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人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

恐ろしいまでの論旨のすり替えに注意

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ビジネスで使うPCには、Windows XP機がいいか、それとも Windows Vista機にするのがいいか・・・

実はまだ、とっても悩んでいます。いや、自分で使うのはまぎれもなく Windows XP なんですけどね。Windows Vista も SP1 が発表されたことですし、人に勧める場合はどうかなぁ、と。

そう思いながらネットサーフィンしていると、マイクロソフトのこんなページを見つけました。
「Windows Vista vs Windows XP 使い比べ十番勝負!」と題していろいろなことを書いているページです。このタイトルを見る限り、Windows Vista と Windows XP を比較しているページのように感じます。まぁ、当のマイクロソフトにしてみれば Windows Vista を売りたいわけですから、当然 Windows Vista に軍配が上がるような記事が書いてあるんだろう、と想像できるわけですが・・・

このページ、よぉく読んでみると、実はとんでもないワナが潜んでいるのです。

まず冒頭のサブタイトルからして、

   ズバリ結論!買い替え、アップグレード、オススメはどっちだ?

となっています。・・・おや?「買い替える」にしても「アップグレードする」にしても、どちらを選んでも Windows Vista を選ぶことになるじゃありませんか。

ちょっと待ってください。メインタイトルは「Windows Vista vs Windows XP」のはずです。OSとしてどちらが優れているかとか、どちらを選ぶべきかとか、そういう趣旨のページじゃないんですか?

ところがよく読んでいくと、十番勝負のいずれもが「買い替え」か「アップグレード」という結論になっているのです。つまりこの勝負、最初から Windows XP に勝ち目はないのです。「Windows XP を選ぶ」という選択肢は、最初から封印されてしまっているのです。

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しかし、この戦法、実はなかなかうまく使えます。つまり、論旨を巧みに(こっちの都合のいいように)すり替えてしまうわけです。

例えば友達と昼食に出たとしましょう。そのとき、自分がうどんかそばを食べたいと思っていたなら、友達に「お昼、何が食べたい?」と聞くのではなく、「お昼、うどんとそばとどっちが食べたい?」と聞くのです。相手に選択を委ねているようにみせかけておいて、実は選択の幅を大きくせばめてしまうわけです。

営業の席でも、「買ってくださいますか?」という姿勢で臨むのではなく、「AとB、どっちを買いますか?」という姿勢で臨みます。お客様に「買うか、買わないか」という選択をさせるのではなく、「Aを買うか、Bを買うか」という選択をさせるように仕向けてしまうわけですね。もちろんこんな簡単なことで商談が成立したらいうことはありませんが、実はこう仕向けることで「買わない」という第三の選択肢をお客様が選ぶにはかなりの勇気を必要としたりするんですよ。

それにしても、恐るべし、マイクロソフト。

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