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Gartnerは、2011年のPC出荷台数予測を発表しました。2011年は3.88億台で、2012年が4.41億台です。2010年のPC出荷台数は3.51億台です。

この数字を単体で見ても理解できないものです。そこで、スマートフォン、メディアタブレットとの比較してみました。

PCは過去2003~2010年まではGartnerが発表している数字を使用します。2011年、2012年は今回発表された数字を使用します。メディアタブレットは"メディアタブレットの繁栄とネットブックの衰退"の数字を使用します。

スマートフォンは、2010年まで公開しているデータを使用し、2011年は2010年の1.54倍したものを使用します。この数字は"スマートフォンの出荷台数はいつPCを抜くのか"で、2010年2.69億台、2011年は4.13億台と発表されていますが、2010年の出荷台数が違うためそのまま使用できません。そこで2011年出荷台数/2010年出荷台数の比率を使用して2011年のスマートフォンの出荷台数を4.56億台としてグラフを作ります。

(出典:Gartner)

PCの出荷台数予測に関しては、妥当なところだと思っています。例えば、2003~2008年までの平均的な伸びは、12%増です。金融不況がなく平均ペースで2009年出荷されたとすると3.25億台です。

2009年の数字を入れ替えて2003~2010年のPC出荷台数平均の伸びは11%増となります。2011年は2010年に対して11%増のため、平均的にPC出荷台数が伸びていれば、2011年と2012年は平均的な伸びの数字になっています。2012年は若干多目ですが、過去のデータからも突出して多いことはありません。

このため2011/2012のPCの出荷台数は過去のデータの範囲内と言えます。

ですがスマートフォンとメディアタブレットはどうでしょうか。2011年のスマートフォンの出荷台数予測が発表されているわけではないので、憶測の数字になっています。

ですが、この数字さえ控えめの可能性があります。2009年から2010年の伸びを見ていると2011年の数字はどの程度伸びるのか予想が出来ません。私は最高のシナリオで5.0億台の突破もありえると予想しています(4.5~5.0億台あたりではないかと)。

若干気になるのがNokiaのWindows Phoneの転換のニュースです。このニュースで最も売れていたSymbian系のスマートフォンの出荷台数が大きく減るでしょう(将来的にサポートしないスマートフォンをほしいと思うのでしょうか)。Symbianは、4Q'11にはWindows Phone系にさえ抜かれるでしょう(NokiaがWindows Phoneが出荷できなくても)。

Symbianの穴埋めを全てAndroidが担うことができるかどうかはわかりません。半分はカバーできると思いますが。

このため、スマートフォンの出荷台数は、継続的な成長するシナリオとNokiaの後継機種投下遅れに伴う横ばいのナリオの二つが考えられます。製品を出荷の予定が立たない状況でのアナウンスは、誠意はあってもかなり商業的には厳しい発表だと思います。Appleみたいに近日中に発表できる状況まで持っていてアナウンスしたほうが良かったのではないかと思われます。

また2011年のスマートフォン・メディアタブレットのプラットフォームを合計すると5億台の突破はかなり楽勝に思えます。5億台 vs 3.8億台では、どの程度周りのアプリの売り上げが違うか分かりませんが、両者に対してアプリを作っているメーカは、方針を大きく変えるだけの影響はあると思います。

"歴史は繰り返されるのか"を書いた理由は、2011年のスマートフォンの出荷台数が私の予想よりも多ければ各メーカの転換がもっと早く起きると思われます。

CESでMotorolaが発表したATRIX 4Gですが、スマートフォンとして使いながらもノートPC様にも使うことが出来ます。もしこれが受け入れられるならば、フルOS(WindowsやMac OS X)不要論が出てきてもおかしくはありません。

私のPCはトリプルディスプレイで作業をしています。ですが、大きなストレージもCPUパワーも必要な作業はほとんどしていません。大きなディスプレイ、キーボード、マウスとマルチウインドの環境さえあればほとんどのこと(90%)が完了できます(できないのはゲームだけです)。

現在のフルOSは、多くのユーザにはリッチすぎると思われます

この考えが正しいのか分かりませんが、もし多くのユーザに受けいられたときにどうなるでしょうか。MotorolaのATRIX 4Gの様に外に出ているときは手のひらに、仕事の環境ではそれを元にディスプレイ、キーボード、マウスをつなげてUIだけリッチにすればいいのです。

ATRIX 4Gのような発想は以前からありましたが、成功したケースは皆無です。成功しなかった最も大きな理由はスマートフォンサイズ(もしくはメディアタブレットサイズ)にリッチなCPUを搭載できなかったためです。ですが、ムーアの法則どおり進歩したおかげで、十分な性能が手のひらサイズで実現できる時代がきました。

上記の考えもスマートフォン・メディアタブレットのライトOS陣営の出荷台数が少なければ妄想の範囲を超えることはなかったでしょう。ですが、出荷台数が大幅に逆転したらどうなるでしょうか。ATRIX 4Gライクな発想は主流になっても不思議はありません。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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