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まずは、モチベーション*.0とは、以下の様に本書では規定しています。

・モチベーション1.0とは、生殖などの生存本王に基づくもの
・モチベーション2.0とは、アメとムチで駆り立てられるもの
・モチベーション3.0とは、自分の内面から湧き出るやる気に基づくもの

本書では、モチベーション2.0が人間の行動を抑止させるか説明しています。それは、以下の理由だからです。
・外発的(収入など)に動機付けられた利益を最大化しようとしているだけではなく、内発的(楽しいや有意義等)に動機づけられた目的も最大化しようとしている
・人は、損得しか眼中にない経済ロボットではない
・クリエイティブで興趣に富み、自主性を発揮できる仕事に就く人が著しく増えている(アメとムチで働くわけではない)

また、モチベーション2.0は数々の実験によって効果的でないことを訴えています。
・子供に絵を描かせるのに前もって賞を与えることを通知したグループ、絵を描いた後に賞を与えることを通知したグループ、賞を与えないグループの三つのグループでは、前もって賞を与えることを通知したグループが最もモチベーションの低下(絵を描くことへの興味を失う)していた。
・外発的(収入)な動機付けが学生時代に低ければ低いほど、卒業して数年後及び20年後も、プロの芸術家して成功する割合が高い
・献血において自発的に来た人に報酬を提示するとやめる確率が高くなる

アメとムチが効果を上げるというのはうそなんです。

これは、金銭を報酬とした場合ドーパミンがでやすいですが、これは常習性薬物やニコチンと同じで瞬間的には効果があるが持続性は乏しいためのようです。このためモチベーション2.0は、人間の生理的に効果的でないようです(注:ただしモチベーション2.0が効果的なパターンもあり、それが記載されています)。

効果的でないモチベーション2.0の解決策として本書は、モチベーション3.0と訴えています。

モチベーション3.0は、自律性、マスタリー(熟達)、目的の三本柱でやる気を促します。

自律性に関してはスリーエムのポストイットの開発が有名です。通常業務外の15%の時間で発明したあまりくっつかないのり(ポストイット)が同社の有名な製品として君臨しています。また、Googleの20%ルールもそれに該当するでしょう。

マスタリーとは、何か価値のあることを上達させたいという意思です。ただし、その道のりは険しいため、満足できる経験(フロー状態)を使って乗り越える必要があります。マスタリーだけは、モチベーション3.0には納得がいかない人もいるでしょう。このあたりはある程度マスタリーを経験している人はなるほどと腑に落ちるかも知れません。

高邁な目的のために実行する人々はさらに多くを達成できるとありますが、これは自己啓発本でも良く取り上げられます。真新しくもありませんが、真理とも言えます。

本書の第3部ではモチベーション3.0化させるための方法に関して述べていますので、チャレンジしてみるのも良いかも知れません。

私は、モチベーション2.0に限界が来ている考えには賛成です。それはとても人間的でないためです。現在社会に鬱病など仕事でバーンアウトしてしまうのそのような理由ではないでしょうか。

逆にモチベーション3.0の様な自律的な行動を行っている場合は、そのようなことがありません。

例えば、私がオルタナティブブログで書いているのも何も外発的(収入等)な要因があるためではなく、自律的に行っています。それもわりと楽しく(何が楽しいかと言われると、説明しづらい)。私がけっして書くのは速いタイプではないため本ブログは相当時間がかかっています(ほんと時間がかかっているんです...)。けれでも、じゃ止めたいかと言うとそうでもありません。このあたりの心理状態がモチベーション3.0なのかも知れません。

本書は、私が2010年(まだ半分しか終わっていないけど)に読んだ本の中では、Freeと同レベルの面白さでした。端的な評価としては、"人に強く勧めたい一冊"です。

【本関係】
" 「結果を出す人」はノートに何を書いているのか実践編"の感想
"新書がベスト"の感想
グーグル秘録~完全なる破壊~の感想

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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