オルタナティブ・ブログ > 元ベンチャーキャピタリストが語る中国ビジネス&More! >

最新の中国ITビジネスを中心に、国内外の金融、モバイルなど幅広いテーマを論じます

阿里巴巴(アリババ)その14(お金集めは大事 資本政策)

»

さて1995年の馬雲のシアトルでのインターネットとの出会いから10年以上が経過した。2007年になり、阿里巴巴は馬雲が創業時には想像もできなかった規模まで発展した。全ての数値がその急速な拡大を示している。

まず従業員数であるが創業時の数十人から既に7,000人以上にまで増えた。10,000人に達するのも遠くはないだろう。現在の予想だと、2009年には従業員10,000人を超える予定で、その時には杭州の浜江開発区にオフィスを移す予定だそうである。

次にシェアであるが、中国国内におけるBtoBプラットホームでは7割以上のシェアを占めているようである。また顧客も以前は小企業が中心であったが、現在は多種多様の顧客層から構成されている。

ビジネス領域も純粋なBtoB企業から多種多様な展開を行っている。阿里巴巴(BtoB)、阿里軟件(ソフトウェア)、淘宝網(ネットオークション)、支付宝(エスクロー)、雅虎(Yahoo)の5つが主要なビジネスエリアであろう。

ここまで企業規模は大きくなると、次のステップは上場ということになる。上場の話をする前に、もう一度阿里巴巴の過去の資本政策について振り返ってみたい。

まずはじめての機関投資家の出資は、1999年10月のゴールドマンサックス、フィデリティ、InvestABなどからのUS$5Mである。当時の阿里巴巴は注目企業ではあったにせよ、中国の小さなベンチャー企業へ欧米の有力機関投資家がUS$5Mも投資したと思う。ただ1999年10月というのはITバブルの真っ盛りであり、機関投資家の投資クライテリア、基準もかなり甘くはなっていたとは思う。

次の阿里巴巴への出資は2000年1月のソフトバンクによるUS$20Mの出資である。これも凄まじい額の出資ではあるが、2000年1月というのはまだITバブルが崩壊していない。ソフトバンクの時価総額の突出していた時期である。ソフトバンクにとってUS$20Mの出資というのは、案外それほどでもなかったのかもしれない。

このようにしてみると、(運も実力のうちとは言うものの)阿里巴巴という会社は資金調達に関しては実に運に恵まれている。ITバブル真っ盛りの時にUS$25Mもの大金を調達している。簡単そうで、これは本当に難しいことだと思う。数ヶ月タイミングがズレただけで、ソフトバンクのUS$20Mは手に入らなかったかもしれない。当時ソフトバンクの株主だった自分は忘れもしない2000年4月の大暴落を。私は持ってなかったが、このとき光通信などは13日連続ストップ安というのを記録した。そういう時代であった。

その次の出資が2002年2月のJAIC(日本アジア投資)によるUS$5Mの出資である。2002年といえば、株価的には最悪の時期だと思うが、よくこんな時期に中国のベンチャー企業へUS$5Mも投資する稟議を通したJAICの投資委員会には敬服する。もし現在までこの時の出資相当分の株を継続保持していれば、その投資倍率はかなりのものになると思うが、確かこの時の出資はその後ソフトバンクに買い戻されていたような気がする。それでもキャピタルゲインは出ていたようであるが...

さらに2004年2月には、US$82Mという凄まじい出資が行われている。出資者は、フィデリテイ、米系のGGV(グラナイト・グローバル)、シンガポール系のVentureTDF(現在のKPCB)である。US$82Mという数字に関してはもはや何も言うまい。

その後、2005年8月に米国Yahooとの資本を含めた提携が行われている。

以下、続く!

Comment(0)