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【57.4%】 このご時世に好決算…の企業に共通する、単純な法則

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 年度末が近づき、逆風下で多くの企業が決算を迎えようとしています。そんな中、日本経済新聞で、気になる記事を見つけました。

 逆風決算の断面—減益・赤字企業相次ぐ中、2ケタ増で最高益54社

  ※2009/02/13, 日本経済新聞 朝刊, 3ページ

 この環境下で好業績を残すのは並のことではありません。しかしながら、逆風が吹く中でも、業績を伸ばしている企業が結構たくさんあるんです。それを俯瞰してみると、いろんなことが見えてきます。

 日経新聞の記事では、好業績の秘密を「低価格」「新市場」「環境」という3つのキーワードで解説しています。54社には、ニュースでもよく出てくるような有名企業が並んでいますので、このキーワードを聞くだけで、社名を想像できる方も多くいらっしゃるでしょう。詳しくは記事を読んでもらえば判るので、ここでは割愛しますが、この3つの軸で見てみると、確かにそうだなぁって思いますね。

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 ちなみにその54社とは、こんな会社です。

丸紅、東燃ゼネ、キリンHDファストリ、田辺三菱、協和キリン、楽天、イオンモールファミリーMOLC、日製鋼、ニトリ、日本電工、セブン銀、ホシデンマクドナルドABCマートケーズHDビックカメラ、三井鉱山、ポイント、中央電、カプコンディーエヌエゼビオスカパーJツルハHDGSユアサPGGIHティーガイアイオンディラダイセキエフピコカーボン、東北新社、黒田電気、蝶理、近畿車、日医工、グリー、昭和産、ダイハツデワタミ、佐世保、東和薬品、矢作建、ユニチャムペ、岡部、Bブライダル、川崎近海、大崎電、プロト、三井松島、UT

  ※2009年1—12月期の連結経常利益が前期に比べて2ケタ増でかつ過去最高となる上場企業
  (経常利益50億円以上、単独決算企業を含む。12月期決算の未発表企業は2008年12月期推定)
  以上2009/02/13, 日本経済新聞 朝刊, 15ページ

 いかがでしょうか。日経新聞の正統派分析はともかくとして、私は54社の顔ぶれを何気なく見ていて、ふと、あることに気づきました。それは、

 社名がカタカナの企業ばっかりだなぁ

 ってことです…前振りが長くて期待された方、つまらない話でごめんなさい…数えてみると、社名がカタカナ・アルファベットで構成されている企業は54社中31社もあり、率にして【57.4%】にもなります。そう、好業績企業の2/3近くが、カタカナ系なのです。ちなみに…気になったので数えてみました…東証1部2部に上場する企業1,694社中、社名がカタカナ・アルファベットで構成されている企業は644社で、その率は38.0%と、1/3より少し多い程度です(ヒマだなぁなんて言わないでくださいね)。やっぱり好業績企業にはカタカナ系が多いと言えそうです。

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 カタカナ系の企業には、比較的新しい会社や、CIなどで社名を変更した会社が多い印象です。また法律改正により社名登記にアルファベットが使えるようになったのはまだ数年前の話ですから、これもまた同じです。また業種による差も大きく、たとえば建設や鉄鋼・輸送機器といったメーカー企業、金融系企業にはカタカナ系が少なく、一方で弱電系メーカーや流通サービス、通信・ソフトウエア業などには、カタカナ系が多出します。今回の不況では輸出型の企業や金融系の打撃が大きかったので、こうした理由もあるのかもしれません。

 いずれにせよ、日経新聞にもあるように、好業績を残した企業個々には、それぞれ、やっぱりなぁという理由があります。他がやらないような手法に挑戦したり、未開拓の市場を切り開いたりと、米国の大統領みたく、『CHANGE』に挑んだ企業が成功を手に入れていると言えるでしょう。このご時世、リスクなき経営では、大きなゲインはありえません。
 
 企業の組織・体質が古かったり、規模が大きかったり、またすでにある程度の地位を築いていたりすると、経営の舵を大きく変えるには、相当の労力と時間がかかる。これは経済の専門家でもない私にも容易に想像できることです。逆に新しい会社や成長途上の会社には、他社のやらない手法や市場に挑戦するという経営判断をすることに、抵抗感が少ないでしょう。平たく言えば、好業績の背景には、そんな理由があるように見えます。
 
 じゃぁ、未曾有の不況を乗り切るために、思い切って社名をカタカナに変えてみますか…そんな単純な話じゃないですね、失礼しました。。。

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