【105%】この震災が、若者たちのキャリアに及ぼすかもしれないプラスの影響について、勝手に考えてみた
震災で卒業式を取りやめにした学校が相次いでいます。心待ちにされていた方の気持ちを察すると、心が痛みます。そして、卒業のすぐあとには、入学が待っています。入学式は何とかできますようにと、心から願わずにはいられません。
その入学ですが、今年の大学進学では、理系進学者が久しぶりに増加したと聞きます。下記は河合塾が発表しているデータですが、理系学部が軒並み前年比プラスになっているようですね。
※Kei-net「2011年度大学入試センター試験動向分析 国公立大学(前期日程) 学部系統別の志望動向」より一部引用
背景には「理系は就職に有利」という心理があるという専門家のコメントを複数見かけました。この中で、わたしは進学者の絶対数が多い工学系【105%】に注目しています。河合塾の知人に質問してみると、工学系の復活について、「宇宙開発関連のトピックが受験生の間でよく話題となっていた」ことを指摘していました。そんなに単純な話じゃないだろうとは思うけど。でも若者たちの心は、そうした純な「何か」で動くのかもしれません。
子どものころに「なりたい職業」を聞かれたとき、「宇宙飛行士」を挙げていた同級生が何人かいたような記憶があります。でもその夢は、中学、高校と進学していくにつれて、どんどん変わっていきます。なりたい仕事、憧れの職業が変化していくのは、ある意味当たり前のことでしょう。ましてや今のような就活が厳しい時代。「わたしは○○になりたい」なんて言ったら、「何を甘いことを」「そんな悠長なことを考えている余裕なんてないよ」って言われちゃいそうですが。
今後、理系に進んで、技術者になっていく若者たちが増えることを、個人的には応援したいと思っています。そして今回の震災が、「地震予知を研究したい」とか「津波から町を守りたい」とか「絶対安全な発電所を作りたい」…そんなキモチを持った若者たちが理系進学を志すことに繋がれば、なんて思ってみたり。工学系を目指す子どもたちの、昨年より増えた5%の中から、将来の日本を救う研究や開発をやってのける、若いエンジニアが育ってくれたらと、実はとっても期待しています。
まさに今、震災で苦しんでいる方がたくさんいる中で、何を寝言みたいなことを言ってるんだ、もっと今すぐ役立つことを書きなさい、とお叱りを受けるかもしれません。でもね、思うんですよ。海に囲まれたこの国には、自然災害から身を守る技術がもっともっと必要なはずです。資源に乏しいこの国は、これまでもこれからも、エネルギーを生み出す技術を磨かなければならないはずです。それこそ一朝一夕じゃできるはずもない、こうした技術開発を担えるのは、今、目の前にいる若者たちなのですよ。
■参考(過去の類似エントリ): 【7割】「理系離れに歯止め」報道の衝撃