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通信サービスベンダーはスマートグリッドで何をしているか

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米国の大手通信サービスベンダーと言えば、ATTVerizon、それにSprintだ。ではこの通信サービスベンダーはどの様にスマートグリッドに関わっているのだろうか。最近のスマートグリッドのコンファレンスでセルラー通信を使う機器のベンダーであるSmartSyncの発表を聞いた。

電力会社はこれまで自社の通信インフラは自前で用意してきた。その大きな理由は、通信サービス会社がメータあたり1,000円から1,500円の通信費を課したことだ。これは電力会社にとっては到底採算の合うものではなく、そのため電力会社は自前の通信インフラを建設して維持してきたというわけだ。しかし電力会社はできれば本業でない通信インフラを建設したり維持したりしたくはない。

これが2つの理由で変化してきた。まずメータあたりの料金の低下だ。メータあたり525円まで下がり、採算的に合うようになった。そしてさらにスマートグリッドの進化がある。スマートグリッドはスマートメータとそれを支える自動メータ インフラ中心であったスマートグリッド‐Iから更に進んだスマートグリッド‐IIへと移行し始めている。スマートグリッド‐IIは需要応答や配電網自動化など、高速での通信を必要とするアプリケーションから成り立つ。そのため通信の帯域だけでなく、遅延も問題となる。スマートグリッド‐IIでは遅延はエンド ツー エンドで50ms以下であることが必要だ。現在のセルラー通信ではこの遅延を10ms程度で提供できるそうだ。またセルラー通信は標準となった通信プロトコルのIPをサポートしている。電力会社が今後も自前で帯域と遅延の要求を満たす通信インフラを維持し続けるためには専門家を雇用して多額の投資も必要となる。

こうした変化は、今回のSmartSyncの話からだけではなく、電力会社側からも窺える。おそらく全米最大の電力会社であるDuke Energy社はそのホワイトペーパーで通信業者との連携について次の要点を挙げている。

  •  コアでない機能は他社に頼る
  •  セルラ通信は50億の機器を接続している実績がある
  •  規模の経済性
  •  IPのサポート
  •  3Gは、既に多くの顧客に使用されている2Gとのコンパチがある
  •  セルラ通信サービスベンダはハード、ソフト、サービスに多額の投資
  •  テクノロジその他のベンダーに多大な影響力を持っている

セルラー通信企業のスマートグリッドへの参入はまだ実験段階のようだが、この発表では、ある電力会社との6ヶ月間にわたる試験的プロジェクトが成功したことにも触れていた。更にSmartSyncQualcomm社と共同でスマートメータの実験も行なっている。スマートメータをスマートフォンのような仕様にしてメータ上で複数のアプリを実行できるようにし、バグ修正や新しい版のダウンロードを自動化して簡素化を図った。この発表で、今後新たにネットに接続される機器は20億から100億個となり、しかもその内の65%が電力業界によるものと予測している。電力業界における通信のニーズは飛躍的に増加すると予想される。

日本でも本格的にスマートグリッド化を進めることになれば、ドコモ、AU、ソフトバンクなどのサービスプロバイダも参入するだろう。ICTの解を提供する会社に取ってはチャンスだ。

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