あいが加わり、役と役者の間に、ある種不可分な関係が成立する。これが「役を勤める」の意味なのだと気付いた。
 「セルバンテス=ドン・キホーテ」と役者幸四郎は、33年という時間と空間を共有し、ようやく「役を勤める」関係になったのだと思う。

そして、61年目の人生をかなりワクワクしながら踏み出しているのである。
 
1000という数字は結局のところ、通過点に過ぎないが、重要な目標である。営業であれば、1000人のお客様と会う、1000回提案書を出す(これはきつい)、プログラマーなら1000本プログラムを書く。広報であれば1000本プレスリリースを書く(これもきつい!)、記者であれば原稿を1000回書くなどなど。その道のプロになるなら、まずは、何を1000回行うか、明確に目標を定め、突き進もう。

えっ、そういうお前は偉そうに、何なんだって?プログラマーとしては、プログラムはPL/I 800本アセンブラが50本で、残念ながら1000本には到達しませんでした。でも、プログラムの感覚はちょっと覚えましたね。製品管理のしごとは、責任あるプロダクトマネージャとして15年勤めましたので、許してください。いまは、新しく製品やソリューションのプロモーションかつエバンジェリストとして、第3の夢、実現のため努力中です、はい。目標は教えません。

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