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Googleは何の会社なのか?

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「Googleは何の会社なのか?」

Googleは、もちろん最先端のIT技術を駆使してビジネスを行っている企業ですが、会社としての収益をIT製品の販売やサービスから得ているわけではありません。ご存じの方も多いでしょうが、Googleの収益の90%以上は「広告」収入です。

広告収入で運営されている業種にはいろいろあると思いますが、まず頭に浮かぶのが、テレビや新聞・雑誌などのメディアでしょう。コンテンツを多くの人に向けて発信し、同時に広告も配信して広告料を得るというビジネスモデルです。新聞・雑誌などはメディアそのものを販売しますが、フリーペーパーや民放テレビ・ラジオなどは広告収入で運営されています。

つまり、Googleは広告収入で運営されている「メディア」である、ということが言えるのです。検索というサービス(情報)を提供して、そこに集まる人に広告を見て貰い、クリックされたらそれがGoogleの収益になるのです。無料の情報誌と同じビジネスモデルと言うことができるでしょう。

しかも、Googleは同時に広告代理店でもあります。自社メディアに掲載する広告を自社で集め、運用しているわけです。昨年の年間売上は約5兆円(電通の連結売上の2.5倍くらいだったと思います)という、巨大なメディア企業であり広告代理店ということです。

ここで大事なのは、企業の基本的な戦略というのは、その企業のビジネスモデルによって大きく違う、ということです。考えてみれば当たり前のことですが、広告収入で運営されるメディア企業であるGoogleのビジネス戦略は、ソフトウェア企業であるMicrosoftやハードウェア企業であるAppleとは根本的に違います。提供しているサービスは似ていますが、狙いが全然違うのです。

メディアとしてのGoogleの戦略としては、使いやすく信頼性の高いサービス(検索など)を提供して、なるべく多くの人にサイトに来てもらうということでしょう。そのためには検索結果の精度を高めたり、レスポンスタイムを速くするなどが必要です。さらにはインターネットのユーザーを増やすことが収益の拡大に繋がります。GoogleがGmailやGoogle Mapsなど、様々なサービスを無償で提供しているのは、そういった背景があるからだと考えられます。Google Mapsは一部有償化していますが、クラウドサービスからの収益を含めてもその割合は10%未満です。

自社のコストでAndroidを開発し、無料で開放しているのも、Android端末が大量に普及すればユーザーの裾野が広がり、多くの人が検索サイトに来てくれるようになり、そうすれば広告収入に繋がるからと考えると、納得がいきます。(Android標準の検索エンジンはいうまでもなくGoogleですから)

Google、“無償”のAndroidで収益 既に開発コストをカバー
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1010/08/news076.html

Androidはタダでも儲かる、Google社CEO エリック・シュミット氏
http://octoba.net/archives/20101008-android-news.html

ここで面白いのは、iPhoneやiPadなどのiOSデバイスの標準検索エンジンもまたGoogleだということです。GoogleはiOSデバイスの検索エンジンをGoogleにしてもらうためにAppleに毎年莫大な「広告費」を支払っているそうです。よくiOSとAndroidのシェアが云々、などと言いますが、Googleにとってみれば、どちらが多くても結局同じ事なのです。GoogleとAppleではビジネスモデルがかぶる部分が少ないから、こういうことも可能になるのでしょう。

GoogleはiOSのデフォールト検索エンジンにしてもらう見返りに来年Appleに10億ドルを支払う見込み
http://jp.techcrunch.com/archives/20130212google-to-pay-apple-1-billion-next-year-to-be-default-search-engine-on-ios/

Yahoo!もGoogleと同様のビジネスモデルですが、提供しているサービスの幅広さや展開の規模はかなり違うと言えます。Facebookが後を追っていますが、まだ売上規模はだいぶ違います。他にも新聞・雑誌など多くのメディア企業がインターネットに参入していますが、どこも苦戦と聞いています。Googleの凄みがわかります。

こうしてみると、Microsoftは結構辛い立場です。Microsoftはソフトウェアを販売して収益を得るビジネスモデルであり、OSをタダで配るわけには行きません。タダでかまわない会社と闘うというのは非常に辛いですよね。(先頃ついにWindowsの無償提供に踏み切りましたが、その話はまた)

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