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●人、●%、●億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

【47.9%】 定額給付金、自治体の役割は「支給する」ことではない

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 いよいよ定額給付金の配布がはじまりました。我が家にも通知が到着。中身を見ると、市役所窓口での配布もありますが、通帳のコピーと本人確認書類のコピーを添付して返送し、後日振り込みというのが基本らしい。自分の周辺で聞いてみましたが、どの市町も方法はいっしょですね。そりゃ、窓口でもらおうが振り込みでもらおうが、もらえるものには変わりないわけですが、個人的には最もやって欲しくない方法で支給されることになったようで、かなり残念です。

 総務省のまとめによれば、年度内の支給開始を予定しているのは、全国1,804市区町村のうち383市区町村であり、全体の21.2%にとどまったと発表されています。支給決定までに時間がかかったことで、実務を担う自治体側の準備が間に合わなかったというのが実情でしょう。

 そもそもこの話が決まったとき、実際に支給実務を担う自治体から猛反発があったことは、多くのニュースで取り上げられましたので、記憶に新しいところです。公平かつ確実かつ迅速に、そして漏れなく支給をしなければならない自治体側の立場を踏まえれば、気持ちはわかります。ただ、こうした一連の報道を見て知る限りですが、どうも今回の給付金について、地方自治体側にはやらされ感が強くて、盛り上がりに欠ける気がしてなりません。

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 今回の定額給付金の狙いは、平たく言えば、昨今の不況下、生活弱者を救済すると同時に、実消費を増やして景気の下支えをしようというものだと理解しています。つまり、使ってもらってこそ、効果が出るわけです。しかしながら、振込では、そのまま預金として蓄えられる可能性が高いのではないでしょうか。「どうぞそのまま預金して下さい」って言ってるようなものじゃないかと思うわけです。

 行政機関が果たさなければならない役割は、

 定額給付金を「支給する」ことではなく、「効果を上げる」こと

のはずです。目的と手段を取り違えてはならないと思います。そのためには、「もらった」「得した」「これ買いたかったんだ」みたいな雰囲気を作ることでが大事なんじゃないでしょうか。預金を増やすのではなく、使いたくなる方法を考えなくちゃいけない。だったら、現金を手に渡すことが一番効果的ではないかと思うわけです。かといって、自治体側の負担もわかります。ならば、特定の日曜日限定で、

 スーパーや百貨店で「定額給付金・今日だけ窓口」を開く

というのはどうでしょうか。「もらった人は、その場で使えますよ」「欲しかったあの品が、今すぐ買えますよ」みたいな。もちろんスーパーや百貨店にも定額給付金特別セールをやってもらいましょう。そうすれば、実際にその場で使うにせよ、そうでないにせよ、「定額給付金で★☆★を買おう」という気運が盛り上がるはずです。これなら自治体の負担も1日だけの休日出勤で済みます。

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 以前にプレミアム商品券発行の話題を記事(定額給付金が最低1割増しになるマジック)で取り上げました。その後も実施自治体は増え続け、総務省の調べでは864市区町村、全国自治体の【47.9%】にまで広がっており、割り増し分を含む商品券の総発行額は約1,040億円となったそうです。これもいいと思うのですが、まるで右へ習えと言わんばかりの同じ手法で、もうちょっとアイデアないのかなぁとも思うわけです。

 そもそも地方自治体の行政というのは、市民向けのサービス業であるはずです。地域ごとの特徴や住民構成、要望を知っているのも自治体です。全国1,804市区町村がすべて同じサービスを求めているとは思えません。空気を作るというのは簡単じゃないけど、何か手はないものか。今一度、考えてみるよい機会だと思うのですが、いかがでしょうか。。。

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