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●人、●%、●億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

【1.5倍】 若者たちの就活は、目の前に敷かれたレールの上を走っているだけなのか

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 佐川さんが書かれた「創職」というエントリーを拝読し、そうだよなと考えさせられました。何だか交換日記みたいになってしまいますが、思うところを徒然なるままに書かせていただきます。
 
 この11月は就職情報提供会社が主催する就活イベントがラッシュ。たとえば東京ビッグサイトで11/7・8に開催されたリクナビLive 開幕★Live。企業ブースもセミナーコーナーもダークブルーのスーツで埋め尽くされ、通路まで満員状態で、数万人の就活学生でごったがえしたようです。公式な発表はまだ出ていないようですが、関係者に聞いたところによれば、参加者数は昨年の【1.5倍】くらいになったのではとのこと。メディアに流れる「就職氷河期の再来」という言葉も少なからず拍車をかけたのではないでしょうか。
 
 ここ3日ほどの間に、就活中の3年生と話す機会が重なりました。「どうだい、調子は」と聞いてみると、「企業展」巡りで忙しいと。彼らもご多分に漏れず、ここがスタートラインと言わんばかりに、足を運んでいるようです。
 
 聞けば、友人たちと誘い合って出かけているようですね。会場では配付されたプログラムに目を通し、気になる企業ブースに並んで人事担当者の話を聞き、自己分析コーナーで診断を受け、面接セミナーの席に座ってレクチャーを受け、、、用意されたメニューをこなしてきた模様。彼らに共通しているのは、まずはコレに参加しないと始まらない、ということで足を運んでいるということです。
 
 でもここでふと疑問がわきます。そもそも就活がなぜ11月からスタートなのか。誰がそう決めたのか。周りがそう言うから? メディアにそう書いてあるから? 大学の指導? 親がそう言うの? まるでマニュアルがあるかのように、メニューをこなすべく列をなす彼らの背中を見ていて、どうしても疑問がわいてしまうのです。
 
 彼らにわたしの疑問を正直にぶつけてみました。すると彼らは、一様に驚いた顔をし、そしてこう答えました。「そんなこと、考えたこともなかった」。
 
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就活にのぞむ学生たちは、何の抵抗も感じないままに、予め用意されたレールの上を走っているだけではないだろうか。
 
 私はこんな印象をぬぐえません。たしかにこのイベントに参加すれば、多くの企業情報を得られるであろうし、そこが就活の出発点になる学生も多数いることでしょう。この就職厳しき折に、間違いなく採用意欲のある会社がブースを連ね、人事担当者が学生の着席を待っているわけです。それは間違いありません。でもね。

 就活イベントに参加して、みんなと同じように面接セミナー聞いて、みんなと同じように適職診断受けて、みんなと同じように資料もらって帰れば、それが就活してるってこと? なぜ長蛇の列ができている会社に、さらに並ぼうとするの? 本当にそこが行きたい企業なの? そもそもあなたは何がやりたいの?
 
 わたしは就活イベントが悪だと言っているわけではまったくありません。むしろ逆で、こんなに便利な機会を提供されている学生は実に恵まれていると思いますし、これを有効に活かさないのは実にもったいないと思います。確かにそれは間違っちゃいない。でもね。集まった会社の中から就職先を探そうなんて、決める必要はないからね。そこに集まってる企業は、出展料を払っている、ほんの一部の会社だけだよ。世の中には五万と会社がある。目の前に集められた企業の席に座り、話を聞き、エントリーシートを出し、面接を受けるだけが就活だと思わないでほしい。
 
 白状すれば、私はリクルートに在籍していた1990年代半ば、新卒採用情報誌であるリクルートブックの編集長として、ナゴヤドームで初めての新卒採用イベントを企画し、運営に奔走した一人です。今じゃ当たり前のように毎年開催されている就活イベントというレールを敷いてきた一人ということになります。
 
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 佐川さんが書かれていた「創職」。実にいい響きですよね。自分の仕事は自分で探す。なければ創る。そんな若者たちが少しでも増えてくれば、もっと世の中が元気になるような気がします。
 
 一方、
目の前で話している就活中の学生がやっていることは、「創職」とは対極にある作業のように見えてしまいます。彼らに自らの意志がないとは思いません。ただ、考える前にレールがあるので、周りもそうしようとするから、とりあえず乗り遅れないようにレールの上を走ってみる。そんな風にも見えます。
 
 彼らが自らの意志で、やりたいことを考え、やりたいことを手にいれるために努力する道を歩む。そうした就活ができるように、私たちが、親が、企業が、世の中ができること、やるべきことはないのだろうか。
この疑問は、先日発刊した拙著『親子就活』を書いている最中ずっと、私の頭の中をぐるぐると回っていました。
 
 でも、これもレールを敷くことになっちゃうのかなぁと自己矛盾も感じて…なかなか答えの出ないことを考えています。。。

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