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人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

頭から入れるか?足から入れるか?

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ひとつ前の記事に吉田さんがコメントしてくださいましたので、その元記事に関するネタをひとつ。

吉田さんがブログで紹介しておられる交渉術の中に「ハイボール」というのがありますが、これは多くの交渉術セミナーの中で「ドア・イン・ザ・フェイス」という名前で紹介されているテクニックです。

「ドアに頭を突っ込む」というこのテクニックは、最初に相手に法外な要求をつきつけ、それを徐々に減らして Yes と言わせてしまおう、というものです。
本当は最初から10万円で売りたいと思っているにもかかわらず「20万円で売ります」と言い切ります。相手が「そんなの、高すぎる!」と言われても、「いや、これは20万円の価値があるんです」と言って根気良くその価値を説明します。そしてその後に「あなたには普段からお世話になっていますから、特別に18万円にまけます」とかなんとか言って、徐々に譲歩してゆくのです。

注意しなければならない点はふたつ。

  1. 最初に提示する案(上記の例でいう「20万円」)を正当化すること。
  2. あなただから特別に譲歩するんだ、と相手に恩を売ったりお得感を感じさせたりすること。

20万円だ、といっているのにいきなり「じゃぁ、10万円でいいです」なんて言ってはいけません。最初の20万円はなんだったんだ?と思われるだけでなく、じゃぁ、もっとねばればもっと下がるんじゃないか?と思わせてしまいかねません。

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逆に、最初に誰でも取れるような超ローボールを投げるテクニックが「フット・イン・ザ・ドア」と呼ばれるものです。その後徐々に敷居を上げていくわけです。

メーカーや小売店がよくやる手口です。先日、家の近所に大型安売り店がオープンしました。そのとき自宅には

  「在庫処分!季節はずれ!石油ファンヒーターが980円!(20台限り)」

というチラシが入ったのです。なるほど、この冬のモデルだし、今となってはもう暖房器具は売れないから、この値段でも投売りしたいんだな、と「980円」という異常に安い値段を勝手に正当化してしまいます。その上お買い得感があるから、ちょっと覗いてみよう、と店に行くわけです。これが超ローボール。

で、実際に店に足を運んでみると、980円の石油ファンヒーターのすぐ隣に、それよりももう少し性能のいい暖房器具が2,980円で置かれているのです。そしてさらにその横には、さらにもう少し性能のいい暖房器具が5,980円で置かれているわけです。980円の石油ファンヒーターを買いに来たはずのお客さんの多くが、結局「同じ買うなら・・・」と、その5,980円の暖房器具を買っていくんですねぇ。

ところが、最初からその5,980円の暖房器具だけを見せられても、きっと大半の人はそれを買わなかったでしょうね。これが「フット・イン・ザ・ドア」。

余談ですがこの名前、

「思わずドアを空けてしまったら新聞の勧誘員で、しまったっと思いながらドアを閉めようとしたときにすかさず足を差し込んできて、『お願いですから半年だけとってくださいよ、最初の3ヶ月はタダにしておきますからさぁ』なんて言うじゃない?」

というようなストーリーを連想するんですが、私だけですかね。

Comment(2)

コメント

ぶん

お久しぶりですー。
余談のような、「フット・イン・ザ・ドア」の手口を使われたことは無いけれど、新聞屋さんに『半年取ってください。最初の3ヶ月は無料にしておきますから』と言われたことはありますねぇ。しかし、買い手の心理をうまく捕まえている手口ですねー

谷 誠之

ぶんさん、コメントありがとうございます。
新聞屋さん、ご経験ありますか ^_^。

なんでも、新聞の勧誘で野球観戦のチケットとか美術館の招待券などを配るのは法律違反だ、というようなことを聞いたことがあります(誰かから聞いただけなので、本当かどうかよく知りませんが)。それがもし本当なら、新聞代をタダにするぐらいしか、勧誘方法はないんでしょうかね。

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