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ビルディングのエネルギー効率化―スマートグリッドに関連して

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先週は感謝祭の休暇などでサボってしまったが今週から復帰。といってもまあ12月半ばには今年のブログは終了する予定なのだけれど。クラウドのブログはまだ準備中なのだが、来週あたりには発表したい。

さて、エンタープライズ レベルのエネルギー効率化という点についてデータセンターをカバーしてきた。サーバなどのIT機器を大量に設置していることや電力消費量がやたらに多いことのために、データセンターは普通、一般のビルとは分けて考えられている。しかし考えてみれば、データセンターも商用ビルの一部だ。企業はデータセンターも含めたすべての建物のエネルギー管理をしたい訳だから、データセンターのみについてばかりでなく、一般的な商用ビルのエネルギー管理を考察することは有益だ。

データセンターのエネルギー効率化の議論では、技術的な問題はもちろん重要だが、それ以外でしばしば取り上げられるのがITとファシリティとの間の相互理解の欠如だ。ITの側からすれば、ファシリティは自分たちの大切なサーバの管理における重要でない部分(重要なのは機器の設定や保守)、つまり十分な電力や冷却を提供する作業員のような感覚だ。ファシリティ側からは、ITは状況も分からずに無茶な要求を突きつけてくる問題児のように映るだろう。ビルのエネルギー管理に関しても同じことが言える。

ITには標準があり、新たな技術が開発されても自動的に標準へと向かう。しかし一般のビル管理の市場では標準はほとんどない。ビル管理ということでの標準といえばBacNetModbusなどのネットワーキング程度だろう。米国では、ビル管理といえばJohnson ControlHoneywellSiemensなどの大手が標準を伴わない技術や手法で市場を占有してきた。商用ビルにはスマートメータの設置などはあるものの標準がないこともあり、今後のエネルギー効率化の大きな市場だと見なされている。最近商用ビルのエネルギー効率化の集まりに行って仕入れてきた情報を以下に披露する。

情報は大きく次の4つのカテゴリに分けられる。

1. ビル管理とエネルギー効率化についての最近の傾向:クローズド システムで数社により占有されていた市場がオープン システムへ移行。IPへの移行も進みつつある。IPということでIBMMSCiscoなどが参入し始め、市場が変化してきている。経費を節減するものは売れるが、それ以外だと苦戦する。

2. ITの役割:センサー技術の発展などで、収集されるデータが格段に増加し、ITなくしてはプロセスを制御できなくなってきている。しかしIT技術を使いこなせる人材は払底しており、折角IT化してもそれを満足に管理できないという事態も。個人的には、技術出身ではない人にも操作できるようにする、あるいは自動化の度合いを上げる、という方向でのIT技術の開発も今後あるのではないかと思う。こういうことはあまり話題になっていないようだが。

3. 経済的観点:景気の冷え込みでROIの長いものは採用されない。採用すれば数年で回収できるとしても、今その資金がないということが結構ある。月単位で効果が上がるものをSaaSで提供する会社もある。

4. 将来:上記のとおり、IPやその他の標準の適用で、数社による市場の独占からスタートアップでも参入が可能な状態となってきており、市場の拡大が期待できる。しかし、技術や標準があっても運用やその他の理由(ビル管理者の抵抗など)で、急速にオープン化が進むことは期待できない。

今回は商用ビルのエネルギー管理に関して述べた。ITと縁の薄かったビル管理マネージャーだが、センサーで収集される莫大な量のデータを実際の管理に適用することは手動では不可能であり、ITによる自動化に頼らざるを得ない。米国では、センサー技術が実用化され始めた1980年以前に建築されたビルが50%を占め、そうした既にインフラが設置されたビルにモニター機能を施すのは容易ではない。しかし無線センサーの技術などのICT技術を駆使することで、この問題は解決可能だ。以前にも書いたが、ITITだけで存在できる時代は過ぎ去った。リンク。。と同時に、殆どの分野でITの助けなくしては成り立たない状況になっている。特にスマートグリッドではICTの出番が多い。それについては「岸本善一 スマートグリッド ICTベンダー」で検索。

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