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著者の山本一郎氏は、切込隊長改め"やまもといちろうBLOG(ブログ)"で書いている方です。ブログでは業務やネットネタに関する鋭い考察は一読の価値ありと思います。本書では残念ながらブログほど切れ味はありませんが(あっちゃだめだけど)。

組織論としてピーターの法則を紹介しています(知りませんでした...)。

「有能な人間が出世して、有能で無いレベルに到達するとそこで出世しないため、無能な人間によって全て埋まっていく。だから大きな組織はたいてい全体として無能になっていく」

組織が硬直化のもとはこれなのでしょう。この状況で日本社会が失敗する要因は著者が指摘しています。

日本のリーダーにビジョンがないと言う批判は、日本社会なり経済事業にとってお荷物とされる人たちを切り捨てられるだけのタフネスや、失脚しないだけの磐石な支持基盤を持たないことを意味する。

海外では組織ごとの売却や首を切るやり方は良くあります。IntelもDRAM撤退とか、Appleのジョブズ復帰後のラインナップ大整理とか大鉈を振るわないと組織の硬直化を解消しないのでしょう。これほど大きな大改革は日本人には出来ないのではないかと思われます。

オリンパスは日本風の典型的な最悪なケースなのでしょう。

また、著者は極端なものづくり信仰による失敗と太平洋戦争の兵站・補給を軽視した戦力投入ミスが似たようなものだと言っていますが、これは現在のブラック企業化と太平洋戦争の失敗は何も変わっていないことを示唆しています。

"頑張り努力すれば戦局はいつか打開できるという勝算なき突撃は未だに日本社会で行われている。"と著者が指摘していますが戦争中から日本の組織運営は少しも成長していないことになります。

日本は戦後で世界でも稀有な存在なほど復活しています。これは明治維新から日露戦争までの日本が欧米を短期間でキャッチアップしたところと似ていますが、その後は太平洋戦争やバブル崩壊後の低迷と似たような末路をたどっているところはもう少し考えてもいいところではないかと思います。

成功体験が時代の変革期に足かせになっているとも考えられますが、大きく変えるほどガッツがあるリーダーは日本では出にくいのは上記の意味合いもあるでしょう。

著者のブログでは業務やネットネタ以外でも、野球ねた(腹抱えて笑える)や大カトーもかくやと思うほど粘着ぶりもありますが、読まれていない方は一度読まれたほうが良いと思います。"茹で蛙たちの最後の晩餐"も好きなので、ゲームレビューも継続して書いて欲しいものです。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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