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事業開発ほどクリエイティブな行為は他に無いと思いこんでいる人間の日常

「ミカンの押し売り」に思う

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香川県でミカンの押し売りが多発しているようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091114-00000303-mailo-l37

私は香川出身なので、香川ネタにはすぐに食いついてしまいます。

この手の話を見かけるたびに「そんなことやる手間があったら、他のことをやればいいのに」と思う一方、個人的には、いろいろと思うところもあります。

ミカンの押し売りは別にして、何かしらの犯罪行為を見るたびに「犯罪をやるくらいなら・・・した方がましなのに」とは、誰でも思うことでしょう。私も以前はそう思っていましたが、今は少々異なります。

私は、望むと望まざると、いわゆる経営者というカテゴリに属さないといけない人間ですが、その経営者とやらに必須の能力とされる「人を使う」というのが大の苦手です。致命的です。

しかし、苦手な分、どうすれば人を使えるのか?についてはよく考えます。

ミカンの押し売りについて、昔の私はこう考えました。「ミカンの押し売りですら、組織行動ができるのに、なんで、俺(うちの会社)は、できないんだろう。どう考えたって、うちの仕事はミカンの押し売りよりましなのに」と。

しかし、今の私はそうは思いません。「ああ、やっぱり、ミカンの押し売りでさえ、一定の条件を満たすと人は動いてしまうのか」と。早くうちの会社もそういう状態にしなければ・・・と。

一定の条件とは、「1)明確で強い指示するリーダの存在」、「2)ある程度マニュアル化されたオペレーション」、「3)明確なリターン」などです。

ミカンの押し売りはこれらの条件がある程度満たされていたのでしょう。

おそらくは、ドスの聞いたボスがいて、「てめえら、売らないとぶっ殺すぞ」と力強く明確な指示を出し、「最初は、ミカンを試食してもらい、OKだったら、箱を持ち込み、大金を吹っかける」というマニュアル化されたオペレーションが存在し、そして、成功したら「山分けで現金」という明確なリターンといった具合です。

いろいろと反論もあるかと思いますが、私は、数年間会社を経営し、「人は、指示やマニュアル化されたオペレーションを原則として好む」ということをを学びました。

このブログのタイトルにあるように、私は、ビジネスほどクリエイティブな作業は無いと思っていますし、それこそが、やりがいだと思っていますが、あくまでそれは理想であり、日常のすべてを100%新規に生み出さないといけないとしたら、それをストレスだと感じる人間の方がずっと多いことを学びました。

ストレスを感じた動物(人間を含む)がとる行動に、情動行動というのがあります。いわゆる同じ行動を繰り返す運動です。私は、情動行動等の根源には「動物は原則として変化を嫌う」というのがあるのではと考えています。

毎日指示され、同じ行動をすることが原則心地よく、「俺さまは人間だ!」というプライドを維持する程度の少々の変化がある程度が人には心地よいのかもしれません。

そうでなければ、いくら香川と言えども(すみません。香川への愛情がある上での失礼な表現です)、ミカンの押し売りよりはましな仕事があるはずです。

しかし、人は、近くに強く、明確な指示をする人がいたり、内容やリターンがわかりやすい仕事があると、それが犯罪かどうかを考えることをせず実行してしまうのでしょう。オレオレ詐欺を含め、その手の犯罪が多発するのはおそらく、そういうことだろうと考えています。

まあ、頭で理解しても、行動に移せなければ意味が無いという経営者のルールに反し、それができない私は、ただ、ミカンの押し売り記事を指をくわえてみるだけです・・・。

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