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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

学びたいテーマがある時、勉強会を開き、自ら講師になるのが最も効果的。

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昨年春先、あるプロジェクトのために、ID(Instructional Design:インストラクショナルデザイン、研修をシステマティックに開発するための考え方)について猛勉強する機会がありました。数年前からIDは学び、知ってはいたのですが、深く広く学ぶ必要があったので、文献もたくさん読み、文字通り、ねじり鉢巻きで頑張りました。

折角、社内一詳しくなったので、そして、この考え方はとても大事なものなので、全社向けに浸透させたいなぁ、と考え、夏、秋、そして今年に入ってからと何度か「社内勉強会」を開催しました。

ある時は、ある部署からの依頼で開催。ある時は自分が仕掛けて開催。

毎回参加者は異なります。 興味を持つ箇所も異なり、疑問に思う点もまちまちです。 説明していくと、「ん?それってなぜ?」とか「こういう場合、この考え方はどう適応するんですか?」といった”ソボク”な疑問が多々上がります。

答えらえれるものもあれば答えられないものもある。
宿題にさせてもらって、再度文献に当たったり、有識者に尋ねたりする。そして答える。

そうやっているうちに、気づくわけです。

この勉強会で一番勉強になっているのは、私だと。

自分なりに猛勉強し、とても詳しくなったつもりでも、説明中に説明が破たんすることがあります。自分で「あれ、なぜ、●●だから××だ、と言い切れるんだろう」とか「ん?ここの説明の流れ、論理的じゃないな」とか。あるいは、「そもそもこれで正しいんだったかな?」などと。

そう気づいたら、調べ直す。

自信を持って説明しても、質問や意見で突っ込まれてしどろもどろになる箇所もある。

そうなれば、また調べ直す。

そうやって、勉強会の講師を何度も務めているうちに、頭の中に考え方が構造化され整理され、きちんと収まってくるんですね。

昨年末からは、「経験学習」という分野に興味を持ち、あれこれとまた文献を読んでいます。これもとてもよい考え方で、多くの人に知ってほしいと思い、勉強会を開いています。

これまた、説明しているうちにどんどん腹落ちしてくるんです。そして、何度も説明しているうちに資料なくてもよどみなく、堂々と語れるようなレベルになってくる。

だから、今また、「経験学習」に社内で一番詳しいのは私です(笑。

「●●を学びたいから誰か勉強会してくれないかなあ」
「人事がそういう研修を企画してくれればいいのいなあ」

と、誰かに仕掛けてもらうのを期待する手もありますけれど、そういう勉強・研修があったとして、それは有効だけれども、どうしても「受け身」になりやすい。

研修も勉強会もないのであれば、自分が軽くでもいいからまず勉強して、勉強会を開いてしまう。そして、多少、説明が怪しくても人に説明してしまう。説明された側があれこれ質問して突っ込んでくるでしょうから、そのことをさらに深く学ぶ。そうやっていると、かなりのことが理解できてしまいます。

自分で学んでそこでおしまい、なのではなく、自分で学んだあと、誰かに説明する、ところがポイントです。説明するからこそ、勘違いや学びの浅さに気付けるのです。

「勉強会」を主宰しようにも、参加者が集められないという可能性もありますけれど、「これ、とてもいい技術だからいっしょに勉強しない?」といえば、2-3人くらいは賛同してくれるように思います。

先日紹介した『プレイフル・ラーニング』に「学びはアウトプットだ!」とありました。まさに、勉強会はそういう種類のものだなあ、と最近しみじみと実感しております。

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