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【数千万枚】 巨人ヤマダ電機の未来予想図(2)~奥さん、大変なことになってますよ…

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 先回、ヤマダ電機のリニューアル店舗に出かけた話を書かせて頂きました。そこでドラッグストア的商品構成を目の当たりにし、巨人の次の一手が気になるとコメントしました。今回は私がそのレポートpart2です。

 店舗入り口付近では、レジ待ちで長い列をつくるお客さんに対し、店長が大きな声を張り上げています。

  •  「お客様のポイントをもっと有効に活用していただける品揃えで生まれ変わりました」
  •  「お父さんにもお母さんにも、喜んでいただける店に生まれ変わりました」
  •  「いつでも気軽におこしいただける店舗に生まれ変わりました」

 何気なくその声を聞いて、私は妙に腑に落ちた気がしました。

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 ヤマダ電機といえば、独自のポイント還元で躍進してきた家電店です。店舗入り口にはポイントマシンが並び、来店者の多くはカードを通してピコピコとやっています。これらは紛れもなく、顧客の囲い込み戦略であり、来店機会の増加を目論んでいるものです。ヤマダ電機は、ポイント会員の数を公式には発表していませんが、ポイントカードの発行枚数は【数千万枚】を突破しているようで、業界No.1の会員数と言えるでしょう。このポイント還元が、ヤマダ電機躍進の原動力であることは間違いありません。

 でも、考えてみれば、所詮は家電店。つまり、お客さんは、家電品を買いたい時にしか出かけない店舗です。せっかく貯めたポイントも、家電品にしか使えないわけです。当然の話です。ポイントは、もちろん消耗品にも使えますが、消耗品だけのために単独店舗のヤマダ電機に出かけるかといえば、その前にスーパーやホームセンター、ドラッグストアなど利用頻度の高い店舗で購入してしまうケースも多いでしょう。それでは来店機会が増えない。来店機会が増えないと、購入動機の創出もできないわけで、それでは売上増加につながらないわけです。つまり、店長の言葉にあるように、貯まったポイントが日用品や食品、コスメなどにも使えれば、もっと“ヤマダ電機に出かける理由”ができるはずだということです。

 また家電品の選択決定権は、商品の性格上、お父さんが握っている場合が多いでしょう(我が家は違う!って方、ごめんなさい)。一般的に家電量販店の来店者における男女比は、6:4で男性が多いとされています。でも、白物家電は言うに及ばず、PCやAV機器にしても、高額な家電品の購入には、お母さんの同意も必要な場合が多いでしょう。つまり購入に至るには、お母さんを連れてくることが必要条件。高額商品になればなるほど、それは顕著だと推測します。つまり、日用品や食品・コスメなどの品揃えは、まさにお母さんを連れてくるための戦略だと思うのです。

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 以上は私の独断による推論の域を出ない未来予想図ですが、いかがなものでしょうか。昨今の流通業界は、強力な専門店チェーンでさえも、単独店舗での展開は厳しくなっており、複数のチェーン店舗が集まったパワーセンター化が進んでいます。その中で、あくまでも単独店舗で品揃えを強化し、集客力を増しているヤマダ電機。今後がとても気になります。。。

  ※巨人ヤマダ電機の未来予想図(1) も是非ご覧ください
  ※巨人ヤマダ電機の未来予想図(3) も是非ご覧ください

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