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"Top500 CPUアーキテクチャの推移の考察(2011.11)"でTegra 3でARMにCUDAコアでスパコン作る話がありました。Tegra 3はCUDAコアを搭載していないし、シリコンを見てもPCI-Expressのバスは持っていなさそうに見えるし、どうするんだろうと思っていたらGPU Technology Conference Asia 2011で"CUDA for ARM Development Kit(以下Development Kit)"が発表されました。

"NVIDIA,TegraとQuadroが載った「CUDA for ARM」開発キットを発表。2012年第1四半期に発売へ"

これを見てやっつけ仕事ぽい感じがしなくてもありませんが、結構面白い製品になりそうな予感がします(Tegra 3はPCI-Expressバスが少しは持っているのかも知れないなぁと思いました)。

Tegra+CUDAスパコンはGPU部分を過多な作りになると思っていました。そのほうが単体として性能がいいですし、既存のGPUスパコンはそのような構成をとっているためです。ですが、Development Kitを見るとTegra側にあわせた省電力なGPUを搭載しています。バスの速度が速くなさそうなため強力なGPUを搭載しても実質性能がでないためこの構成の可能性もありますが。

ですがよくよく考えると昨今のスパコンのCPUを見ているとこの傾向は正しいように思えました。Top500のNo.1の京スパコンのCPUはスパコン向けに特化したSPARC64 VIIIfxは、消費電力あたりの性能を目指したものになります。また、次にトップに立つと言われているIBMのBlue Gene/Qも同様な構成のCPUで消費電力あたりの性能を目標にした製品です。

スパコンは熱の壁を越えるために特殊なCPUに進化してきています。このため省電力なCPUとGPUを組み合わは現在のスパコンCPUトレンドをヘテロジニアスマルチコアで実現する方向に見えます。

Development Kitがそのまま製品になることは無いでしょうし、NVIDIAとして外付けGPUコアではなくARMコア+CUDAコアのSoCにしてHPC、PC、モバイルまで市場を取りたいところでしょう(スマートフォンはCUDAコアはリッチすぎると思うのでまだまだでないと思いますが)。

Development KitはUbuntuしか動かず実質用途はそれほど多くは無いと思いますが、NVIDIAはこのように下地を作ってから地道に市場を開拓するのがうまい(スパコンのGPU採用など)ので、今後の製品ラインナップは面白いことになりそうです。

追記(2011/12/20 19:27):

ITmediaさんでも掲載されました。NVIDIAのヘテロジニアスマルチコアへの力の注ぎ方はかなり大きくなるのではないかと思います。NVIDIAとしてはCPU部分の高性能化を欲し、ARMがモバイルデバイス以外への進出を願っていることを思うと両者の組み合わせでもっとARM系コアが進歩するのではないかと思ったりしています。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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