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新刊『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント』を出版しました

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こんにちは、竹内義晴です。

本日5/27、新刊『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント』を出版させていただくことになりました。

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今回の本は、「若手世代との、世代間ギャップに悩んでいる」という中堅世代の方に向けて書いた本です。

わたしはしごとのみらいという法人を運営していて、企業の職場作りやコミュニケーションをよりよくするための企業研修や講演を行わせていただいております。かつては、「コミュニケーションをよくしたい」といったテーマでお話をいただく機会が多かったのですが、この数年「世代間ギャップを縮めたい」というテーマで、ご依頼をいただくケースが増えてきました。

しかも、これまで、研修をご依頼いただく部署は人事や研修担当部署と相場が決まっていたのですが、近年はダイバーシティ(多様性)に関連する部署からのご依頼が増えてきて、世代のとらえ方が、「コミュニケーション」から「多様性」に変わってきたのだと、その時代の変化を感じているところです。

さて、今回の出版のお話をいただいたのは2021年の秋から冬になる季節でした。この時期、ボクは仕事に追われ、正解のない大きな課題を抱えていて、毎日悩んでいました。出版のお話はとてもうれしかったものの、時間の確保が難しくて、「うーん、書くのは無理だな」と、正直思っていました。

一冊の本を出版するためには、大体、9万~10万文字の分量の文章を書くことになります。これまで数冊、本を書いてきましたが、正直、かなり大変な作業です。下手すると、1~2か月つきっきりです。その、ただでさえ大変な「文章を書く」という仕事を、やりきる自信がなかったのです。

でも、「せっかくご縁をいただいたのだから、一応、お話だけはうかがってみよう」と、翔泳社の編集者さんとオンラインでミーティングしたのでした。

編集者さんに対して、ボクは、その時の状況や気持ちを正直に伝えました。「時間的に、書く自信がない」と。

また、もしボクが本を書くとしたら、「こんな風にすれば、簡単にこうなりますよ」みたいな、Tips的な本にはしたいくないと思っていました。なぜなら、そういった内容の本は、ライトで読みやすいものの、実務の中で実践するには、あまり実用的ではないからです。

ボクが、実務の中で大切にしているのは、「本質的であること」「実践的であること」「シンプルであること」。それは、Tipsと比較すると、習得するまでに若干の時間は掛かるかもしれない。でも、本質的で、考え方がシンプルなものは、わずかなことを意識し、実践さえすれば、誰でも身に付けることができる。そして、ずっと使えるし、応用もできる。スキルとは本来、そういうものだと思っています。

また、スキルやテクニックに加えて、関わる人の「あり方」みたいなものが、とても大切なのではないかと思っているタイプです。そういった、本の内容、価値観が合わなければ、無理に出版したいとは思っていませんでした。

でも、編集者さんと話をするにつれて、心が揺れました。「単なるテクニックやTipsではなく、本質的な、長く読まれる本にしたい」という想いを伺い、ミーティングが終わるときには、「できるかどうか分からないけれど、がんばってみよう」と、思うに至ったのです。

ただ、1~2か月、この本につきっきりになる時間は、どうにも確保できそうにありません。「どうしたら、時間のない中で書けるのだろう?」

実はボク、複業しているサイボウズで、サイボウズ式というWebメディアの運営を行っています。その中では、記事の企画者であり、編集者であり、ライターです。文章をつくる方法は、自分ですべてを書く方法もあるけれど、「ライターさんに協力していただく」という方法もあるな、と。

また、自分でゼロから書くのも、それはそれでいいのですが、さまざまな人たちに取材した経験、取材された経験から、「自分一人で書くよりも、さまざまな角度から質問していただき、それを言語化していったほうが、自分の思考の範囲を越えた、いいものができるかも」と。

そこで、ライターさんに入っていただき、さまざまな質問を投げかけ、取材していただいた内容をテキストにしていただく。それを、ボクが編集していく......という方法なら、ひょっとしたら、限られた時間の中でも、品質の良いものがつくれるかもしれない......。

そんなふうに考え、編集者さんに相談したところ、ライターの堀尾大悟さんをご紹介いただきました。

さっそく、堀尾さんと打ち合わせをしました。堀尾さんの誠実なお人柄は、すぐに分かりました。また、堀尾さんの大学の先輩が、サイボウズでいっしょに働く同僚だったことが分かり、意気投合。こういった「偶然のご縁」って、何かをつくるとき、とても大切だと思っています。

そして、堀尾さん、編集者さん、ボクの3人での本づくりがはじまりました。堀尾さんからヒアリングしていただきながら、上がってきた原稿をボクが編集していくという、ふつうではなかなかできない経験です。堀尾さんには、ボクの思考の範囲を越えたさまざまな質問をしていただき、一人では決して言語化できなかったであろう内容の本にすることができました。

一方で、ボクも文章を書く手前、自分の文体やリズムを大切にしたいと思いました。そのため、最初はどこまで手を入れたらいいのか悩みました。でも、変に妥協をしてしまうと、自分の本なのに、自分の本ではないような感じがして気持ちが悪い。そこで、表現には納得がいくまでこだわりました。

それでも、堀尾さんに引き出していただいた原文があったために、よい品質の内容を、短い期間の中でつくり切ることができました。堀尾さんには、本当に感謝しています。

そして、冒頭にも触れましたが、この本は、中堅世代の、世代間ギャップに悩んでいるみなさんに読んでいただきたいな、と思って書きました。

ボクは今年51歳で、中堅世代とベテラン世代の、ちょうど間にいる感じかなと思っています。ボクらの世代は、就職氷河期に社会人になり、ただでさえ大変だったなか、ボクらが先輩から指導されたのは、いわゆる、精神論や飲みニケーションのような「引っ張るリーダーシップ」や「昭和のマネジメント」。それを、みっちりと仕込まれた世代です。

そのため、ボクらが仕込まれてきた関わり方で若い世代と接すると、やれ「パワハラだ」「モラハラだ」と言われてしまいます。下手をすると、若手社員の心を折ってしまいます。それが怖くて、若い世代とのよい距離感が掴めないと、悩んでいる人もいます。

また、いままでだったら、定年まで働いたら、あとは年金で悠々自適な生活だったはずなのに、急に「人生100年時代」とか、「45歳定年制」とか言われ、「あれ、ボクらの生き方って間違っていたの?」みたいな、急に「正しい生き方」の梯子をはずされ、不安を抱きやすい世代です。そんな、不運な時代を生きているのが、わたしたち中堅世代です。しかも、うまく逃げ切れた前の世代と違って、ボクらは逃げ切れない。

だからこそ、ボクは中堅世代のみなさんには楽しく働いてほしいと思っているし、過去の価値観に縛られず、柔軟に変化してほしい。そして、自分らしく働いてほしいし、生きてほしいと願っています。

この本は、世代間ギャップを縮めるためのコミュニケーションに関する本です。コーチングや心理学などの内容をベースに、誰もが実践しやすいように、本質的なことをシンプルにまとめました。その根底には、「中堅世代のみなさんにこそ、それぞれの多様な個性を活かして、楽しく働いてほしい」という想いと願いを込めて、書きました。

大きくわけると、4つの章でまとめています。

  • 第1章 引っ張ってもついてこないZ世代・さとり世代(世代間ギャップがうまれる社会の構造)
  • 第2章 よい関係を「きずく」には、ギャップに「きづく」ことから(世代間ギャップがうまれるコミュニケーションの構造)
  • 第3章 「自分らしさ」を生かしたマネジメントが部下の力を引き出す(世代間ギャップを縮めるコミュニケーションの実践スキル)
  • 第4章 自由で楽しい「石垣チーム」が部下の強みを伸ばす(これからの時代にあった組織づくり)

この本が、中堅世代のみなさんが、さまざまな世代との垣根を越えて、関わりを改善する一助になればうれしいなと思っています。そして何より、楽しく働くきっかけになればいいなと願っています。

もしよければ、ぜひ、手に取ってごらんください。そして、応援していただけたらうれしいです。

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