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サービス化時代の潮流、ビジネスモデルを探る。週末はクワッチ三昧!

サービス化の進展 〜サービス業の進化 タクシー業におけるサービスの見える化 〜

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 暫しご無沙汰をしておりましたが、サービス化の進展の連載を再開致します。

前回(サービス化の進展 〜サービス業の進化 引越業に見るサービス化 〜)では、運送業ではなく引越サービス業に進化してきた引越業について考察してみました。
 今日は、同じ交通分野でも”ヒト”を運ぶことに特化したサービスであるタクシー業界での先進的な活動をしている日本交通さんの事例を紹介したいと思います。
 日本交通さんは、創業以来80年、「桜にN」のマークをトレードマークに3000台を超えるハイヤー・タクシーでサービスを提供してきました。
 日本経済が成熟化する中で、人々の移動のニーズは日々刻々と変化しております。日本交通は、ハイヤー ・タクシー業界のリーディングカンパニーとして、日本の首都、東京を支える新しい都市交通のあり方を提言しています。
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 単に移動手段としてだけでなく、多彩なニーズに対応して様々なサービスを見える化、細分化しています。
  • 東京観光タクシー
日本交通グループ約7000名の中からから選抜された21名の専門知識を持ったエキスパートドライバーがガイドをしてくれるそうです。家族・友人など最小単位でタクシーを貸切り、タクシーならではの細やかな移動で東京の観光スポットを巡ることができます。
  • 大江戸スイーツタクシー
江東・墨田・台東など下町の老舗スイーツと、東京の観光スポットを一緒にまわれる観光コースです。スイーツコンシェルジュドライバーがおすすめスイーツ店と観光スポットを案内してくれます。もちろんスイーツ店は利用者自身が好きな所を選ぶこともできます。職人の技が光る絶品スイーツと東京の観光スポットが堪能できます。
  • JIN-TSU TAXI
陣痛タクシーは、事前に妊婦の方が情報を登録することで、いざという時に素早く確実に病院へ向かうことができます。タクシーに乗ってからの乗務員への道案内も不要です。平成24年5月のサービススタート以来、既に20,000件以上のご登録、7,700件以上の利用があったそうです。今年の5月には1日平均で53件の登録(都内妊婦さんの19%)と23件の利用(都内出産の7.3%)があったそうです。
  • キッズタクシー
学校・塾・自宅間をドアtoドアで送迎するサービスです。キッズ担当の精鋭乗務員がいつもの顔なじみの乗務員となり送迎してくれますので、子供だけでの乗車も安心です。新生児・乳幼児をお連れの場合にも周囲を気にすることなく、ゆったりと乗車できます。
  • ケアタクシー
ホームヘルパー2級、普通救命技能認定(AED)などのスキルと、黒タク乗務員としての高いホスピタリティを兼ね備えた精鋭乗務員が、ご高齢の方や、お体が不自由な方のお出かけをサポートしてくれます。
  • タクシー配車アプリ
そしてこれらのサービスを利用するだけでなく、一般のタクシー利用にも便利なタクシー配車アプリをiPhoneやAndroid端末用に配信しています。
《iPhone版配車アプリ紹介動画》
 実は、これらのサービス、先日乗車した日本交通さんのタクシー車内にあったパンフレットで初めて知りました。たかがタクシーの配車でここまで進化しているとは思わなかった。
 日本交通さんは、グループ売上高で日本最大のタクシー・ハイヤー会社だそうですが、代表取締役社長の川鍋一朗さんは、同社創業家三代目。若手でtwitterを駆使してするなどIT化にも熱心な様子。
 どのような経歴か調べると慶應義塾大学経済学部卒業後、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了し、1997年マッキンゼー日本支社勤務を経て、2000年家業の日本交通入社したらしい。専務、副社長を経て、2005年より現職。入社当時、1900億円の負債を抱えていた同社を、大胆な経営改革で立て直すとともに2007年末に自ら1ヶ月ほどタクシー運転手を体験したとのこと。なるほど、やはりタダ者ではなかった。
 サービスの基本は、サービスで提供する価値を見える化すること。日本交通ではそのお手本のようなサービスを提供している。
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