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浙江省の旅 その3(民間企業編)

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前回までに杭州のITビジネス発展の理由として、「学術都市」、「地理的要因」を挙げてみた。今日は3つ目の最後の理由として浙江省の「文化的背景」を挙げてみたいと思う。この浙江省という省は民間企業の割合が中国で一番高く、もともと起業家精神が逞しい省らしいのである。これは、日本人がわりと親しみを持っている東北三省と全く逆な現象である。(上海などの直轄市を除くと)1人当たりのGDPも中国最高を保っている。

そもそもこの省は、以前は共産党と国民党との間の対決時には、常に最前線に位置してきた。そのため、あまり中央政府からの大規模な投資がなかったらしい。その結果として省としてはあまり裕福な省ではなく、改革開放以降は農民が副業で家庭内手工業を始めたことが、浙江省の起業家精神の由来のようだ。浙江省というと、北部沿岸地方の杭州、紹興、寧波の3都市が有名であるが、その民間企業の発展ぶりを振り返るには、南部にも目を持っていく必要があると思う。

温州。共産主義の中国にありながら、資本からお金を生み出すことがうまく、常に商売のことを考えている町らしい。以前は、民間企業を見たければ温州へ行け、とも言われていた。家内工業を中心とする民間企業が生産するライター、メガネ、照明器具、眼鏡、靴、ボタンなどが特産品になるのだろうが、上海の不動産バブルの初期には、温州人が集団で上海のマンションを買い占めて地上げを行った、と言われるくらいである。その商売原理は単純で独占すればするほど儲かる、というもので、まさしく資本主義の原則を実践している。

義烏(イーウー)。100円ショップの商品の多くは、この町から輸入される、と言われるほど大規模な問屋街らしい。この町は海には面してはおらず、完全な内陸都市である。何故、このような一都市が、このような世界中のバイヤーが集まるような商業都市への変貌を遂げたかは不思議である。文化的なものがあるとしか思えない。杭州から電車で3時間くらいだったと思うので、いつか見学に行ってみたいものである。

このように浙江省は改革開放以降、民間企業の起業家精神が広まったことが、ドットコム企業の経営者に浙江省出身者が多い、ということにつながらないだろうか?

以下、続く!

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