2015年富士通北米技術ホーラム: SDN とIoT、2つの大きな技術傾向 - その1
ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)ともののインターネット(IoT) は現在ホットなトピックだ。最近2015年富士通北米技術ホーラムでこの2つのトピックを同時に議論するパネルに参加した。ちなみに、このコンファレンスは最近オープンしたSF ジャイアントツの新スタジアムのリーバイス・スタジアムで開催された。
このパネルは「IoTの時代にエンド―ツーエンドのためのSDNと次世代ネットワークインフラストラクチャー」というタイトルで非常に興味深いものだった。
モデレーターとパネリストは次の通り。
モデレーター:
- Min He, SDN アーキテクト、 Distinguished Engineer, Fujitsu Network Communication, Inc.
パネリスト:
- Motoyoshi Sekiya, ディレクター、 Fujitsu Laboratories of America, Inc.
- Guru Parulkar, 共同創始者兼エグゼクティブディレクター, ONRC, Consulting Professor, Stanford University
- Bob Lieber, Director, British Telecom
左から: Min He、Bob Lieber、Motoyoshi SekiyaとGuru Parulkar
以後はパネルの議論のまとめと筆者の私見である。
パネルの最初、He氏はパネルの意図を説明した。
- 如何にIoTが通信インフラストラクチャーに影響を当たるか。
- SDN/NFV がその影響を削減するか。
- 5年後のネットワークインフラストラクチャーはどのようになっているか。
IoT とSDN/NFV に関しては非常に興味深い点がある。Parulkar 教授は冗談めかしてIoT と SDNはそれぞれ大きな技術傾向である。これを2つ合わせると、特大傾向となると発言した。
冗談はさておき、筆者の理解によればどちらの分野もまだ初期の段階である。どの立ち上がり始めた技術のように、ハイプが先行している。マーケティングを担当する人は既存の製品を新しいキーワードのSDNやIoTの様なで売り出す傾向がある。過去にも同様なことは何度もあった。このパネルは現在の技術動向にぴったりだった。参加後この分野はしばらく、落ち着くには時間がかかると思った。
接続された"もの"
British TelecomのLieber氏は 現在既に接続されているもの、また今後接続されるもののリストを提示した。その一部は、冷蔵庫、携帯電話、スマートコンセント、ブルツルースの鍵、タブレット、心臓モニターのインプラント、顔認識機能付きのドアベル、目覚まし、スイッチ、ドライヤー、センサー、自動車、ロボット、スプリンクラー、ルータ、ノート型パソコン、自動販売機、サーモスタット、コーヒーメーカ、信号、洗濯機、ヘルス装置、赤んぼうモニター、スピーカなどだ。
実際、筆者はもっとこのリストに加えることができる。読者もきっとできるだろう。このリストに加えられるものは更に増加すると思われる。2020年までに500億のデバイスがネットに接続されていると予想されている。この値はシスコが最初に言い出した値で、富士通も使用している。 IPv6のお蔭で、全てのデバイスにアドレスを振り分けることができる。
SDN とはなにか、その恩恵は?
Parulkar教授はSDNはネットワークのアプリ、コントロールとインフラを分割すると説明した。このため、次のことが可能となった。
- オープンであり、インフラをプログラム化できることで、イノベーションが期待できる
- 新たなサービスを提供できビジネスチャンス
- 抽象化と論理化による自動化と自律化によるOpexの削減
- アプリ、コントロールとインフラの分離による Capexの削減
こういった恩恵は多くあちこちで指摘されている。1に関していうと、アプリ、コントロールとインフラの分離することで、イノベーションを期待できる。これは、2で指摘されている新しいサービスを開発できるチャンスが増加する。3は言い換えると、柔軟性ということだ。 4では、アプリ、コントロールとインフラの分離のため、安いコモディティの装置を使用することができる。そのため、全体のコストを削減できる。
Lieber氏は同意見だった。SDNはネットワークをスマートにしてネットワークのインフラの最適使用を促す。
SDNへのアプローチ
SDNへのアプローチはどうしたらよいのだろうか。Lieber氏は以下の様なアドバイスを与えた。
- ベンダー毎に異なったアプローチを取っているので、ベンダー特有なものかオープンなプラットフォームかを決める。
- SDNを理解し、それが自分のIoT戦略にどう関連するのか判断する
- SDNを展開しながら QoSを保障する
- 既存の装置がSDNを実現することが可能かを決定する
SDNの現状
関谷氏は 2020年までには接続されたデバイスは500億個になり、その種類は莫大なものになると指摘した。それぞれの種類は異なったQoEを要求するとも述べた。その様な多くの種類の莫大な量のデバイスに対応するのは容易ではない。関谷氏は続けて現在はSDNはデータセンタで展開されているが、現在はWANへの応用が考慮されていると述べた。データセンターと外側のネットワークとはその要求に大きな差がある。自前のデータセンターであれば、全てをコントロールできる。
WANの場合は完全にネットワークをコントロールすることは容易ではない。そのため、ネットワークのトラッフィクのコントロールも困難である。WAN に使用される技術はもっといろいろな種類がある。例えば、有線、無線、オプティカルなどだ。また、ネットワークは階層を考慮すると結構厄介だ。どのように、SDNが複数の層に適用されるのだろうか。1つの層だけで十分なのだろうか。更なる研究が必要だ。
関谷氏はネットワークのトラフィックが大量なため、オプティカル通信が必要となる。そのため、オプティカル通信の仮想化が必要となるとも述べた。
その2に続く