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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

リーダーシップってなんだろね? 巻き込む力もそのひとつ

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リーダーシップ。多くの人が求められることですね。

リーダーシップというのは、他者に対する影響力で、目標達成に向けて周囲を動かしていくこと。だから、リーダーだけが発揮すれがよいものではない、というのはよく言われることです。

影響力・・・の中には、「巻き込む力」も入るでしょう。

先日、ある企業で「リーダーシップ」研修を担当しました。この研修は、11月に1回目を行い、そこで目標と行動計画と立て、3か月実践し、2月になってからフォローアップする、というスタイルのものです。間に上司面談なども組み込み、密度濃く運営していただきました。

2月のフォローアップでは、「3か月の実践結果」の報告(成功事例、うまくいかなかった事例)と今後さらに取り組みたいことを議論するといったことを行います。

成果報告では、単に「何をした」「どういう結果になった」にとどまらず、「そのことから何を学んだか」「気づきは何か」というった”内省”の中身まで全員でシェアします。

そこで、おひとりの発言がとても印象深かったので紹介します(他にもたくさんいい発言があったのですが、まずは、一つを)

「巻き込むチカラ、大事だなあと思ったんですが、そのためには、まず、相手の話をよく聞くことが大事ですよね。自分と知識や技術レベルが違う相手の場合、自分のレベルで話してしまうと通じないこともある。だから、相手の話に耳を傾け、よく聴き、相手のレベルをまずは把握する。そして、いったん相手のレベルに合わせて話してみる。その会話を通じて、徐々に相手のレベルを上げていく。自分も相手も対話をしながらレベルアップしていき、大きなことができるようになってくる。そうやって、相手を巻き込むもんなんだろうなあ、と思いました」

おお、この発言、感動してしまいました。

つまりですね。誰かを巻き込むためには段階がある、というわけです。

●巻き込みたい相手と会話する
●自分が話すより、相手の話に耳を傾ける
●そうすると、相手のレベルがだいたいわかってくる
●巻き込みたい相手は、自分と違う仕事をしていたり、知識や経験が異なっているから、自分の”巻き込みたい”テーマについては、自分よりたいていの場合、知識、経験などが少ない(ここを”レベル”と表現してます)
●だから、巻き込みたい相手の知識、経験レベルに合わせてまずは会話する
●そうすると、徐々に相手の知識レベルを上げることができる(自分の話を理解してもらえるようなレベルにまで引き上げられる)
●そうやって、レベルが合ってきたら、対等は対話を通じて、今度は自分も相手と共にさらにレベルを上げる
●そうこうするうちに、大きく相手を巻き込みながら物事を進められるようになる

ってことをおっしゃってます。
もっと簡単にまとめると、

●相手の話を聴いて、レベルを把握する
●相手のレベルに合わせて話す
●相手のレベルを上げる
●自分も相手もレベルを上げる
●その結果、上質なマキコミができる

・・・。

そうだよなーと深く納得してしまいました。

一人でできることは限られていて、ちょっと大きなことに取り組もうと思ったら、周囲を巻き込むしかないのだけれど(社内外問わず)、その時、たとえば、「私」がやりたい!と思っていることを周囲が同じレベルで理解したり、同じような想いを最初から持っていることは少ない。

だから、「こうしたい」「こうやりたい」「こう進めたい」と思っている当人が周囲を説得したりして巻き込んでいかないといけないんだけど、最初から「説得」とか「熱く語り続ける」ということをしても、全然会話のレベルが合わないから、まずは、「聴く」ことが大事なんだ、と気づいたそうなんです。

こういうことを3か月の実践の中で気づいて、それを言葉にして、他のメンバの前で披露してくださって、多くの方がそれを聴き、また自分なりに解釈して、自分ごとに落とし込んでいく。

先日、「プレイフル・ラーニング」の本の紹介をしたエントリーで、「内省(リフレクション)は対話だ。アウトプットだ」ということを書いたのですが、まさに、そうなんだなあ、と思ったのでした。

「学びはアウトプット」「内省もアウトプット」。

言語化して、自分でもより考えが明確になるし、他者の学びにも一役買う。

対話(ダイアローグ)の意味はこんなところにあるんですね。

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