OpenAI創業者の1人、リード・ホフマンの最新刊「ChatGPTと語る未来」
本書は、リード・ホフマンさんとGPT-4さんの共著です。共著にしよう、と思いついたときのホフマンさんのにやり顔が目に浮かぶようです。
全編を通じてホフマンさんとGPT-4の対話が散りばめられており、それを「共著」としているのかなと思います。ちなみに本書は横書きです。GPT-4との対話は横書きの方がしっくりきます。
ホフマンさんは、泣く子も黙るPayPalギャングの1人。LinkedIn創業者としても知られていますが、OpenAIの共同創業者でもあります。VCでもあり、3月に「自分の出資する企業と利益がぶつかるから」とOpenAIの取締役を辞任しました。後に、その企業はInflection AIという新興企業であることがわかりました。この会社は一般ユーザー向けのパーソナルなAIアシスタント「Pi」に取り組んでいます。
ホフマンさん、ふっくらした容姿のせいか、他のPayPalギャングのイーロン・マスクさん、ピーター・ティールさん、サム・アルトマンさんほどぐいぐいした感じはせず、温厚な印象です。
さて、本書の内容についてChatGPT Plus経由でGPT-4に尋ねたところ、以下のような説明でした。
この本は、リード・ホフマンとGPT-4との共著で、AIと特に大規模言語モデル(LLM)であるGPT-4が教育、ビジネス、創造性などの重要な分野で人類をどのように向上させることができるかを探求する未来の旅行記を提供します。しかし、これは単なる本ではなく、対話でもあります。
もちろん、自分でも読みました。GPT-4の説明どおりだと思います。
専門用語は出てこず、技術的な話もほとんどないので、まだGPT-4を含むLLMをあまり使ったことがなく、実際に使っている人はどう使っているのか知りたい人や、これからいったいどうなるのかとちょっぴり不安に思っている人に読んでほしい本です。
既に日常的にChatGPTなどを使っている人にとっての新鮮な情報はあまりないかもしれませんが、そういう人もLLMについての考えを整理するのに役立つと思います。ホフマンさんがGPT-4に質問するときの情報の狭め方とかは、かなり参考になりました。
ハルシネーション(本書の説明では「誤りやねつ造、あるいはアルゴリズムの異常による奇妙な答えがたびたび出力されること」)についてもしっかり1章分使って説明しています。発展途上なのだから、とりあえず今は「間に合わせの知識」だと意識して付き合えばいい、と。
AI業界の進化も猛スピードなので、ホフマンさん自身「たとえAIに助けてもらっても書き始める前から時代遅れになる」と考え、「これから体験しようとしているAIの未来を、あくまでも主観的に記録しておこう」というスタンスで書いたそうです。
それにしても、原書が3月に出たのを4月に版権取って7月に出版って猛スピードです。すごい。しかも翻訳はGPT-4ではなく、人間の翻訳者さんです。
このスピードの甲斐もあって、日本語でも、古くない内容を読めます。
個人的には、ジャーナリズムでのLLMについてまとめられている第4章が面白かった。第9章にGPT-4による歴史上の人物の架空のインタビュー(ガリレオとチューリングの対話とか)という試みがあって、本人を知っていると面白いです。
電子版は既に公開済み、紙の書籍は7月7日発売です。お勧め。