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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

いろいろなルールが「学習」機会を奪っている(というかなんというか)

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以前より、たびたび「若手が育ちにくいのは、”ゆとり世代”だからではなく、働く人を取り巻く環境が大きく変化したからなのだー」と声高に訴えてまいりましたが、つい先日も、「ああ、そりゃ大変だなあ」と思う話を聴きました。

「今ね、PC持ち帰っちゃいけないでしょ?会社から支給されたPCだけじゃなくて、資料でもなんでもオフィスから持ち出してはいけないってルールなんですよ。コンプラ関係で。ボクが若いころ、って30年くらい前だけど、会社だけじゃ勉強できないから資料とかいろいろ持ち帰って、夜・・や、土日に勉強したんですよね。それがいいか悪いかは置いといて、とにかく、持ち出せないという縛りがあることで、学習する機会が減っているという面もあると思うんです。だから若い人、どこでどうやって勉強していているんだろう、大変だなあと思って」


ああ、なるほど、なるほど。

「会社の仕事のための勉強を、自宅に持ち帰ってするなんて、労務管理上どーだこーだ」という声もありましょうが、実際には、プライベートな時間に仕事のための勉強をするというのは多かれ少なかれやっていることだと思うんですね。強制されたら怒るけれど。

私のような講師業は、会社でないとできないこと(コンピュータを使った検証とか?)もあれば、テキストを読み込むとか講義のプランを考えるとか自宅でもできるようなこともあり、プライベートな時間に研修の開発や実施のための勉強をするというのはある程度「ふつう」だったりします。もちろん、顧客情報を持ち出したりはしませんが、研修教材を持ち帰り、自宅で勉強するというのは十分あります。

さらに私の担当する分野など、勉強なのか趣味なのかわからない読書というのがついて回り、たとえば、新しい「教育関連の本」だとか「リーダーシップの本」が出た!となるど、会社で読んでいる暇はないので、プライベートな時間にそれらを読み、知識を蓄えたりもしています。

しかし、最近では多くの企業が、「持ち出し禁止」なものが増えて、しかも、勉強のためだけに会社に残ることもダメとなって、・・・で、どうしても、学習機会が減ってしまうというのです。

「勉強するやつは、どんな環境でも条件でも勉強するんだよ!」と言うのは簡単だけれど、勉強することへのハードルが低いほうが自然に学ぶようになるものだとも思うのですね。

勉強する環境づくりを「頑張る」より、頑張らなくても自然に学べることが本当は望ましい。。


コンプライアンスだとかなんだとか、どんどん働く現場は、いろいろ縛りが増えていて大変な中、学ぶとか成長するって、本当によーくよく考えていかないと実現が難しい時代になったな、とあらためて思うのでした。

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