オルタナティブ・ブログ > 元ベンチャーキャピタリストが語る中国ビジネス&More! >

最新の中国ITビジネスを中心に、国内外の金融、モバイルなど幅広いテーマを論じます

阿里巴巴(アリババ)その9(ネットオークションの普及)

»

馬雲は以前からBtoBプラットホーム市場では阿里巴巴の競合はもはやいない、と宣言していた。実際に阿里巴巴のような大規模なBtoBサイトは中国には存在しないと思われる。同様な発言(BtoCサイトで自社に対抗できる企業はもはや存在しないという趣旨)は以前は大規模BtoCサイト運営会社の王峻涛も言っていた。しかし2年もたたないうちに王峻涛はマーケットから退場してしまった。

実際にそれほど日本以外の国ではショッピングモール形式のBtoCサイトの運営は難しい。日本では楽天、Yahoo Shoppingとショッピングモール方式のBtoCサイトが大成功を収めているが、これは世界ではあくまで例外。海外では、アマゾン方式のBtoCサイトが大部分を占めているのである。台湾のYahooでは、かつてはアマゾン方式のBtoCサイトと楽天方式のBtoCサイトの両方を運営していたのだが、現在はアマゾン方式一本に絞っているようである。何故、海外で楽天方式のBtoCサイトがふるわないのかは、なかなか正確な理由は分からないようだ。

素人考えで推測してみると、商品、商店、サービスのクオリティを均一に保つのが、海外におけるショッピンッグモール方式のBtoCサイトでは難しいのではないだろうか?日本のような貧富の差が少なく、各商店も均一のサービスが提供可能な数少ない国では、楽天のような業者がその傘下で数多くのネット商店を運営しても、顧客にとってみれば、楽天が運営している、というだけで、とりあえず安心感を感じるであろうし、実際に各商店のサービスの差はそれほど大きくはならないだろう。

しかし、海外の場合には各商店が日本のように均一なサービスを提供することが難しく、顧客が特定の商店に集中してしまい、結果的にアマゾンモデルのように一業者が全てのサービス、商品を提供するようなBtoCサイトになってしまうのではないだろうか?これはあくまで私の素人考えであり、どなたか海外で楽天方式のBtoCサイトが日本ほど普及しない理由について知っておられる方がおられたらご教授願いたい。

さて、BtoBサイトでは阿里巴巴がトップを独走し、BtoCサイトは少なくとも現在までのところあまり普及していない中国のオンラインマーケットであったが、今度はCtoCサイトというものが中国マーケットに登場してきた。さらに、このCtoCサイトというのもは、BtoCサイトとは異なり、中国で根付きそうな様相を呈している。

CtoCサイトというと、なかなかイメージがしづらいかもしれないが、なんてことはない、一言で言い表すなら、それはオークションサイトである。米国ではeBayがマーケットの大半を占め、日本ではYahooとDeNAが中心となって運営しているネットオークションのことである。ちなみに中国語ではネットオークションのことを「網拍」と呼ぶ。その漢字からネットオークションを容易にイメージできるところが漢字の素晴らしいところかもしれない。

オークションサイトは、CtoCということで個人ユーザーが顧客であり一見するとBtoCサイトに近いように感じるが、実態はむしろBtoBに近かった。BtoCサイトはユーザーは売り手になることはできないが、CtoCサイトのユーザーは売り手になることができる。これはまさしく個人向けのBtoBサイトに他ならない。現在は顧客は個人中心であるが、これが将来的には企業ユーザーまで取り込むようにならない保証はない。

そういう意味では、阿里巴巴はCtoCサイトの勃興に危機感を感じていたようだった。このCtoCサイトを代表する企業が「易趣網」だったが、この「易趣網」が米国のeBayに買収されたから、馬雲の心配はさらに大きくなったようであった。阿里巴巴も何か対策を取る必要に迫られていた。

以下、続く!

Comment(2)