« 2013年3月31日

2013年4月5日の投稿

クラムシェルタイプのAndroidは成功するのでしょうか?

現時点ではLenovoがThinkPadに装置をつけることでAndroidを動作させる製品を出していますが、どの程度売れているか分かりません。好調ではないのでしょう。

iOSもAndroidもWindows RTも本体はタブレットでもハードウェアキーボードを接続できる製品があります。そのため、タブレットだからと言ってもソフトウェアキーボードのみは十分でないため、クラムシェルタイプAndroidも需要はありそうです。

では、クラムシェルタイプAndroidのライバルは何でしょうか?WindowsノートPCでしょうか?それともAndroidタブレット/iPad+取り外し可能なキーボードでしょうか?両方でしょうか?

クラムシェルタイプAndroidのライバルは、WindowsノートPCだと考えます。理由は、クラムシェルタイプの方がメリットがあることは、脱着型タブレットでは出来ないケースがあるためです。不安定な場所でのキーボード入力、ディスプレイを自由な角度で設定できる等の脱着型では不可能なことが出来ます。このためハード要因としてライバルはWindowsノートPCでしょう。

では、ターゲットのユーザはどこでしょうか。ここではアーリーアダプターは除きます。ビジネスユースでしょうか?それとも一般ユーザでしょうか?どう考えてもビジネスユース以外考えられません。なぜならば、大量のキーボード入力を必要とするケースは一般ユーザはそれほど多くはありません。SNSやチャットでも大量のキー入力を想定されるでしょうか?また読ませたいブログ以外は文章量もそれほど多くはありません。となるとビジネスユースに使われることが想定されます。

では、そのようなケースにおいてクラムシェルタイプAndroidが、WindowノートPCのメリットは何でしょうか?

価格に関しては3万円台のWindowsノートPCが存在しているため、両者を価格で差別化することは出来ないでしょう。

性能に関しては、現時点では安価なx86はCortexA9よりも高速です。ですが、Cortex-A15はそこそこ高速ですし、性能を割り切れるケースもあります。またIntelとGoogleはx86でAndroidを動作させる提携を行いました。このため、クラムシェルタイプAndroidにx86を搭載すれば、性能差はなくなることになります。

両OSで明確に違うのはマルチウィンドシステムだと思います。Androidは1つのアプリが全画面支配しますが、Windowsはマルチウィンドシステムです。ビジネスに使う場合は、別のアプリを参考にしながら資料やグラフ等を作成するでしょう。マルチウィンドは必須です。ただし、10インチ以下のサイズならば実質マルチウインドがしづらいためデメリットにならないかも知れません。これはサイズ次第ですが。

他にはアプリの量です。Windowsアプリは大量の資産があります。ですが、Androidアプリの増え方はもっと勢いがあると考えるべきです。スマートフォンも高精細タイプしたアプリならば、クラムシェルタイプAndroidでも動く可能性があります(横と縦では無理かも知れないけど)。このため、アプリ量・質に関してはAndroidに将来的に分があると考えています。

製品がでていないため憶測以外なにもでもありませんが、Androidはたぶんスマートフォンと同じSoCを使うため3G/LTE対応製品が出てくるでしょう。これにより販売ルートにキャリアも絡んでくる可能性もあります。WindowsノートPCで3G対応製品やUSBで対応する製品は存在します。ですが、ARMの通信回りが入っているSoCとそうでないx86では対応状況が違います。

また、Androidは高精細製品が出てくる可能性があります。WindowsノートPCは低価格のため、1366x768以外出すことはないでしょう。ですが、AndroidはNexus 10を見る限り10インチでも2560x1600の高精細を実現しています。価格がどの程度抑えることができるかはわかりませんが、解像度が4倍も違えば見栄えは相当違います。

このため、クラムシェルタイプAndroidは、WindowsノートPCに対して一定のアドバンテージがあると考えられます。

また、Googleのトップは否定していますが、Chrome OSとAndroidは統合することになると思うのです(統合否定のニュースを鵜呑みすることなんか出来ません。スティーブ・ジョブスだって、"7インチタブレットは指削らないとだめ"とか言っておきながら、iPad mini出しましたしね。統合否定の話はブラフ以外には聞こえません。)。2,560x1,700ドットを搭載したChromebook PixelにもしAndroidが搭載されたらどうでしょうか?WindowsノートPCよりも魅力はないでしょうか?

また、現在のAndroidはマルチウィンドを採用していないため、ディスプレイのサイズが大きくなっても少しもメリットはありません。ですが、進化速度が早いAndroidがクラムシェル対応してマルチウィンドを採用しても面白いと思うのです(Chrome OSは対応しているしね)。マルチウインドさえ対応すれば、12インチ以上のディスプレイサイズには対応可能ですし、仕事にも本格的に使うことが出来るものになります。

Android端末の出荷台数の拡大や高精細化や3G/LTEのデフォルト対応などがあればクラムシェルタイプAndroidはWindowsノートPCよりも一定のアドバンテージがあると思われます。また、Chrome OSとの統合やマルチウインド対応できればWindowsとの全面対決も不可能ではないと思われます。このように思うとクラムシェルタイプAndroidは、Androidの将来に大きく影響を与える製品ではないかと思われます。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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