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情報がだだ漏れ状態だったThinkPad X1(以下X1)がようやくLenovoから発表されました。X1は、ThinkPad史上最薄らしいですが、日本は世界で最も薄型・軽量化ノートPCが普及している地域です。そこで、薄型ノートPCの今までの系譜から、将来を考えてみます。

昔、薄型ノートPCといえば、シャープのMebius MURAMASAやDynabook SSが有名です。モデルによっては結構違いますが、薄さと軽さは以下になっています(結構ばらばらなので、最も薄く軽いものを選びました)。

 

Mebius MURAMASA 13.7~19.6mm 0.95kg
Dynabook SS 14.9~19.1mm 1.19kg

MURAMASAを見たときは、かなりショッキングでした。これほど薄く作れるのかと思ったものです。ですが、薄さと引きかえに低性能と高価格になりました。Dynabookの開発者の記事で、薄くすると使用できる部品が限られるため高価格すると書いてあった気がします(昔の記憶で確証はちょっと低い)。

また、当時の薄型に入れることが出来るHDDは低性能(低回転)でもありました。ストレージの性能はOSやアプリの起動に反映されるため、より遅く感じたのではないでしょうか。

このため、薄さ(見た目)を捨てて軽さ(実利)を取ったLet's Noteシリーズは、成功を収めました(頑丈さも選択したため、薄さを選択できなかったとも言えます)。

これらは薄さと軽さは、価格と性能が相反していました。このため、初期の薄型ノートPCの系譜はここで途切れます。薄型に邁進していたシャープがPCへの意欲が減退したものもあると思いますが。

薄型のトレンドが2008年頃にこの流れが戻ってきました。それは、MacBook Air(以下MBA)の登場とThinkPad X300でしょう。

MacBook Air 4.0~19.4mm 1.36kg
ThinkPad X300 18.6~23.4mm 1.33kg

1.3kg前後で2.0mm前後の薄さです。性能も悪くはありません。また、SSDが最初から搭載され、初期の薄型ノートPCのストレージのネックが解消されまいた。

ですが、両機種とも決して安くはありませんでした。薄型のデメリットの一つが出た感じです。

これに対する回答は、Appleが最も顕著でした。最初のMacBook Airは高価格過ぎましたが、Late 2010 MacBook Airは薄さとほとほどの性能と低価格でした。

また、SonyからAtomを搭載して性能はいまひとつですが、非常に薄く・軽いノートPCであるVAIO Xを発表しています。

MacBook Air 11inch 3.0~17.0mm 1.06kg
MacBook Air 13inch 3.0~17.0mm 1.32kg
VAIO X 13.9mm 0.66kg

この状況でLenovoはX1を発表しました。ThinkPad史上最薄で、硬いゴリラガラスを採用していると思います。

ThinPad X1 16.5~21.3mm 1.69kg

Core i5-25xxMの通常版を搭載するため、性能は一般的なノートPCと同じです。このあたりはMBAの後から出たとしてもノートPCとしては高性能な部類でしょう。薄型の割には若干重いです。価格に関しては、Lenovo価格なのであまり意味がありません。オンラインストアと季節ごとのディスカウントで価格はある程度上下します。

最近の薄型ノートPCは、初期のトレンドとは違って極端な薄型にせずに性能を維持しています。また、低価格化なところもポイントです。ムーアの法則どおりと言えば、それまでですが、薄型は見た目もいいためこのトレンドは潰えないことを期待しています。

ただし、薄型のトレンドは大きく流れが変わる可能性があると考えています。それはARMとライトOSの登場とSSDの普及です。

ARMが性能的にx86のローエンドと重なろうとしています。また、フルOSの必要性が低下しています。さらに、最も場所をとり低コスト化できなかったストレージがNANDの低価格と大容量化により、薄型ノートPCを形成しやすくなっています。例えば、IntelからmSATAコネクタの小型SSDが発売されています。このサイズで80GBです。ライトOSには十分すぎるサイズです。

ARMとライトOSはメディアタブレットより小型のカテゴリに普及していますが、ChromebookはノートPC筐体を採用しています。このため、ARM&ライトOSが薄型ノートPCカテゴリに進出した場合に、X1やMBA等がどのようにチェンジするのか見ものです。

コスト競争とARMの省電力を考えるとMBAは最終的にARM&iOSを採用すると予想しています。MBAをライバル視するX1は最後はどのような製品になっているのでしょうか。ThinkPadブランドは企業向けのため性能低下を嫌う傾向(未だにAtomを採用しないところ)が高いため、ライトOS採用はしないかも知れませんが、ARMにより省電力化の波にどの程度抵抗できるでしょうか。

キー入力と持ち運びを考慮に入れるとハードウェアキーボード一体型のノートPCの形態は無くならないと思いますが、どこまで薄型と軽量化がされるものでしょうか。将来的に驚くような製品を期待しています。

2011/05/19 0:04 MacBook Airの薄さが違っていました。修正しました。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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