オルタナティブ・ブログ > 中村昭典の気ままな数値解析 >

●人、●%、●億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

【1.34倍】サイボウズのワーママ動画「大丈夫」を専業主婦が見たら

»

「ワーママ動画」、見ました。正直、グッときましたね。いやぁ、この手にはめっぽう弱い(笑)...って話はおいといて、少しだけ思うことを書いてみます。

zuhyo01-02-19.gif
今、ワーキングマザーってどれくらいいるの?ってときによく引き合いに出されるのが、この表ですね。内閣府の男女共同参画白書です。これによると、夫婦共働き世帯の数が、いわゆる専業主婦世帯の数を追い越したのが平成4年。以降、多少の凸凹はありながら、今では共働き世帯1,054万世帯に対し、専業主婦世帯は787万世帯(2013年版)と、共働きがフツーになってきて、その差は約【1.34倍】にまでなってきています。一方で、専業主婦の中にも、できればちゃんと働きたいという人が相当数いることもわかっていて、その意味では、子育てと労働の両立は主婦にとって以前大きなカベである状況も事実なわけですね。そんな背景の中、この「ワーママ動画」が出てきたことは、とってもよく理解できます。

で。その昔(それこそ1990年代ですがw笑)わたしが「とらば~ゆ」の担当になって走り出した頃に、こんなことがありました。働くお母さんのチカラにならなくっちゃ、と思っていろんなお母さんに話を聞くと、あるお母さんから、「働くお母さんを応援するなんて、やめてください」って言われたことがあって。曰く、働くお母さんが輝いていて、専業主婦がステキじゃないみたいに思えてくるから、嫌なんだと。それって、結局、働く人が偉くて育児する人が偉くないって考えは変わってないんじゃないか、って。父親が外で働き、母親は育児に専念する。わたしは好きでそうしてるんですよ、って。そんな分業を肯定しているわたしたちのことも応援してくださいよ、ってね。

ようは働くのも育児するのも、共働きも専業主婦も、その人たちの価値観と置かれた環境からの選択であって、それらはどれが正解でどれが間違ってる、って話ではない。そういうことですよね。

子育てしながら働きたいお母さん(いや、お母さんだけじゃなくてお父さんもですが)を支援する仕組みは、まだまだ足りない。いや、仕組みはもちろん、理解すら得られていないと感じているワーママ、ワーパパも多いはず。これは現実としてそう思います。だから回りが、あのCMにあるように、寄り添うことはもちろん必要だと。さらに、もうそんな当たり前のことを言ってる段階じゃなくて、理解するとか、キモチだけじゃなくて、ちゃんとした支援の仕組みを作って、物心両面から支援するのをもっと当たり前にしなきゃいけないよ、って。そんな声にも同感です。多くのブロガーが指摘されている、今の制度を俯瞰して見れば、働きながら子育てすることへの支援をもっと充実させないとね、という論には賛同します。

でも、もう一歩進めて。行き着く先は、働くのも子育ても、その分業の仕方はそれぞれであって、誰がえらいとか、誰がステキとか言う話じゃないんでしょうね。働くことも、子育ても、夫婦がそれぞれ納得できるカタチで協力したり分担したり支援したりできる。そんな社会が実現できたら本当にステキだろうな。あのとき、わたしに専業主婦にもチカラをと話してくれたお母さんが、もし今この「ワーママ動画」を見たら、どんなことを思うのだろうか...ふと聞いてみたくなりました。

Comment(0)