オルタナティブ・ブログ > 元ベンチャーキャピタリストが語る中国ビジネス&More! >

最新の中国ITビジネスを中心に、国内外の金融、モバイルなど幅広いテーマを論じます

阿里巴巴(アリババ)その15(上場 そのタイミング)

»

前回、私は阿里巴巴は資金調達面では非常に恵まれている、と書いてしまった。しかし、今ここで前言を取り消したいと思う。前回の文章を読み返して、自分にはそのようなことを言う権利はないとちょっと恥じらいを感じた。確かに、1999年末から2000年初頭はITバブル真っ盛りの時代であった。しかし、そのようなバブルの真っ只中においても、US$25M(約30億円)もの大金を調達するのは並大抵のことではない。やはり、その功績は運の良さではなく、馬雲の能力に帰すべきものだ。

さて、2005年に米国Yahooと資本提携が行われたが、この時の阿里巴巴のバリュエーションは42億米国ドル(約5,000億円)と言われた。ちなみに、現在の日本で時価総額5,000億円相当の企業は、沖電気+日本ビクター+パイオニアを3つ足し合わせたくらいに相当する。またテレビ朝日の2倍以上の時価総額である。阿里巴巴は2005年の段階で既に途方もないバリュエーションをつけているのである。

今年(2007年)の5月には阿里巴巴は香港に上場するのでは?とも言われた。ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーが主幹事で、78億香港ドルを調達予定とのことで、米ドルに直すと10億ドル程度の調達予定になるのだろうか?時価総額がどれくらいになるかは推測にならざるを得ないが、業界では60億ドル程度と言われたいたようである。2年間で1.5倍になっている。2005年にUS$82Mを入れた投資家はこのままいけば大儲けができそうである。

現在、中国の上海マーケットはある意味バブルがおきているので、A株はすさまじい高値になっていて、なかなかファンダメンタル的には買えない(そもそも外国個人はA株は投信しか買えないが)状態になっているが、米国や香港のマーケットに上場している中国ネット株は決してバブルの高値圏にはない。むしろ過去のトレンドからするとそれほど調子が良くない状態だと思う。百度が50億ドル程度、網易、新浪で20億ドル強、捜狐で10億ドル弱と、このままいくと多分阿里巴巴が海外市場に上場しているネット株の中で時価総額は最大規模になるかと思う。

馬雲は、上場の準備はいつでもしてある、とよく発言する。彼にすれば、投資をしてもらったYahoo、一緒に起業した古い従業員、そして自分、に報いるために、いつかは阿里巴巴を公開したいのだと思う。そして、その時調達した資金で、さらなる企業集団の発展を目指すのだろう。

以下、続く!

Comment(0)