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VIsible Measuresから2011年5月度のバイラル動画広告ブランド別月間視聴ランキングTOP10が発表された。ブランド別の視聴ランキングも確かに気になるが、バイラル動画広告の総括ということであればタイトル別の月間ランキングもやはり必要だ。そこで、Visible Measuresが毎週公開している、タイトル別週間視聴ランキングを独自に集計し、2011年5月度のバイラル動画広告視聴月間ランキングTOP20をまとめてみた。

※ The Top 10 Brands in Video Chart

【1】 1位はエビアンの「Roller Baybies」

下の「バイラル動画広告月間視聴ランキングTOP20<2011年5月度>」は、5月2日から29日までの視聴回数を集計したデータをまとめたものである。Visible Measuresは週単位でのランキングのみ公開しているため、下のランキングはそのVisible Measuresのデータを使用している。

1位は520万ビューを集めたエビアンの「Roller Baybies」、2位は僅差で510万ビューを集めたT-モバイルの「Royal Wedding」という結果だった。4月15日に公開され、4月18日の週にいきなり初登場ながら850万ビューを集めて1位に輝くという、センセーショナルを巻き起こしたT-モバイルの「Royal Wedding」。そのT-モバイルの「Royal Wedding」が、数字の面では初登場の週の3分の1以下に落ち込んでしまったものの、2位をキープする結果となった。しかし、今回の結果でT-モバイルの「Royal Wedding」以上に驚かされたのが、エビアンの「Roller Baybies」だ。

エビアンの「Roller Baybies」は、今回のTOP20中3番目に古い2009年7月1日に公開されたバイラル動画広告である。公開からもうすぐ2年になろうとしているタイトルが、こうして新作を抑えて1位になることに驚きを覚えた。6月23日の記事「オンライン動画広告視聴レポート<2011年第1四半期> 前年同期比の約2倍となる7.7億ビューを記録。Visible Measures調査」で2011年第1四半期のTOP5を発表しているが、そこでも堂々5位に食い込んでいる。長期間に渡ってたくさんのユーザに支持されている、バイラル動画広告界が誇るマスターピースとも言えるタイトルだ。

バイラル動画広告界が誇るもう一つのマスターピース、ブレンドテックの「Will it Blend?」が6位にランキングされているのにも驚かされた。TOP20中最も古い2006年12月30日公開のシリースでありながら、いまだに月間260万ビューも視聴されている。「Will it Blend?」については、詳細な記事をレポートしているので、是非そちらも参考してほしい。

※ 「バイラルビデオ広告部門のトップに君臨する「Will it Blend ?」シリース全109作品を分析しみてみた(109本全リスト付き)」

Top2020115

下のグラフは、ランキングTOP5の視聴回数の変化を週単位で表したものである。このグラフを見ていただければわかる通り、エビアンの「Roller Baybies」は、毎週安定して視聴されていることがわかる。一方、T-モバイルの「Royal Wedding」は毎週数字を下げているが、この現象がどちらかと言えばバイラル動画広告が一般的に辿る推移だと考えていい。

T-モバイルの「Royal Wedding」は、4週間に渡って100万ビューを維持していたことからもわかるように、非常に高いレベルにある珍しいバイラル動画広告だ。通常は、バイラルする期間は1週間である場合がほとんである。例えば、12位にランキングされているマイクロソフトの「Search Overload Syndrome 2011」は、5月9日の週にいきなり147万ビューを記録し、その週の1位に立ったバイラル動画広告である。ところが、週を重ねるごとに数字を落とし、5月23日の週にいたっては1,438ビューまで落ち込んでいる。

一般的に、バイラル動画広告の賞味期限は1~2週間程度と考えておくべきだ。それ以降は、極端な下降線を描いて視聴回数は低下して行くことになる。

Top520115

2011年5月度の週間ランキングTOP10をピックアップしたのが下の図だ。毎週TOP10に顔を出しているのは、なんとエビアンの「Roller Baybies」とブレンドテックの「Will it Blend ?」の2つのみという結果になった。いかに毎週続けてTOP10にランキングされることが難しいかということをこの表は物語っている。

Top1020115

下の円グラフは、月間ランキングTOP20の公開年月のシェアを表したものである。3ヶ月以内公開された最新のバイラル動画広告が全体の55%(12作品)を占めていることがわかる。その一方で、2010年12月以前に公開されたバイラル動画広告が6作品(30%)あり、その中の二つが毎週TOP10の常連であるエビアンの「Roller Baybies」とブレンドテックの「Will it Blend ?」だという結果は注目に値する。

Top2020115_3

【2】 ブランド別ランキングではT-モバイルが1位に

Vissible Measuresが新たに「The Top 10 Brands in Video Chart」というデータを公開した。下の表は、「The Top 10 Brands in Video Chart」の数字をまとめたものだ。2011年5月度のブランド1位は、840万ビューを集めたT-モバイル。T-モバイルは、タイトル別のランキングで2位になった「Royal Wedding」以外にも、「Dance」、「Welcome Back」、「Sing-a-long in Trafalgar Square」などのバイラル動画広告が公開されており、全体を通して多くのユーザに視聴されたことがわかる。

ブランドとしてTOP10にランキングされるためには、同期間中に複数のタイトルを公開することが必要になる。例えば、720万ビュー近く集めて2位にランキングされてるグーグルは、タイトル単体では「The Web Is What You Make Of It」が4位にランキングされているだけだ。しかも、その「The Web Is What You Make Of It」の視聴回数は310万ビュー。残りの410万ビューを他のタイトルが集めたことになる。グーグルは、同期間中に数多くのバイラル動画広告を公開し、ブランド全体として視聴回数を集めることに成功している事例の一つである。

Top1020115_2

【3】 産業別ではオールドスパイスとジャスティン・ビーバーが貢献した健康・美容が1位に

産業別では、1,170万ビューで健康・美容が1位にランキングされた。オールドスパイスの安定した数字と、初登場でいきなり317万ビューを記録した、ジャスティン・ビーバーを起用したサムディという香水がランキングに大きく貢献している。この2つのブランドだけで840万ビューを記録していることから、いかにこの2つのブランド力が大きかったかということがわかる。

健康・美容以上に特定のブランドへの依存度が高い産業が通信である。960万ビューで4位にランキングされているが、その内の840万ビューがT-モバイル。いかにT-モバイル1社しか強力なブランドが存在していないかということがわかる。

反対に、僅差の1,100万ビューで2位にランキングされているアパレルは、ブランド別で9位にランキングされているナイキと、10位にランキングされているDCシューズとで630万ビューを記録している。アディダス、アルマーニ、リーバイスなど他のブランドも貢献度が大きいことがわかる。

1,070万ビューで3位にランキングされた飲料も、アパレル同様有力なブランドが揃っている。エビアンが650万ビューであることから、残りの420万ビューをサンドロップ、レッドブル、ペプシ、コカコーラ、スマートウォーターなどのブランドが貢献したことになる。

Top520115_2

【4】 まとめ

●エビアンの「Roller Baybies」が1位になったということは、直近で公開されたバイラル動画広告にそれほど有力なタイトルがなかったということ。

●ブランド別で上位にランキングされるためには、複数のタイトルを公開する必要がある。グーグルのように際立ったタイトルがなくても、数多くのタイトルを公開することでブランド全体の視聴回数を集める方法もある。

●産業別では、特定のブランドへの依存度が高い健康・美容、通信と、複数の強力なブランドが存在するアパレル、飲料などに分かれる傾向が強い。


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伊藤 靖

伊藤 靖

株式会社リトルウイングス代表取締役。
青森県弘前市出身。大田区蒲田在住。
企業のメディア戦略、コンテンツ戦略、モバイル戦略の構築と実行をサポートするサービスを提供しています。

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