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30年に渡って関わってきた米国のITの出来事、人物、技術について語る。

モノのインターネット(IoT)と組み込みシステム、パート2

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パート 1からの続き。

何故今か?

ずっとICT 領域をフォローしていると、新しい市場が立ち上がった時、1社ではなく複数の会社がその市場に殆ど同時に参入することに気が付く。これは、実は簡単に説明がつく。

  1. その市場を立ち上げた技術はその技術だけで成り立っておらず。その技術を支える他の技術や手法が一定以下の値段になったり、小型化され、容易に入手できるようになったりすることで以前は採算が合わなかったり技術的に不可能であったことが可能になった。
  2. それぞれの分野には複数の専門家が日々に市場や技術の動向を監視しており、#1で状況が変わった場合、あまり時期を離さない段階で新しい技術や製品を展開する。

では、その複数の会社のうちたった数社のみが生き残り、その市場を独占していくのは何故なんだろうかこれに関しては、ここでは述べないが、Geoffrey Moore 氏は複数の本を書いてこの疑問に答えている。

Rezendes 氏は以下がIoT の実現を容易にし始めたと述べた。

  • Ÿ 企業やその他の団体は決定を下さす際データを利用し始めた。
  • Ÿ ネット接続は完全ではないが、かなりの遍在性が達成されている。
  • Ÿ 技術やコンポーネントが進歩してリスクを負うことが少なくなりもっと容易に手に入りやすくなった。
  • Ÿ 現実の世界での技術や製品の展開とロジカルなコンポーネントとの結合が改善されてきた。

適用分野

では、IoTが適用される分野はなんだろうか。

Rezendes氏は次の分野をあげた。

  • Ÿ 農業
  • Ÿ 商業
  • Ÿ エネルギー
  • Ÿ 産業
  • Ÿ 地方自治体
  • Ÿ その他

この点については、Industrial Internet Consortium (IIC)というコンソーシアムがIndustrial Internet of Things(IIoT)に関して活動している。これも適当な訳がないので、IIoTとしておく。ウエブサイトによれば IICは

「2014年3月に設立され企業や団体に必要な技術をもたらし、ベスト・プラクティスを見極め、収集し、プロモートすることでIndustrial Internetの発展を助長するものである。」

AT&T、Cisco、GE、 Intelと IBMの各社が中心になって設立したが、以下のバーティカルな分野に特化している。

iic.gif

チャレンジ

Rezendes氏はチャレンジとそれがどのように組み込みコミュニティ関係するか述べた。

組み込みコミュニティが既にコントロールを持っている分野

  • Ÿ セキュリティ
  • Ÿ 複雑さ

組み込みコミュニティが一部 コントロールを持っている分野

  • Ÿ コスト
  • Ÿ 標準

ビジネスに関してはどうだろうか。残念ながら、コミュニティは限定された影響力しかない

  • Ÿ ビジネス・モデル
  • Ÿ プライバシー

他にもチャレンジを挙げる人々がいる。Dr. Richard Soley, Executive Director, Industrial Internet Consortiumはこの記事(here)の中でチャレンジを述べている。それは、セキュリティ、データ・プライバシー、技術、相互運用性と産業の断片化だ。

EE TimesのRich Quinnell氏は 最近の記事で同様にチャレンジを述べている。それは、1) セキュリティ、 2) 標準、 3) サイロ化の打破、 4) aデータ中心の設計の取り入れ、 5) ハイブリッド型のビジネスモデル、, 6) デバイスの管理、 7) 電力効率、 8) cクラウドと組み込みシステム間の共通開発環境、 9) 人材と専門家の確保、 and 10) dデータの多様性

このチャレンジの1つ1つはそれぞれ独自のブログが必要となる問題であるので、今後将来のブログで議論する。

Fog/Edge コンピューティング

Rezendes 氏はフォッグ・コンピューティング(fog computing)に関しても述べた。Ciscoによって命名されて edge computingと呼ばれることもある。(ググるとfog computingは254,000ヒット、edge computing は82,400ヒットとなる)。これは対いする興味は増大しており、昨年11月に最初の Fog Computing Conferenceが開催された。

遠隔地にある莫大な数の分散オブジェクトのため、クラウド・コンピューティングに加えて新たなコンピューティングのパラダイムを採用する必要がある。それは、通信遅延、帯域、反応時間とコストを配慮するパラダイムだ。例えば、車両衝突防止装置の場合、データをクラウドに送って、そこで処理され、インストラクションを待つよりもリアル・タイムでローカルで処理する必要がある。

クラウドとフォッグ・コンピューティングは補完関係にあり、フォッグ・コンピューティングはクラウド・コンピューティングに置き換わるものではない。フォッグ・コンピューティングはそれ自体複数のブログが必要なので、ここでは以上触れない。

まとめ

Rezendes氏の1時間の講演はオーバービューのレベルに留まったが、IITへの関心が高まった。また、IICはOMGの一部になっており、以前Object Request Broker (ORB)の開発の際コンタクトがあったDr. Richard Soleyと再び繋がった。

2つだけこの講演で印象に残ったことを挙げるとすれば

  • Ÿ IoTはSNSに限ったものでなく、もの("thing")は現実の世界での全てのオブジェクトに関する。人も例外ではない。ここに、Industrial Internet of Things (IIT)が存在する。.
  • Ÿ 既に、プラットフォームが確率されているSNSとは違い、現実の世界のオブジェクトにはモニタリング、収集、デジタル化やデータの送信のメカニズムの開発と展開が必要だ。組み込みシステムのコミュニティはこの分野に大きな影響を与えることができる。

今後このサブジェクトに関しては、もっとブログを書くつもりだ。

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