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Google→StripeのCOOによる人材・組織の悩みに効きそうな「スケーリング・ピープル」(読書感想文)

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「スケーリング・ピープル」という本(日経BP、2750円)を拝読しました。ろくろを回す人たちがよく言う「スケールする」(増やしたり減らしたり、拡大したり縮小したりすること)の目的語が「ピープル」なのです。つまり、企業の人材をスケールすることがテーマ。単に人員を増やすだけでなく、組織全体の能力を高め、持続的な成長を可能にするための人材戦略と組織運営の重要性について語っています。

スタートアップであれば、まだ従業員数が1桁のうちからこれを読んでおくと、人間関連のいろんな困難を事前回避できそうです。scaling.jpg

著者は、GoogleとStripeという、それぞれ異なる成長段階と企業文化を持つIT企業での豊富な経験を持つクレア・ヒューズ・ジョンソンさん。Googleには従業員が1800人程度の頃から10年間在籍し、GmailやGoogle Appsといった主要サービスの運営に携わりました。退社するころにはピープル(従業員数)は約2倍に。2014年入社のStripeでは、COOとして7年間で200人未満から7000人以上までピープルをスケールアップさせました。

この本は、そうした経験や、ご自身が読みあさった先人の関連書籍やメンターたちとの会話を総括した、チーム構築と組織成長のノウハウを散りばめた1冊です。

例えば人材採用の章では、候補者の身元照会や面接、さらに採用後の注意点(採用ミスだったことが数カ月後に明らかになっちゃったらどうするかまで)などを具体的に紹介しています。チームのリーダーとして、伝えにくいフィードバックの伝え方なども。グローバルなスタートアップであるStripeでの、日本を含む文化の違いやリモートワークなどを乗り越えるチーム構築については、世界を目指している人の参考になりそうです。

会社員生活後、フリーランスになって10年以上。ソロ最高~と思っている今の私にはあまり関係ない話ですが、創業の頃からときどき記事で紹介しているStripeの成長の陰には、クレアさんのようなアグレッシブな幹部の活躍があったんだなぁという視点で読みました。

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なつかしいGoogleの幹部プロフィール写真なのでかなり古いですが、クレアさんはこんな人です。アグレッシブ。

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