『ジェフ・ベゾス』感想 スキャンダルも労組問題も、そういうことだったのか
スティーブ・ジョブズ亡き後、気になるCEOは、イーロン・マスク、マーク・ザッカーバーグ、ジャック・ドーシー、そしてこの人、ジェフ・ベゾスでした。でした、というのは、ベゾスは昨年2月にCEOを辞めて会長に退いたからです。
そのジェフ・ベゾスの退任までの軌跡を、ブルームバーグのベテラン記者、ブラッド・ストーンがすごい調査取材力で再度まとめたのが『ジェフ・ベゾス 発明と急成長をくりかえすアマゾンをいかに生み育てたのか』(サブタイトル長い)、です。
『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』(2014年刊)の続編です。ベゾスさんとアマゾンは、この本(これもすごく面白くて参考になるので紙の本とは別に電子書籍も買って記事を書く時によく参考にしてます)が出た後も世間をいろいろ騒がせたので、著者のストーンさんは続編を書くしかないと思ったのでした。
私はずいぶんアマゾン関連の記事を書いてきましたが、参考にするのはプレスリリースや公式ブログ、米連邦政府の公文書や公聴会の動画などだけです。この本には、一連の出来事の裏にどんな動きがあったのかが満載です。夢中で読んでしまいました。
圧巻は(ゴシップ好きな個人の感想ですが)糟糠の妻、マッケンジーさんとの離婚と新恋人ローレン・サンチェスさんとの関係、そのスッパ抜きはトランプ政権(当時)の陰謀では、というスキャンダルについての章。冷徹非情なイメージのベゾスさんもやっぱり人間だったのね、と感じるところです。
控えめで穏やかそうなマッケンジーさんのファンだったので、離婚を知ったときはかなりショックでした。その少し前からベゾスさんがムキムキになってハリウッドにも関わりだしたので、違和感はありました。左はマッケンジーさんとの、右はローレンさんとの2ショットです(左は過去のプレスリリースより、右はベゾスさんのインスタ投稿より)。
右の画像は、新年にディスコパーティを開いた時のものなので極端ですが、だいぶ感じが変わりました。人生楽しんでる雰囲気です。
ちなみに本では触れていませんが、マッケンジーさんは離婚後、昨年の3月にシアトルの高校教師と再婚しました。慈善運動で活躍しています。
また、アマゾンマーケットプレイス問題についても、かなりページが割かれています。こちらは自分の日常にも直接関係あるので面白かった。レビューが信頼できない問題とか、ディスコンで品薄になった商品の価格がいきなり4倍になる問題(実体験)とかの裏側が少しわかります。
AWSについてなど、ビジネス書としても参考になると思いますが、アマゾンの成長と発展は、ベゾスさん個人の資質に依るところが大きいかも。
結構分厚いですが、「スティーブ・ジョブズ」も翻訳なさった井口耕二氏の読みやすい翻訳なので、サクサク読めます。ゴールデンウィークの読書にいかがでしょう。もちろんAmazon Kindle版もあります。