モノづくりのイノベーション 〜子ぐま型ソーシャルロボット〜
先日の次世代UIの反響をみて少し前にYouTubeでブレイクした先端テクノロジーを思い出した。
YouTube: くしゃみもする子ぐま型ロボット Teddy bear robot
この愛らしい子ぐま型ロボットは、海外でも大人気。次の映像は、 全米家電協会(CEA)が主催する家電に関する世界最大規模のトレードショーであるCES2011で撮影されたもの。レポーターの反応が面白い。
YouTube: Fujitsu's Robot Teddy Bear at CES 2011: Cutest Thing Ever!
この「子ぐま型ソーシャルロボット」は、高齢者や子どもがより自然に接することを目的として開発された誰もが親しみやすい子ぐまのぬいぐるみのロボット。ユーザーとのインタラクションをはかるために大きく2つの特長を備えている。
まず、1つ目は ノンバーバル(非言語)コミュニケーション。
12個の内蔵モーターによる顔や身体の動きに加えて、外からの刺激の検出のため、鼻に小型カメラ、毛皮裏には接触を感知する皮膚タッチセンサーを13 個、両腕先には握られたことを感知する腕握りセンサー、本体の傾きを検出する傾斜センサーなどを搭載しているという。可愛らしい風貌とは裏腹になんともハイテク(笑)
2つ目は、アイコンタクトと音声によるユーザーとのインタラクション。
ロボットの鼻部に小型カメラを搭載しており、ユーザーの顔を自動的に検出して感情状態が覚醒にある時は適当な頻度でユーザーとアイコンタクトが取れる。これにより、ユーザからすると自分のことを見てくれているとの感覚になり、親密度が増す。
また、3~5歳児程度の男児の合成音声機能を搭載し、振る舞いと連動した音声を内蔵スピーカーから発話する。
またUSB接続したPCから端末の振る舞いを制御できるようにしているという。
なるほど、このようなテクノロジーを可愛らしいくまさんに内蔵しているからこそ、” Cutest Thing Ever ! ”と言わしめることができるのだ。
さて、この「子ぐま型ソーシャルロボット」の使い道はどんなところにあるのだろうか。
モノとしての優れたテクノロジーは十分ご理解いただけたと思うのだが、この子ぐまを活用したコトづくりへの取り組みも行われている。
一つは、高齢者介護の現場だ。
介護の現場では、動物とふれあうことで得られる“癒し”によって精神的な問題を解決しようとする「アニマル・セラピー(動物介在療法・活動)」がおこなわれているが、最近では動物をロボットに置き換えた「ロボット・セラピー」の実験もおこなわれるようになってきたらしい。
もう一つは、医師の協力のもと、認知症高齢者の自宅において、子ぐま型ソーシャルロボットとのふれあい実験を行っているという。
ある介護施設で実験を行って戻って来た「子ぐま型ソーシャルロボット」にバナナでベトベトになって帰って来たことがあったという。実は、お年寄りが「子ぐま型ソーシャルロボット」にバナナをあげようとしたらしい。
また、単に高齢者とのコミュニケーション端末としてではなく、家庭内の情報端末としての活用方法もあるだろう。
様々な監視カメラやセンサーによる見守りだけでなく、ユーザとのコミュニケーションが今後の端末には求められていくと思う。