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ハリウッドのタレントエージェンシーからシリコンバレーのVCに転身した「LEGEND」の自伝がアツい

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「LEGEND」がアツいんです。分厚くて、中身も熱い。

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原題は「WHO IS MICHAEL OVITZ?」。伝説のタレントエージェント、マイケル・オービッツ氏の自伝です。日経BPから8月5日発刊予定のものを、先に読ませていただきました。

マイケル・オービッツさん、日本ではほんとに「それ誰?」状態だし、そもそもタレントエージェント制度もあまり知られていませんが、ハリウッド映画好きでゴシップも好きな私にとっては興味深いエピソード満載な自伝でした。

オービッツさんはルーマニアからの移民2世のユダヤ人。映画好きの野心家で、まるで映画「摩天楼はバラ色に」のマイケル・J・フォックスのようにメールマンから出世していき、仲間と自分たちのエージェントCAAを立ち上げます(フォックスはCAAのクライアントになりました)。

ハリウッドのタレントエージェントは日本のタレント事務所とはかなり違います。タレントのために仕事を探してきて契約交渉を行ったりするだけでなく、監督や脚本家も抱えるCAAのような大手はそういう人たちを手駒のように使ってパッケージにして売り込むという、プロデューサーのようなこともします。

個性的で扱いにくいスターたちをいかに(言葉は悪いですが)うまく使いこなすかが大事なお仕事。いい役をまわして映画をヒットさせ、俳優にもギャラががっぽり入れば、それを知った新たな俳優や脚本家が契約したいと向こうからやってきます。

ポール・ニューマン、ダスティン・ホフマン、「ゴーストバスターズ」のビル・マーレイなどとのエピソードが人間くさくて面白いです。若手のころから育てたトム・クルーズに入れ知恵してシドニー・ポラック監督を陥落させる下りや、そのトム・クルーズがCAA庇護下にあったころはサイエントロジーのうわさが流れないようにしていたことなど、次々とエピソードが。沈黙シリーズのスティブン・セガールのエピソードも「へーーーー」となりました。

オービッツさんが好きなのは、いろんな才能を結びつけてどかーんといいものを作ることなんだろうと思います。そのためにはごりごり強引なこともするけれど、いいものができれば監督も俳優も観客もみんな満足。それが醍醐味。

企業のM&Aにも同じ醍醐味がある、ということで、ソニーによるコロンビア買収に関わったりしはじめ、1995年にディズニーの社長に就任してからはヤフーを買収しようと孫正義さんと交渉したり(孫さんは売ってもいいよ、と言ったのにディズニートップのアイズナーが却下した。日本人としてはよかったと思います)。2年後にはディズニーを辞めて、シリコンバレーに目を向け、VCのアンドリーセン・ホロヴィッツなどと関わって2010年には自分のVC、Broad Beach Venturesを立ち上げました。64歳でした。いやはやパワフル。

本は分厚いですが、ぱらぱらと面白そうな章を拾い読みしているうちに、結局全章読んでしまいました。各章の扉にその章の主な登場人物が載っているという工夫が効いてます。

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原書は2018年の出版なので、その後どうしているかなーとググっていたら、日産の前CEO、カルロス・ゴーンさんが自分の自伝的映画製作のためにオービッツさんを雇ったといううわさ。うわさですけどね。もし本当で、引き受けたとしたら面白い映画になる、かも?

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