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ITの技術や方向性考え方について別の選択肢を追求します

革新が起こるとき

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CMTという技術がある。「Chip Multi-Threading」つまり、CPU上で複数のスレッドを走らせる技術だ。場合によっては、CMP「Chip-level Multiprocessing」とも呼ばれている。インテル社やAMD社の最新のチップはCMT技術を用いている。IntelMacと呼ばれている、Intel Core Duoなどを搭載したMacBook Proなどがある。

サンでもCMT技術を使った、「CoolThread T1」チップを搭載した、「Sun Fire T1000 / T2000」というサーバ機を販売している。この「CoolThread T1」チップは、8コアで1コアあたり4スレッドなので、最大32スレッドが1チップ上で実行できる。現在、CMTの中で最大のスレッド数である。また、このスレッドの数を倍の64スレッドに拡張する「CoolThread T2」チップの設計も完了し、2007年後半には市場投入する予定だ。

Sunfiret2000  

 

Sun Fire T2000

Ultrasparc_t1 

 
 


UltraSPARC T1 

各社CMT化を推進しているにはそれぞれの理由があるが、サンの場合、エコロジーの問題を数年前から真剣に検討していた。チップの集積度が高くなりすぎて、使用する電力量や発熱量(空調設備の増大)が無視できないまでになってきた。これを是正するには、集積度はほどほどに、つまりクロックスピードのみを追求するのではなく、並列化を考え、スループットを上げたほうがよい、とする設計思想に切り替えた。

そしてスループットでは、他の追随を許さないほど大きく差をつけて「SunFire T1000 / T2000」が誕生した。結果はSPECWeb2005に集約される。これは大きな革新であったな、tと感じている。この結果にでているように、単にCMT技術だからスループットが高いのではなく、OSのSolaris、WebサーバのSun Java System Web Serverなど、CMTに適したソフトウェアの採用も重要である。

同じことが1990年にあった。そのころ、IBMのメインフレームはバイポーラと呼ばれるCMOSではない技術を使ったチップであった。技術革新の結果、バイポーラの集積度が上がりすぎ、それまでもIBMのメインフレームは水冷だったが、その水冷技術だけでは抑えきれないほどの高熱になってしまうことがわかっていた。スピードは下がるがCMOSを使って発熱量を抑え、製造コストを低くするとともに、並列技術を使ってスループットを上げることに方針を変更したのだ。このときもOSやミドルウェアがこの並列処理をうまく利用したことにより、優れたスループットを実現した。

スピードを下げることには、戸惑いもあるかも知れないが、すでに利用するのにまったく遜色ないクロック数であり、並列処理をチップだけでなくシステム全体で実現することにより、まったく異なるレベルのコンピューティング環境が実現できるのだ。

以上は宣伝のつもりではなく、革新が起こるときは技術的にはまったく異なるアプローチを取るものなのだと実感していることを書きたかったのです。

ここからはちょっと宣伝。サンではCTC、NECと協業して、SunFire T2000の60日間トライ&バイのプログラムを実施中です。6月30日までなので計画を立てて使ってみてください。

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