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"Canonical、Ubuntu をタブレット / 携帯電話 / 車 / テレビに展開へ"でUbuntuでメディアタブレットへの進出を目論んでいるようです。ただし具体的な製品は2014年らしいですが。

現在最も勢いがあるメディアタブレットのOSはiOSです。Androidも進出していますが、芳しくないと言われています(数字が出ていないので分からない)。また、MeeGoやwebOSも撤退して、ARM版Windowsが2012年以降しか発売されないため、現在iOS vs Androidの様相です。

iOSは他社にライセンスされないため、サードーパーティのメーカは実質Androidしか選択肢がありません。この状況を改善しようと言うのがCanonicalの選択です。LinuxのPC OSで最もシェアが大きいUbuntuを背景に他のカテゴリに進出するのでしょう。

気になるところはメディアタブレットなどのカテゴリでUbuntuが成功するかです。

登場時期が2014年ですが、あまりにも遅いと思います。そのころにはOS競争は既に終結していると思います。すばらしい製品ならば跳ね返すこともあるでしょうが、出荷台数が2015年には2.9億台に到達する製品カテゴリです(2014年は...2億台前後か?)。この時期に登場してもよほど良い製品で無ければ立ち上がることも大変でしょう。

また立ち上がりに必要なアプリはどうするのでしょうか。iPadが成功した要因の一つにiPhoneの下地があり、iTunesストアでのアプリ展開もあったためです。

Ubuntuのアプリインストールやライブラリのupdateは結構簡単です。ですが、ARM版を準備するのはまた違いますし、メディアタブレットやスマートフォンでは画面構成が違うため、別のアプリが必要です。スタートしてどの程度早く揃えることができるでしょうか。

また、製品の価格も重要になります。Kindle Fireや安売りしたTouch Padが売れていることを考えると価格は重要なポイントです。Kindle FireはAmazonの売り上げをサポートするための製品であり赤字になっても問題ありませんし、Touch PadはHPが手を引いたため安売りになりました。安いには理由がありました。

Canonicalがハードまで手を出すとは思えません。このため低価格による販売数を増やすことは出来ないでしょう。

2014年にはAndroidもARM版Windowsもある状況でUbuntuのメディアタブレットを作ってくれるメーカがどの程度あるかかなり疑問です。

とはいえ、少しだけ目がないこともありません。早い時期にARM版Ubuntuでクラムシェルタイプを出すことです。IntelがUltrabookを推進したり、AppleのMacbook Air等の薄型ノートPCが販売されています。このカテゴリには性能は重視されずスタイリッシュと価格が重要になるでしょう。ならばARM版UltrabookのUbuntu版を出すのもありではないかと思われます。

この下地がある状況で同じアプリが使用できるメディアタブレットやスマートフォンが出てくれば面白い状況を作りえることができるのではないかと思います。まぁ、ARM版クラムシェルは東芝やNECが出したことがありますが、ぱっとした結果が出ていないので難しいかも知れませんが。

ただし、現在のところiOS/Mac OS X、Android、Windowsで、どれも全てのプラットフォームを統一できたものは存在しません。Ubuntuは各カテゴリ(スマートフォンからPCまで)を唯一統一できるプラットフォームになれる可能性はあります。参加者が多ければ混沌としますが活気がでると思うのでCanonicalにはチャレンジして欲しいものです。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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