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"Appleの次期プロセッサ「A6」、Samsungが製造を立ち上げ"を読んでちょっと考えました。

記事の中でもありますが、現在AppleとSamsungは訴訟合戦で闘っています。ですが、右手で殴りあいながら、Appleの戦略的重要なプロセッサであるAシリーズの製造委託しているため左手では握手している感じです。このため、TSMCに移るのではないかと噂が出ていましたがFabを変更することは簡単ではありません。このためニュースが本当ならば、とりあえずは次のA6まではSamsungがメインの製造を担うようです。

現在のAシリーズは以下になっています。

A4:Samsung Cortex-A8 1core 45nmプロセス 1.0GHz L2:640KB 53平方mm 2010年登場
A5:Samsung Cortex-A9 2core 45nmプロセス 0.8-1.0GHz L2:1MB 122平方mm 2011年登場
A6:Samsung Cortex-A? 4core 28nmプロセス ?GHz L2:?MB ?平方mm 2012年登場?

これを見て一番思うことは、A6は4coreなのかな?(先日行われたAMDのイベントではfour coreって言っていた。6/8コアまでいくと普通にカウントする方向になるのでしょう。)

A5でダイサイズが増えました。この影響をもろにかぶったのはiPod touchです。A5はA4よりもコストがかかるため、安価なiPod touchには採用できなかったのでしょう。また、iPhone 4Sに採用されたA5はiPad 2から比べても周波数が200MHz低いものになっています。それだけスマートフォンの筐体には入れづらい発熱コストもあるのでしょう。

A4とA5は同じプロセスルールを使っているにも関わらずコア数を増やしコアをリッチにしたため予想された結果でした。このため、A6では省電力化を目指すためプロセスシュリンクだけだと噂もありました。

シュリンクして4コアに増量ならばダイサイズはA5と変わらないサイズに収まり、省電力化は大幅に改善されない可能性があります。

他に気になるのはコアのアーキテクチャは、Cortex-A9なのか、Cortex-A15なのかです。2012年の終わりになればCortex-A15が登場する時期です。TIはCortex-A15を採用したOMAP 5を3Q'12に出荷予定です(OMAP)。

Cortex-A9とCortext-A15でダイサイズがどの程度増えるのか分かりませんが、一度のシュリンクでコア数倍増とコアリッチにしてはA6のサイズはA5以上になってしまいます。これではiPadに入れれても、iPhoneには苦しくなるのではないかと思えてなりません。

4コアまで増やすのならば、もっとリッチな筐体に入れるのも想定されているように思えます。Macbook Airです。iPad以上のディスプレイガジェットに入れようと思うとApple TV形式(Mac mini)になるかPCの様な形態にせざるを得ません。なぜならば12インチを手に持つことは重量的にありえないと思えるからです。そうなるとMacbook Air形式が有力だと思われます。

また、Appleは半導体開発者を1,000人体制にしたと噂に流れています。まだまだ今後もCPU開発に投資することのあらわれですが、自社消費しかしないAppleには投資分を上回る収益を上げるにはiOSデバイスを増やす方向にせざるを得ません。既存のラインナップの強化することで出荷数を増やすことが出来ますが、ラインナップの拡充するの方がより効果的だと思われます。

そうなるとよりA6でさらに強化する方向に振るほうが妥当なような気がしてきました。時期的に厳しいですがCortex-A15にするのではないかと思われます。TIがOMAP 5の登場時期を考えて不可能なスケジュールには見えません。

ただ、Cortex-A15を採用されれば、A6のサイズは決して小さくなくなりiPhoneや安価iPod touchには入れられないことになります。さすがにiPod touchを2世代もCPUチェンジしないものゲームデバイスとして魅力が減少してしまいます。そうなるとA6では2コアdisable版かもしくは、2コアの別設計版も出てくる可能性があるのではないかと思えてなりません(最初は歩留まりを上げることと設計コスト削減するために2コアdisable版かな?)。

AppleのCPU戦略は自社消費するため製品のラインナップに密接に関係します。逆に言えば、CPUのロードマップを予測・把握できれば次に投入する製品が分かるかも知れません。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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