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【46.3%】日本人は本当に「職場でしか学ばない」国民なのだろうか

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パーソル総合研究所がまとめた、「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」。「日本を含めたアジア太平洋地域(APAC)14の国・地域の主要都市の人々の就業実態、仕事に対する意識や働くことを通じた成長意識などについてインターネット調査」(パーソル総合研究所)なのですが、これを見て、目が点になってしまいました。普段大学にいると、周囲にはそれなりに「学ぶことに意欲的な」人々が多くいるわけで、自分の感覚がどれほど鈍感になっていたのかと反省せざるをえないなと思った次第。
 
前置きはともかくとして、最も目を奪われた項目がココです。以下、調査からの引用です。
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特に何も行っていない人の割合【46.3%】は、調査対象のアジア14カ国の中で、圧巻の首位。追随を許さない、ぶっちぎりの独走です。本当に日本人は、職場以外で学ぶことに興味がない国民なのだろうか。日本人は、職場を出ると遊んでばかりいるのだろうか。直感的に思い当たるのが、「日本人は働き過ぎ」という耳タコのフレーズ。そうか、日本人はプライベートの時間を費やして学ぶ余裕がないのか。そうだ、きっとそうだと思い、もう少し調べてみました。
 
下記はグローバルノートがまとめた「世界の労働時間 国別ランキング・推移」で、ILO調査をベースとしたものです。これによると、統計対象となっている世界129カ国の中で、日本は87位(38.1時間/週)。先のパーソル総合研究所の調査対象になっていたアジア諸国を見てみると、中国10位(46.1時間)、マレーシア15位(45.0時間)、シンガポール(21位(44.2時間)、韓国23位(43.9時間)、タイ35位(42.9時間)と続いています。この調査で見る限り、「日本人は働き過ぎ」というのは過去の遺物?現実逃避の妄想?ということになります。
 
この実態は奥が深く、突っ込みがいがありそうな予感。「日本はなぜここまで教育にカネを使わないのか」とか、「日本は高等教育が十分に普及しており高等教育修了率も高いが、成人及び留学生の割合が低い」 あたりを斜め読みするだけでも興味深いのではと思います。

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