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モバイルインパクト(スライド付き) - モバイル×ビデオの最新トレンドと活用事例 -

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久しぶりのブログ更新です。先週金曜日(2月24日)、ソフトバンクモバイルさまとイシンさまと一緒に「動画×アイパッド:企業のためのアイパッド最新活用セミナー」を開催しました。私は、「モバイルインパクト -モバイル×ビデオの最新トレンドと活用事例-」というタイトルで、モバイルビデオの可能性と活用事例についてお話させていただきました。

今回は、私が話したセミナーの概要を簡単にレポートしますので、興味のある方は是非お読み下さい。また、最後にセミナーで使ったスライドも公開していますので、こちらも是非ご利用下さい。しばらくブログの更新が途絶えていたのは、このスライドを全て作成し直していたからです。それくらい力を入れて作成したスライドなので、少しでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです。


■ モバイルインパクト -モバイル×ビデオの最新トレンドと活用事例-


1. プロローグ:スティーブ・ジョブズ57回目の誕生日に

● アップルが1984年のスーパーボウルで公開したCM


最初に紹介したビデオは、後に「ブレードランナー」を生み出すことになる映画監督のリドリー・スコットが手掛けたアップルのCMです。このCMは、1984年のスーパーボウルで放映したもので、当時メインフレームでコンピュータ業界を支配していた巨人IBMに挑むアップルが、PC時代の到来を高らかに告げた歴史に残るCMとして有名です。

このCMが放映された1984年は、PCはもちろん普及していませんでしたし、インターネットもモバイルもこの世にまだ存在していませんでした。尚、このビデオを最初に取り上げたのには大きな理由があります。このセミナーを開催した2月24日が、モバイルイノベーター、スティーブ・ジョブズ氏57回目の誕生日だからです。

ハッピー・バースディー、スティーブ!


● ベスト・バイが今年のスーパーボウルで公開したCM


アップルが高らかにPC時代の到来を宣言した1984年から28年後の今年のスーパーボウル、アップルはもとより、PC関連企業が1社も広告を出稿しなかったことが話題を呼びました。代わりに増えたのが、モバイル関連のCMです。例えば、大手家電量販店のベストバイは、スティーブ・ジョブズの死をきっかけに、急遽セレブの起用をやめて(参考までに2011年はジャスティン・ビーバーを起用して話題になった)、モバイルの発明と進化に大きな功績を残した発明家へのレクイエムというべき内容のCMを公開しました。

それは、28年前にアップルが大型コンピュータ時代の終焉を告げたように、今度はベストバイがスティーブ・ジョブズの代わりにPC時代の終焉を告げているかのようでした。


2. モバイル新世紀

今、米国では、ソーシャルメディアと並んでモバイルへの関心が非常に高くなってきています。米国のニュースを見ていると、モバイル関連の情報を目にしない日はありません。それは、今まさにモバイル新世紀の真っ只中にいることを私たちに教えてくれているかのようです。そして、モバイルは、ソーシャルメディア同様、私たちの生活・仕事に大きな影響を及ぼすインパクトを持っています。

一方で、モバイルというキーワードに新しさを感じないと主張する人もいます。彼らはこう言います。「それはもう何年も前にバズワードになったキーワードだ」と。確かに、12年前にもモバイルブームが起こりました。では、今のモバイル新世紀と12年前のモバイルブームとでは何が違うのでしょうか。


⇒ モバイル新世紀と12年前のモバイルブームの違い

  • 12年前のモバイルブームは日本が市場をリードしていた。ドコモのiモードがモバイルブームの火付け役になり、コンテンツ課金モデルが海外から熱い注目を集めるようになった。現在は、アップル、グーグル、韓国企業が市場をリードしている。一方日本は、ガラパゴス化して孤立する状態が続いている。
  • 12年前はコンテンツがプア(待ち受け画像、着メロなど)だった。現在はリッチコンテンツ(ビデオ、ミュージック、ゲームなど)が主流になっている。消費者の心を掴んで離さない魅力的なコンテンツで溢れている。
  • 12年前とは比べ物にならないくらいネットワークが高速化している。WiFiの登場、そしてLTE時代への突入と、ネットワークの高速化は止まることを知らない。
  • 端末が進化している。スマートフォンとタブレットの登場により、端末はどんどんスマートに進化し続けている。


3. モバイルインパクト

バレンタインデーとYouTube7回目の誕生日を翌日に迎えた2月14、シスコ社からモバイルに関する衝撃のレポートが発表されました。

“Cisco Visual Networking Index: Global Mobile Data Traffic ForecastUpdate, 2011?2016”

という長いタイトルが付けられたそのレポートは、世界が今まさにモバイルの新世紀に突入していることを証明する衝撃のデーで埋め尽くされています。


① モバイルデータトラフィックは現在の18倍になる

全世界のモバイルデータトラフィック量は、2016年までに今の18倍にまで成長します。これは、1カ月あたり10.8エクサバイト、1年間で130エクサバイトに達する計算になります。
※130エクサバイトは、DVDで330億枚、MP3ファイルで4300兆件、テキストメッセージで81京3000兆件に相当する。

CiscoのバイスプレジデントSuraj Shetty氏のコメント。「2016年までに、モバイルユーザーの60%、世界中の30億人が、1人あたり1カ月に1Gバイトを超えるモバイルデータトラフィックを生み出す“ギガバイトクラブ”に仲間入りするだろう。これに比較して、2011年にこの条件を満たしたのは、モバイルユーザーのわずか50%程度に過ぎなかった」。


 

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② モバイル端末の台数は全世界で100億台になる

モバイル端末の台数は毎年増え続けており、2012年中に世界のモバイル端末の総数が世界の人口を超えてしまいます。さらに2016年には、1人あたり1.4台のモバイル・デバイスを所有することになり、この時点で世界の総人口が73億人、機械間デバイス(M2M)を含めたモバイル端末の総台数は100億台に成長します

そして、2016年には、2台以上のモバイル端末を所有する割合が総人口の25%を占めることになります(2011年は8%に過ぎなかった)。

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③ スマートフォンとタブレットでトラフィック全体の58.3%を占める

2016年までに、スマートフォンとタブレットがモバイルトラフィック全体の58.3%を占めるまでに成長します。フィーチャーフォンは、2011年に4.3MBだったトラフィックが2016年には108MBに成長するものの、トラフィック全体に占める割合は5.7%に下がります。

スマートフォンは、2011年に150MBだったトラフィックが2016年には2.6GBに成長し、全体に占める割合は48.3%にまで成長します。タブレットは2011年に517MBだったトラフィックが2016年には4.2GBとなり、全体に占める割合は10.0%に成長します。

モバイル新世紀は、スマートフォンとタブレットが間違いなく市場をリードします。

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4. モバイルビデオ


① ビデオがモバイルデータトラフィックの70.8%を占める

ビデオのトラフィックは、2011年にすでにモバイルデータトラフィック全体の50%を占めるまでになっています。これが今後2016年までに平均90%の成長率で増え続け、2016年にはビデオがモバイルデータトラフィック全体の70.5%を占めるまで成長します。

ビデオは、間違いなくモバイルコンテンツの中心的な役割を担うことになり、ビデオはモバイルコンテンツの王様としての地位を揺るぎないものにします。

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② アメリカ人の3人に1人(約1億人)が毎日ビデオを視聴している

comeScoreによれば、アメリカ人の3人に1人(約1億人)が毎日ビデオを視聴していると言います。2010年は約7,400万人だったことから、年々成長していることがわかります。また、2011年12月時点で435億本のビデオが配信されており、毎年44%増加しているということです。さらに、毎月平均239本のビデオが消費されており、4.8兆回ディスプレイ広告がアメリカのウェブサイトで表示されています。

アメリカ人のオンラインビデオ依存率は、直近でも勢いが衰えることがありません。comeScoreが公開した2012年1月の最新データによれば、1億8千1百万人のアメリカ人が1月中に400億本のビデオを視聴したということです。これは、アメリカのインターネットユーザの84%がオンラインビデオを視聴している計算になります。


③ 米国のオンラインビデオ視聴者の40%がモバイルを利用している

2011年時点で、4,500万人(米国の人口の14.4%)がモバイルでオンラインビデオを視聴していると言います。また、オンラインビデオ視聴者数の28.5%がモバイルでオンラインビデオを視聴しており、オンラインビデオを視聴する端末として、モバイルが欠かせない存在になりつつあることがわかります。

モバイルビデオユーザは年々増え続け、2015年には7,800万人(米国の人口の24.0%)がモバイルでオンラインビデオを視聴すると予測されています。また、オンラインビデオ視聴者数の40.0%が、モバイルでオンラインビデオを視聴すると予測されています。


5. モバイルコマースの台頭

2011年のホリデーシーズン期間中、モバイルコマースが台頭してきました。スマートフォンユーザの内、女性32%、男性25%がホリデーシーズン期間の半分以上をスマートフォンで商品を購入したといいます。さらに、タブレットユーザの内、女性35%、男性21%がホリデーシーズン期間の半分以上をタブレットで商品を購入したと回答しています。

端末別の利用率(商品購入率)は、ラップトップが94%、タブレットが75%、スマートフォンが58%と、タブレットの方がスマートフォンを上回っていることがわかります。OS別で比較すると、iPhoneユーザの71%、Androidユーザの64%が自分のスマートフォンから直接商品を購入しています。

また、タブレット所有者の50%以上が、他のオンラインショッピング、モバイル、店舗内でショッピングするよりもハッピー、ワクワク感を感じながらショッピングをしていると答えています。

このモバイルコマースの台頭は、2012年のバレンタインデーでより顕著になります。IBMによれば、2012年のバレンタインデー週間の小売事業者のオンラインショッピングによる売上の14 . 5 %が、モバイル端末からによるものだったと言います。参考までに、その前の週は10 .1 %でした。

商品別では、ジュエリーとアパレルが46.5%、ヘルス&ビューテーが15.1%となっており、特にヘルス&ビューテーは2011年の4%から大幅な成長を見せています。端末別のトラフィックでも、iPhoneが5.5%、iPadが4.9%、Androidが4.4%と、いずれも前年度を大幅に上回っています。

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6. スポーツとモバイルビデオ

スポーツの世界でもモバイルビデオは急速に広まっています。2月に開催されたスーパーボウルでは、モバイルが視聴者にとって欠かせない端末であることを証明するデータが数多く公開されました。

まず、スマートフォンとタブレットを所有しているアメリカ人の45%が、テレビを見ながらスマートフォンとタブレットで試合を視聴したといいます。特に、10代は利用率が高く53%以上、55歳以上は逆に38%と年代で大きな差が出ているのも特徴です。

また、視聴者の13%が試合中にモバイル端末を利用することを好んでおり、視聴者の26%がコマーシャル中断中にモバイル端末を利用することを好んでいるという結果が出ています。

スーパーボウルのコマーシャルの検索に使われる端末の割合は、試合開始前はスマートフォンが25%で、デスクトップPCが75%。試合中はスマートフォンが41%でデスクトップPCが59%と、試合が始まるとスマートフォンへの依存度が高くなることがわかります。

また、ミレニアム世代は、試合中にスマートフォンでソーシャルメディアを利用する傾向が非常に高くなっています。ミレニアム世代の62%が、試合中にテキストメッセージの送信にスマートフォンを使用しており、57%が試合中にスマートフォンを使ってフェイスブックにアクセスしており、22%が試合中にスマートフォンを使ってツイッターにアクセスしているというデータが出ています。

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スーパーボウルばかりではありません。ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下の米国大手スポーツ専門チャンネルESPN(日本語ではイーエスピーエヌと発音する)のモバイル事業部門の責任者マイケル・ベイルは、2012年1月25日-28日に開催されたMedeiaPosts Mobile Insider Summitカンファレンスで、「モバイルが1番目のスクリーンである」と発言し話題になりました。

ESPNによれば、彼らの2011年のモバイルの利用時間は前年度より45%増えており、モバイルからの視聴者は2千万人を超えていると言います。また、15万人が常時モバイルに接続されており、モバイルなしでコンテンツを提供のは不可能になっているとのことです。


7. モバイルビデオの有用性と活用事例

モバイルビデオが有用であると考えられる理由は3つあります。

  1. モバイルビデオは既存のメディアとの融合が可能です。紙、看板などの広告にQRコードを印刷し、QRコードをスキャンすることでビデオにアクセスできます。          
  2. モバイルビデオはディストリビューションの方法が多様です。ウェブサイト、アプリ、QRコードなど、様々な方法でビデオが展開できます。
  3. モバイルビデオは店舗内での展開が可能です。買い物に必要な商品の特徴、価格等の情報に店舗内からアクセスできます。この店舗内での活用方法は、イン・ストア・モバイル・コマースと言って、米国でもかなり注目されています。

nielsenによれば、スマートフォン所有者の29%がショッピング中に自分のスマートフォンを利用するとのことです。

まず、スマートフォン所有者の38%が、ショッピング中に価格を比較するために自分のスマートフォンを利用すると言います。また、スマートフォン所有者の38%がショッピング中に製品の情報を調べるために自分のスマートフォンを利用しています。さらに、スマートフォン所有者の34%がショッピング中に製品レビューを読むために自分のスマートフォンを利用し、そして22%が、直接商品を購入したり、価格や製品情報を得る目的でバーコードをスキャンするために自分のスマートフォンを利用するとのことです。

スマートフォンは、直接商品を購入する以外の部分でも、消費者の購買に大きな貢献をしていることがわかります。


● 活用事例①:シアーズ(Sears)

シアーズは、消費者にモバイル用のウェブサイトとアプリの両方を提供し、消費者が自分の好きな方法で買い物ができる利便性を提供しています。また、QRコードも積極的に活用しており、消費者はQRコードから必要な情報を簡単に見つけられます。

また、450店舗にiPadとiPod Touchを導入し、消費者が店舗内の情報、商品の在庫、商品の詳細情報などをタイムリーに取得することができるサービスも提供しています。これらの情報の中には、数多くの商品レビューや、商品を説明しているプロダクトビデオなどの有用なコンテンツが数多く含まれており、消費者は店舗にいながらにしてWiFiを経由してウェブの情報にアクセスできます。


● 活用事例②:メイシーズ(Macy's)

メイシーズは、モバイル用のウェブサイトを消費者に提供しています。スマートフォンとタブレットからPC用のURLにアクセスすると、自動的にモバイル専用サイトが立ち上がるわかりやすいインタフェースを実現しています。

メイシーズもまたQRコードを積極的に活用しています。消費者は、メイシーズから配布されたQRコードを印刷したバックステージ・パス(通行証)を使って、QRコードから最新のファッション情報にアクセスできます。この中には、有名デザイナーのビデオが数多く含まれており、2011年春のキャンペーンでは ボビー・ブランのメイクアップチュート
リアルビデオが視聴できるQRコードが最も数多くダウンロードされたのとことです。


⇒ メイシーズのQRコードを活用したイン・ストア・キャンペーンのビデオ


● その他

⇒ スターバックスコーヒーのQRコードキャンペーンのビデオ

⇒ スターバックスコーヒーのバレンタインディーキャンペーンのビデオ

⇒ 地下鉄構内に出現した韓国Homeplus社のバーチャルショップのビデオ

⇒ アトムリビンテックさまのiPadに最適化されたプロダクトビデオ

⇒ さいたま県庁さまのiPhoneとiPadに最適化された”サイタマどうが”


スライドは以下からダウンロードできます。是非ご活用ください。

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