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IoTとIoEの違い。そもそも、IoTってなんですねん

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「もの」のインターネットとかIoT(Internet of Things)とか言われている。そもそもIoTってなんだろうか。その他に全ての「もの」のインターネット(Internet of EverythingまたはIoE)とかなんでものインターネット(Internet of AnythingまたはIoA)というものもある。一体それぞれどこが違うのか、今までにあったものとどこが違うのか。単なる既存のものの焼き直しなのか。定義やコンセプトは人やアナリスト会社によって微妙に異なる。いろいろと資料を探していく中で、ABI Researchの議論が一番的を得ているようなので、この会社が昨年2014年の5月に発表した「IoTとIoEの違い」というホワイトペーパーを通じてそもそもIoTとはなにか、IoEとはどこが違うのかの要約を以下に示したい。原文は英文で、ここから登録すると無料で入手できる。

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物理的存在ありきとデジタル存在ありき

まず実際この世に存在する物体やプロセスで、なにか手を加えないとそれ自体がデジタルデータを生成したり、通信したりしないもの (物理的存在ありき) と、もともとデジタルデータを生成し通信するように設計されたもの (デジタル存在ありき) に分ける必要がある。この2つはつい最近まで、全く触れ合うことのない世界だった。しかし、この2つの世界が融合し始めているのが、IoEの背景ということができる。例えばウエブの世界と実際の世界は全く異なったものであり、この2つが融合するなどということは以前は考えもつかなかった。

例として挙がっているのが、既存の本屋とebookだ。前者はそれ自体デジタルのデータを生成しなければ、それをどこかに通信したりもしない。Ebookはそれからいろいろなデータが生成され、そのデータを通信することも可能だ。デジタル存在ありきのものから形成される世界をデジタルのインターネットと呼ぶ(IoD)。

マシン―ツウーマシン(M2M)はIoT

マシン―ツウーマシン(M2M)はIoTとどう関わるのだろうまだ、比較的新しいキーワードであるため、M2MとIoTをあまり区別しない人や会社もある以前M2Mと呼ばれたものを単にIoTと焼き直している場合もある。マーケッティングの小手先の問題なのだろうか。

ABIはM2Mに関しては、

  1. M2Mは物理的存在ありきの「もの」をポイント―ツウーポイントで接続する技術であると捉え、「もの」は一般的に高価で大きな機材や装置でバックエンドのコンピュータと接続するものだと考える。最初はB2Bに特化したものだと考えるが将来的にはB2B2Cもサポートする。
  2. 更に、接続に関しては業種やアプリによって垂直的な結合が行われる特殊なものによる。収集されたデータは閉じたシステムの中のみで共有され、オペレーションの最適化等に使用される。

それでは、ABIによるとIoTはなんだろうか。

  1. IoTは物理的存在ありきの「もの」を複数のポイントで接続して、そのため多くの他の「もの」と自由に接続することが可能だ。
  2. IoTでは接続は様々な通信方式で行われる。例えば、セルラー、有線、単距離無線、衛星、RFIDやNFCなどを含む。このことはIoTに関するアプリやサービスがM2Mと異なり当初からはっきりとした目的を持っているとは限らず、開発が安価になる傾向がある。繋いでおいて後からアプリを考えることも可能だ。言葉を変えると、適用範囲が広範になるということだ。
  3. また、IoTはIoEのサブシステムだと考えることができる。

人間のインターネット

ABIは更に人間のインターネットを定義している。つまり、IoT、IoDとIoH (人間のインターネット)の3つのサブシステムがIoEを形成するというわけだ。これは人間がIoTとIoDとの間に位置し、交信することを示す。それは直接的な場合 (人間が入力) もあれば間接的な場合 (自動的) もある。当初は人間の介在が必須であるが、将来的には人間の介在の度合いが減少すると予想される。SNSでは人間が自然言語でデータを生成して、それを発信する。 人間なしではSNSは成り立たない。

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IoEを形成する3つのサブシステム

全てのもののインターネット(IoE)

IoEはIoTの最終的な段階で、接続されていなかった物理的存在ありきの物体やプロセスと人間をデジタル存在ありきの「もの」に接続することと言える。IoEの本髄はデータであり、収集されたデータから価値を生み出すことだ。つまり物理的な「もの」、人間、デジタルの「もの」から生成されたデータをアナリティクスを利用してデータ本位のアプリやサービスに変換していくということだ。

IoEが実現されるのには10年は要するだろう。しかし、10-15年後にはもののインターネットと普通のインターネットを区別することもなくなっているだろう。また、スマートとか接続しているとかいうことを製品に記述することもなくなるだろう。それが当たり前になるからだ。

IoEの規模

Ciscoは2020年には接続された「もの」は500億個程度になると予想している。ABIは2014年段階で127億個規模だとしている。2020年には365億個と予想している。このことはセンサーの技術の進歩と連れ立っている。

感想

もちろん、学術的な論文ではないが、このペーパーは今流行りのIoTとIoEの違いを系統だてて他の要素も含め議論しているのでわかり易い。このペーパーには出てこなかったが、産業インターネットの「もの」という範疇(IIoT)もある。一般的にIIoTはIoTの一分野と考えることができ、産業関連で出てくるデータを主に扱うものだ。

IIoTをきっちりと定義しているサイトやペーパーを調べたが、はっきりと定義しているところがない。大体は全ての「もの」にIPアドレスを割り当ててその作動状態からデータを生成してそのデータを通信してデータ解析につながるというのがIoTの説明で、おもに消費者市場の話であった。これを産業・企業の世界に広げたのがIIoTである。考え方によってはIoTとIIoTは同じレベルと考えることもできる。つまり、IoTは消費者、IIoTは産業・企業ドメインと言える。

別の見方では、IoTは大きなコンセプトで、消費者も産業・企業の市場も含むと考える。今のところ、消費者市場と産業・企業の市場に対するIoTでの重なる部分は非常に小さいように思える。しかし、今後その重なる部分が増加し、データの種類、総量や速度が増加し、複雑なアナリティックスが必要となってくるだろう。その反面、より有益なデータ解析の結果がオペレーションの改善やより正確な予想を期待できる。

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