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iPodがAmazon Kindleを駆逐する日

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 AmazonのKindleが出ました。わたしの耳には「キンドー」と聞こえます。マカロニほうれん荘にでてきそうですよね。

 Amazonは、自分のストアと一体化させたデバイスがほしいようです。そのためならなんでもやるといった感じ。よほどiPodがうらやましいんでしょうね。

 Apple Insiderには、まさにそのような記事が書かれていています。たしかに1冊9.99ドルという価格はiTunes Storeのアルバム1枚に相当します。価格も初代iPodと同じ。

 じゃあ、Appleはどうなのよと振り返ってみると、実はあと2、3手を打てば、電子書籍の販売は始められる状況にあります。というか、ある種の電子書籍は既に売っています。

 iTunes Storeでは、音声のみではありますが、Audibleと提携し、オーディオブックを販売しています。このモデルは日本でも既に成功しています。Kindleの初期ラインアップは9万タイトルですが、オーディオブックも2万5000タイトルはあります。

 PDFベースの電子書籍も既に、商品の一部に組み込まれています。アルバムに付属するデジタルブックレットはPDF形式で配布されており、アルバムを購入すると、そのままダウンロードされ、PCで見ることができます。

 iTunesはだいぶ前からPDFを管理できるようになっており、iTunesのポッドキャスト機能を使って、PDFの配布まで行なえるようになっています。iPhoneにはPDFビュワーも付属しています。機能的には不足していますが、拡張はされていくでしょう。

 ボイジャーは、iPod touchで青空文庫やコミックを見ることができるような機能を持つT-Timeを販売しています。コミックビュワーとしてのiPod touch/iPhoneは実にすばらしいので、動画で確認してください。

 AppleがAmazonに本気で対抗しようと思ったら、わずかの手間でできるわけです。たとえば、

・既にオーディオブックでつきあいのある出版社からPDF版のライセンスを得る
・iTunes Wi-Fi Storeに電子ブックのコーナーを設ける
・ちょっと大きめの画面を持ったiPod touchかMacBook touchを作る

といったことは既存の技術やビジネスの延長で可能です。

 できるからやる、というのではないかもしれませんが、少なくともその準備はしていたのではないかと思います。

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 以上、Kindleが日本では使い物にならないことにがっかりした松尾でした。買うつもりだったのに……。

追記:Forbesも同様の記事を書いていました。

Kindle Versus The iPhone

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