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シリコンバレー見聞録―その14 テレプレゼンスロボット「BEAM」

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昨年に続き、シリコンバレー見聞録の続編をスタートさせています。シリコンバレーと呼ばれるベイエリアはまさにデジタルビジネスやオープン・サービス・イノベーションのメッカです。既知の話から日本ではあまり知られていないコトまで。このコーナーで少々連載したいと思います。

昨夏、パロアルトでエスニック料理を食べた後ブラブラと街並みを散策していると真っ赤なテスラが無造作に止めてあった。真夏の日差しがよく似合う一見イタ車のマセラッティようなマスクがカッコよかった。

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《真っ赤なテスラが似合う街。パロアルト》

そのテスラの残像が網膜に焼きついたままパロアルトの街中をHanaHausめがけて歩いていた時のこと。

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《センスの良い佇まいが印象的な店構え》

赤レンガのビルに真っ青な看板がきれいなお店の前を通過しようとしたその時だ。

どこからともなく女性が呼び止める声が。

 "Hello how are you?"

振り返ると"彼女(仮にビームちゃんと呼ぼう)"がモニター越しに話しかけてきた。ビデオではない。こちらの反応を見ながら話しかけてくる。そして彼女に導かれるままお店の中へ。

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《ビームちゃんは400キロも離れたところに住む大学生だ》

彼女いわく、アルバイトでこのBEAMの紹介をしているという。リモートで自宅?にいながらアルバイトとは、なんと効率的な。これは働き方改革そのものだ。

テレビ会議+ロボット!?

テレプレゼンスロボット (Telepresence Robot) とはテレビ会議に自走機能と遠隔操作機能を組み合わせた一種のロボットだ。リモートコントロール機能とロボット技術を組み合わせて人が遠方から会議に参加したり。プレゼンテーションもすることもできる。

その昔、テレビ会議システムなる商品の企画を担当したことがある。デジタル公衆網であるISDNの商用化にともない、画像圧縮技術を駆使した商品だったが、1000万円ほどしたにもかかわらず、コマ送りの電子紙芝居のような画像だった。

このビームちゃんの顔?を映し出す動画は、とても滑らか。しかも顔が歩いてくるイメージだ。

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《充電スペースで待機するBEAM》

米国では、2012年の時点ですでに会社に行かずに自宅から仕事をする人が600万人以上だったという。自分が出張せずに分身たるテレプレゼンスロボットを派遣して会議に参加したり、カンファレンスでプレゼンテーションする人も実際に出てきているほどだ。実際、このショールにBEAMの社員は見当たらなかった。

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《素敵な白いソファーはあるが説明員(ヒト)はいない》

実際に操作してみた

ビームちゃんにリモートレクチャーしてもらいながら遠隔地のBEAMを操作してみた。遠く離れたマンションの一室のような場所の映像を映し出している。先方には私の興味津々の顔が移しだされていただろう(笑)

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《リモート先にあるモニター。足元も映し出される》

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《操作はパソコンと同じ汎用的なキーボードの矢印キーを操作》

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《前に進んだり回転したり子供でも簡単に操作できそうだ》

いずれはヒューマノイド型!?

このようなテレプレゼンスロボットで国際会議に参加するような日がそう遠くはないかもしれない。しかし、鉄腕アトムやガンダムで育った日本人としてはいずれはヒューマノイド型でアバターに会議に参加してもらいたい(笑)。大阪大学の石黒先生が取り組むプロジェクトはそんなさきがけのような気もする。

ishiguro.JPG《昨年のSXSWで注目を集めた大阪大学石黒先生のロボット》

(つづく)

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