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安全‧安⼼で強靱なデジタル基盤の実現

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デジタル庁の設立から2年が経過し、デジタル庁では2023年8月31日、2022年9月から2023年8月までの活動の報告書となる「デジタル庁年次報告書」を公表しました。

成果と進捗では、5つのから取組を紹介しています。

・デジタル庁の活動⽅針⽣活者
・事業者‧職員にやさしいサービスの提供
・デジタル基盤の整備による成⻑戦略の推進
・安全‧安⼼で強靱なデジタル基盤の実現
・デジタル庁の組織づくり

この中で、「安全‧安⼼で強靱なデジタル基盤の実現」を取り上げたいと思います。

安全‧安⼼で強靱なデジタル基盤の実現

安全‧安⼼で強靱なデジタル基盤の実現」 は以下の4つです。

•ガバメントソリューションサービス(GSS)
•ガバメントクラウド
•国際戦略
• AI

ガバメントソリューションサービス(GSS)では、デジタルで⾏政機関の働く環境を変⾰していくために、⾏政機関の職員の⽣産性やセキュリティの向上を図り柔軟に働けるよう、最新のセキュリティ技術を採⽤した政府共通の標準的な業務実施環境を提供しています。

ガバメントソリューションサービス(GSS)

スクリーンショット 2023-09-08 13.29.10.png

出典:デジタル庁 デジタル庁年次報告書 2023.8.31

1年の成果‧進捗
各府省庁のGSS移⾏を更に推進⾏政機関の働きやすい業務環境を提供

2020年度においてデジタル庁職員に対して提供を開始したガバメントソリューションサービス(GSS)について、各府省庁への導⼊を推進しています。

•⼈事院2022年8⽉
•農林⽔産省本省2022年10⽉
•個⼈情報保護委員会 2022年11⽉
•こども家庭庁2023年4⽉

などの各省庁への導⼊を⾏っており、デジタル庁を含む移⾏済府省庁において安定稼働を実現しているとしています。各府省庁においてもGSSを活⽤して、これまで以上に働きやすい業務環境の実現が進められているとしています。

取組の背景には、新型コロナウイルス感染拡⼤を契機に、リモートワーク等のデジタル化が加速。⾏政機関ごとに整備してきたLANシステム及びネットワーク環境では、組織間連携が困難であるなど、課題があったためとしています。

今後の展開(予定)
•各府省庁のGSS移⾏を更に推進※以下導⼊予定
o宮内庁2023年9⽉
o内閣府(内閣官房及び復興庁)2024年1⽉
o消費者庁2024年1⽉
oカジノ管理委員会 2024年4⽉
•その他府省庁も協議進⾏中

ガバメントクラウド

ガバメントクラウドでは、⾏政機関が利⽤できる安全性が⾼く便利で効率的なクラウドサービスの仕組みを整備しています。

出典:デジタル庁 デジタル庁年次報告書 2023.8.31

1年の成果‧進捗
各府省庁と地⽅公共団体でガバメントクラウドの本格利⽤を開始

各府省と地⽅公共団体、準公共分野への技術的な⽀援を進め、ガバメントクラウドの本格利⽤を後押ししました。利⽤の⼿続きやドキュメントを⼀元的なツールにした「GCAS(Government Cloud Assistant Service)」をリリースしました。さらに、2023年5⽉に実施した各事業者へのヒヤリングを通して技術に関する要件の⾒直しを⾏っています。

取組の背景は、これまで⾏政機関は、業務システムの開発等をそれぞれ独⾃の⽅法で⾏ってきました。⼀⽅、⾏政が提供するサービスの利便性や安全性、スピードにバラつきが出てきたほか、業務とコストにかかる負担が課題となっていました。このため、すべての⾏政機関と地⽅公共団体が、共同で⾏政システムをクラウドサービスとして利⽤できる仕組みを整えたとしています。

今後の展開(予定)
•各府省庁の57システムがガバメントクラウドの利⽤を開始2023年度末まで
•市区町村において書かないワンストップ窓⼝を実現するため、SaaSベンダー4社が提供する窓⼝DXSaaSが、ガバメントクラウド上で運⽤開始2023年秋から
•システムのモダン化等各府省等に技術的な⽀援を⾏い、コストの削減等を実現順次実施
•地⽅公共団体の職員、及びベンダー各社を対象に、ガバメントクラウド移⾏に関するアンケート調査を⾏うほか、すべての地⽅公共団体向けの説明会を実施2023年7⽉以降継続的に実施

今後ガバメントクラウドの選考基準の一部緩和の動きがあり、これまではAWS、グーグル、マイクロソフトなどの海外勢に湿られていましたが、今後、国産クラウド事業者が参入していくのか、注目されるところです。

デジタル庁がガバメントクラウドの選考基準を一部緩和へ、国産ベンダー参入に光明
 デジタル庁が一元的に運用するガバメントクラウドについて、調達する際のベンダー選考基準を2023年度募集分から一部緩和することが分かった。クラウドサービスのベンダーが他社サービスを組み合わせて技術要件を満たした場合でも、選考基準を満たしたと見なす。

国際戦略

国際戦略では、技術や知⾒の共有による国際連携強化とDFFT(信頼性のある⾃由なデータ流通)等の国際戦略を推進し 世界に冠たるデジタル政府を⽬指しています。

出典:デジタル庁 デジタル庁年次報告書 2023.8.31

1年の成果‧進捗
議⻑国としてG7デジタル‧技術⼤⾂会合を実施 DFFT具体化に向けた国際枠組み(IAP)の設⽴に合意

2023年4⽉に実施されたG7群⾺⾼崎デジタル‧技術⼤⾂会合では、2019年に⽇本が提唱し、これまで着実に議論を進展させてきたDFFTの具体化について今回初めて、データに関する⼀般的な国際枠組み(IAP, Institutional Arrangement for Partnership)の設⽴に合意しています。

また、年間を通じて、各国と協⼒覚書(MoC)の署名を⾏い、デジタルトランスフォーメーションの経験を共有することで相互の学びを推進。G7加盟国だけでなくG20やグローバルサウス、アジア、北欧、中東諸国とも、技術分野における協⼒‧連携に向けた議論を深めています。

取組の背景は、グローバルにおけるビジネス推進や課題解決にデータは不可⽋ですが、安全性やプライバシーを確保しつつ、国を跨いだ信頼性のあるデータの利活⽤を可能にするための規制協⼒‧技術連携の仕組みが必要となっていることを挙げています。

今後の展開(予定)
• IAPの設⽴に向けたG7作業部会‧閣僚会合の開催
•⽇英デジタルパートナーシップ政務級会合
•⽇EUデジタルパートナーシップ閣僚会合
•⼆国間の協⼒覚書の新たな締結、締結した国との専⾨家会合等を通じた知⾒の共有、⼈材交流

AI

AIでは、⾏政の実務で⽣成AIの利活⽤を試⾏ 新たな技術の可能性について素早く検証を⾏っていくとしています。

1年の成果‧進捗
関係省庁との連携体制を通じた政策の⽴案‧推進⾏政への活⽤に向けた検討

⾏政における⽣成AIの活⽤に関しては、業務利⽤に関する申合せの運⽤や各省庁からの利⽤申請の取りまとめ等を通じて、関係省庁と連携して⽣成AI に関する実態の把握を実施。内閣⼈事局とワークショップを開催する等、ユースケースを開拓している点を挙げています。

また、有識者によるAI戦略会議や、関係省庁の連携体制であるAI戦略チームを通じてAIの急速な進化‧普及やこれにより⽣じる課題への対応を⾏っているとしています。

取組の背景は、ChatGPT等の⽣成AIの急速な進化‧普及により、AIの利活⽤の機運が盛り上がっています。政府全体でAIを推進していく⽅針の⼀⽅で、⾏政における⽣成AIの利活⽤については、機密情報の漏洩等のリスクを確実に回避しなければならず、利⽤環境の整備を図ることが求められている点を挙げています。

今後の展開(予定)
•AIの業務利⽤に関する環境整備や⽅針の検討
•関係省庁との連携
•ユースケースの開拓、概念検証の実施

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