阿里巴巴(アリババ)その12(中国 宅配便 流通)
エスクローにより課金の問題が解決すれば次は物流が大きな関心事だと思う。物流システム、ここでは宅配便を主に指すことになるが、これが普及していないと、通販、ネット販売、ネットオークションの普及はないと思う。実際に中国において宅配便は普及しているのであろうか?
私も中国から日本へ中国で購入した書籍などを航空便で送ったことはあったが、中国国内で宅配便を使ったことはなく、ネットオークションなどにおいて商品がどのように配送されるのかには興味を持っていた。ただ調べてみると、中国国内において案外宅配便は普及しているようであった。
国内を広範囲にカバーする小包配送会社としては、「中国郵政集団公司」という会社がEMSという名称で国内小包配送サービスをやっている。この会社が約80%のシェアを占めており、残り20%を鉄道部と航空局の関連会社が獲得しているようである。しかしよく調べてみると、このEMSの小包配送サービスというのは、どうも日本の宅配便とは概念がちょっと異なるような気がする。いわゆる個人の自宅までという宅配サービスを行わず、個人ユーザーは取扱所まで荷物を持って行き、そこで発送し、また荷物を受け取るときも取扱所まで行って荷物を受け取る、という感じである。私が子供の頃は国鉄の鉄道小包がそのような形態であったが、同じものをイメージすればよいのだろうか?
これではあまりネットオークションなどには使えそうもないサービスだが、上記の国営の宅配便(と呼べるか微妙であるが)以外にも民間企業の宅配サービスもあるようである。ただ中国の場合には、これは宅配サービスに限らないが、省などの地方行政単位で許認可を取る必要があるのでなかなか全国統一的なサービスを提供することは難しい。よって民間企業による宅配サービスは、むしろ地域限定と考えたほうがよさそうである。
そうはいっても各地域の有力民間宅配サービス会社が提携すれば、全国向けの宅配サービスも提供は可能であり、この分野への民間企業の進出はかなり急なようである。特に1社でサービスを提供することが可能な市内配送に限っては、バイクで個人宅まで集宅配を行う業者も多く、代金回収サービスなども行っているようで、市内に限れば価格も安いようなので、ネットオークションで取り扱う化粧品や書籍などの送付にはもってこいのサービスと思われる。
ただ、従業員のクオリティ確保も難しく、また行政単位をまたぐ場合には宅配業者間の連携の問題などもあり、そのサービス品質は日本の宅配便と比較するとかなり落ちそうな感じである。このように急速に発展する国内宅配便サービス事業であるが、その需要に対してクオリティの高い供給が追いついていないのが正確なところであろう。
個人ユーザは中国郵政集団公司が行っているEMSサービスを使うことが多いようなので、日本の郵便局が過去にゆうぱっくをはじめたように、個人宅への集宅配サービスなどを開始すれば、かなりマーケットで有利な位置を占めそうな気がする。一応、中国郵政集団公司のホームページには、タグ番号を使った荷物の現在位置を検索するページもあったのだが、こういった機能が実際に(本当に)完備(実際に使われている)しているのかどうかは分からない。
中国郵政集団公司は、現在マーケットの位置付けとしては非常に良いポジショニングを得ていると思うが、発展するまでに残された時間は案外長くはないかもしれない。今年の年末に海外の宅配会社にもマーケットを開放するためである。国内宅配サービスを完全に開放するとは思えないが、それでも海外勢はTNTが既に中国国内の500都市をカバーし、またDHLですら中国内に50箇所の支店を持ち国内300都市以上をカバーしている、とのことなので、それなりに競争が激化し、中国郵政集団公司のクオリティも上がっていくのではないだろうか?
結論として、日本のレベルまでは達しないが、ネットオークションに使えそうな宅配サービスは既に中国に存在しているかと思われる。このようにネットの外、つまりオフラインのインフラの普及により、中国においても通販、ネットオークションが発展する下地があることが分かった。ある意味、淘宝網の成功は当たり前、といえるのだろう。
以下、続く!