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ネクストキャリアスクール──「これからのキャリア」のために「これまでを棚卸」し「地域とつながる」

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こんにちは、竹内義晴です。

みなさんは、「これからのキャリア」について、不安を感じることはありますか?

これからのキャリアが、なんとなく「将来はこうなるな」なんて描けていると、未来に対する予測ができますし、安心感もありますよね。

ところが、最近「これからのキャリア」が描けずに、不安を抱いている人が増えているような感じがしています。特に、35歳くらいから上の人たちを中心に。

もっとも、それも無理はありません。これまでは「学校」→「会社」→「退職金と年金で生活」という働き方、生き方が一般的だったのに、ここにきて急に、「人生100年時代」とか「45歳定年制」などと言われるようになってきましたからね。

実はいま、「これからのキャリア」に対して「なんとなくの不安」を抱いているみなさんと、自分の強みを棚卸し「わたしは〇〇が得意です」と自信を持って言える。そして、「これからのキャリア」につなげていけるような機会がつくれないかなぁと思っています。「ネクストキャリアスクール」みたいな感じ?

この記事では、そんな取り組みをはじめよう、はじめたいと思った経緯と背景、今後の取り組みについてお話させていただければと思います。

「ネクストキャリアスクール」を考え始めた経緯と背景

詳しいお話の前に、まず、その経緯と背景についてお話させてください。

ボクはいま、大きくわけると3つの仕事をしています。

こういった働き方をはじめたのは2017年からです。

2017年に複業をはじめた、比較的早い段階で、「もしも、ボクの逆の働き方ができたら......」──つまり、「地方の企業に都市部の人が複業」できたら──人材不足に悩む地域の企業にとっても、地方出身で地元に貢献したい人や地域に関わりたい人にとってもよいのではないか? という気づきを得て、地方と都市部を仕事を通じて関わりをつくる取り組みを、個人レベルで行ってきました。

そんな中、ご縁があって、2021年には地元の新潟県妙高市にて、地元企業と複業人材をマッチングする取り組みを始めました。

何件かマッチングしてみて、地元企業と都市部の複業人材をマッチングする取り組みはそう簡単ではありませんでした。課題をお話しますと......

企業側の課題

ボクがマッチングを試みたのは地方の企業ですが、こんな課題がありました。

  • 複業に対する理解、認知がまだまだ低い
  • 商工団体との連携しても、商工団体が自分ごと化できず自発的に動けない
  • 「複業」「リモート」という働き方がイメージできない
  • セミナーをしても、すぐにはつながりにくい
  • 企業が見つかっても、マッチングはやってみないとどんな人材と当たるか分からない
  • 複業人材はもともと単価が安いため、手数料をいただいてもマネタイズしにくい

など、挙げればいくつかありますが、一言でまとめれば「企業の開拓」と「マネタイズ」が、とってもとっても難しかったのです。

人材側の課題

また、マッチングしてみると、はたらく側にも課題があるように感じました。それは......

  • 自分は何が得意で、何ができるのか?
  • どんな経験があるのか?

といったことを、「うまく言語化できない人がいる」ことでした。

「うまく言語化できない」とは、キャリアは相応にあるはずなのに、「相手に理解できるように、わかりやすく表現できていない」とか、複業したいはずなのに、職務経歴書には数行しか書いていなくて「さすがに、もうちょっと書いてよ」と思うとか。

でも、よく考えてみたら、いままで企業の中で働いてきた人にとって、社外の人に対して自分の強みや経歴、得意など、これまでのキャリアを正しく言語化し、わかりやすく伝えるというのは、案外、難しいことなのかもしれないな......とも感じます。

だからといって、何もしなくていいのか?

でも、若い世代が街を出ていき、人口が減り、高齢世帯が増えている「地域課題のリアル」の真っ只中にいる地方在住の一人として、「このままでいいのかな?」と思います。「何もしなくていい」なんて思えない。

「じゃあ、どうすればいいのだろう?」──昨年の9月ごろから、解決策のない難題にすっごく悩んできました。

複業という形にこだわらなくても、仕事を通じて地域と都市部、あるいは、地域と地域を行ったり来たりできるような仕組みをつくってみたい。しかも、ちゃんと継続できる方法を。なにかいい方法はないものだろうか? 同じような課題感を持っていた知人を会話を重ねる中で「キャリア」という方向性が見えてきました。

多くの人がキャリアを描けずに、もがき苦しんでいる

少し話はずれますが、最近、身近にいる人たちの中で「今後のキャリア」を描けなくて苦しんでいる人が多いな、と、思っています。

ボクはいま、51歳ですが、周囲には、概ね35歳ぐらいから上の、中堅世代以上の人たちがたくさんいます。その人たちの行動を観察していると、多くの人たちが「将来への不安」や「キャリアの課題」を持っているように感じるようになりました。

たとえば、最近コーチングやキャリアコンサルタントの資格を取っている人が多いなと感じています。その理由は、いろいろとあるとは思いますが、私の知人はこう言います。「将来に対する不安がある。これからの準備をしておきたい」と。

また、アデコグループが調査した『「人生100年時代」のキャリアビジョンに関する調査』によれば、4人に3人が「キャリア構築に不安を抱えている」と言います。

つまり、その動機は「転職したい」「起業したい」ではないのですよね。今の仕事は特別嫌いなわけではないし、辞めたいわけじゃない。でも、将来のことを考えると「このままだとまずい」「何かしなきゃ」と、思いはじめている人が多いんじゃないかなぁ、と。

ただ......ボクのこれまでの経験では、コーチやコンサルタントの資格をとって起業し、信用を得て、それで収入を得るのはそんなに簡単じゃなかった......というのが正直なところ。なので、夢を描くのは大切だと思いつつ、起業は、そう安易には薦められないなぁ......というのが、ボクの本音です。家族がいる人は、特にね。ゼロからキャリアを築きなおすのは、ホント大変。

といった状況の中で、「将来、このままで大丈夫なのかな?」と思い、「次のキャリアを築かなきゃ」と考えて、「資格を取ろうかな、複業がいいかな」と思うけれど、「何ができるかが分からない」「しかも、表現できない」という課題を抱えていて、結局、「何もできない。だから変わらない」という無限ループの中にいる人が、とってもとっても多いのではないか......と。そんな気がしたんです。

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そこで、思いました。いままで、いきなり地域の企業と都市部、あるいは地域外の人を複業の形でつなごうとしてきたけれど、そのまえに、「わたしは〇〇が得意です」と言えない課題がある。また、地域の企業にとっても、「複業」という形自体がハードルが高い。

それならば......

  1. 働く側の人が、自分の強みや得意なこと、経験、キャリアを棚卸して、「わたしは〇〇が得意です」「わたしの強みは〇〇です」「わたしはこんな経験があります」と、自信を持って言えるようにする。
  2. そのうえで、地域の企業とつなぐ。つなぐといっても、いきなり「複業」の形で「マッチング」するのではなく、まずは、人となりを知ってもらうような感じ。たまにはお酒でも飲みながら、いろいろと会話をするなかで、「〇〇さんって、いい人ですね。ボクらが知らないことをいろいろと知っているし、今度一緒に仕事がしたいですね」と思ってもらえるような「人と人とのつながり」をつくる。

こんな形ならいいんじゃないかな? と考えるようになりました。

活躍の場を「会社のやるべきこと」から「社会のやるべきこと」にシフトする

ここで、「なぜ、地方の企業か」という話なのですが......

会社員の人にとって、これまでの会社人生とは、「会社のやるべきこと」について取り組んできたと思うんですよね。でも、若いころと比較して、ある程度経験を積んでくると、なんとなく「仕事とはこういうものだ」という感じになってきて、やるべきことはやっているけれど、そんなに「ワクワクする感じ」は起こらないと思うんです。マンネリ化するというか。

そこで、いままで「会社のやるべきこと」に取り組んでいたのなら、これからは「社会のやるべきこと」へシフトできるといいんじゃないかな? と思いました。

「社会のやるべきこと」を考えたとき、人口減少や少子高齢化をはじめとして、地方は課題の宝庫です(笑)。「自分は、社会のために役立っている」「人に必要とされている」と感じられるときに、人はやりがいとか、生きがいとかを感じられるのではないかと思うんですね。そういう意味では、ある程度経験を重ねてきた人にとっては、都市部よりも、地方のほうが「社会のために役立っている」という感覚を得やすいんじゃないかな? と思っていて。

だから、地方の企業なんです。単にお金が目的なら、都市部で仕事をしたほうが断然いいですけどね。

都市部と地域、あるいは、地域と地域を行き来する中で、地域のことを知る。都市部では見えなかった「社会の実情」が分かる。自分とは異なる価値観の人たちに触れる。そこに、発見があり、価値観の揺らぎがあり、おもしろさがある

その中で、これまでの経験を自信をもって話せたり、「それならば、こんなことに取り組んでみたらどうですか?」みたいに提案したりする。こういった交流の中から、人は信頼され、関係が生まれ、結果的に複業のような形になるといいな......みたいな。

これを図で示すと、こんな感じです。

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というわけで、これからやってみたいことをまとめると......

  • これまでのキャリアを棚卸して「できること」を言語化できるようにするスクール
  • 自分の「できること」で、「社会のやるべきこと」を解決できるようなつながりづくり
  • それらを運営するフォーラム・コミュニティ

そういったものができるといいなぁ、と思っています。

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このようにすると、いきなり転職とか、起業とかをするのではないから、急にキャリアを変えなくていい。まずは、いままで社内で活動してきた「できること」や「自分の強み」「個性」「特徴」などを言語化できるようになる。その結果、「社会では、こんなことに役立ちそうだ」と分かる。そして、企業、特にさまざまな課題がある地域の企業とつながり、経験に応じた関わりができる。その結果、複業......にすぐにつながるかどうかは分からないけれど、地域企業との交流の中で信頼関係が生まれて、次のキャリアがイメージできる......そんな仕組みが実現できるといいな。

それが、みなさんの地元の企業だったりしたら、地域貢献になるから最高ですよね。もっとも、ボクができる範囲は限られますけどね。でも、もしこのモデルがうまくいって、他の地域に「わたしもやりたい」という人がいれば。

全世代の「キャリア教育」として

冒頭に、「35歳以上の......」みたいな表現をしましたが、こういった取り組みは、年齢に限らず、今後は若いうちから、スキルトレーニングや階層別教育のような形とは違った、「これからのキャリア教育」として、全世代に必要なんじゃないかな? って、個人的には思っています。

というのも、少子高齢化や人口減少が進む社会の中で、これからは、仕事をし、生きる前提として、若いうちからある程度「自立・自律する」ってことが必要なんじゃないかな? って思うから。

あと、いま、課題が山積している社会の中で、「うちだけ儲かればいい」「うちだけ優秀な社員がいればいい」「うちの地域だけが発展すればいい」という考え方ではなくて、労働力しかり、知恵やアイデアしかり、シェアしていく感じが必要

そのためには、お金という「経済資本」だけではなく、モノを作り出す能力である「人的資本」や、人と人との信頼関係といった「社会資本」が必要。これって、今後、企業にとって必要なキャリア教育だと思うんです。また、会社側も、ずっと人材を抱え込むと、ぶっちゃけ、何かと大変じゃないですか。

これまで、会社の中で活躍してきた人たちが、うまく社会と循環、往来できたほうが、社員の人たちにとっても、安心感や貢献感、幸福感が育まれるし、年齢に関係なく、長く活躍できるようになるとおもうんです。

この取り組みをどこで行うのか?

冒頭でもお話したように、ボクはしごとのみらいというNPO法人を運営しています。なので、その中で行うこともできます。

でも、このキャリア教育は、今後、少子高齢化社会が進む中で、「結構大切になっていくんじゃないかな?」と思っていて。というより、現状の、多くの人が「これからのキャリア」に不安を抱えながら過ごさなければいけないのは「社会課題なんじゃないの?」と。

社会課題を解決するためには、小さなNPO法人で取り組むよりも、「チームの力を生かした方がいいのではないか?」と思いました。そこで、この取り組みについて、2022年1月より、サイボウズの中で社会課題を先駆的に取り組んでいる部署(社長室といいます)に体験入部し、このプランの仕組みについて考え、壁打ちしていただき、「どんな形がいいのか?」を模索してきました。そして現在は、兼務という形で、社長室にも関わることになりました。

※「体験入部」とは、興味関心がある部署に一定期間体験的に入部して、相性や可能性について探る制度

また、地域の企業と接続するためには、地域企業とのつながりが必要なので、2022年の1月から、ボクが住んでいる新潟県上越エリアで、地域の教育関係者、人材を募集する会社の方、産学官連携を進めている企業の方など、この想いに賛同してくださるみなさんと、少しずつですが話を進めています。「こういうことって、働く人にとっても、地域にとっても大事だよね」と、自分ごと化してくださっているのが、本当にうれしい。

未来を描けなくて悩んでいる人たちが、「未来を描ける」ようにしたい!

ちょっとまだ、ふわっとしているんですけど、ここまでのお話で、イメージはなんとなく伝わったでしょうか?

現在のところ、ざっくりとしたイメージがあるだけで、細かなところはまだまだこれからです。どう育っていくのかも分かっていませんし、うまくいくのかもわかりません。

でも、若い世代が街を出ていき、人がどんどん減っている現実や、キャリアで悩む親しい仲間なんかを見ていると、「何か、やらなくちゃいけないよな」と思うわけですよね。また、ボク自身、いろんな働き方をしているから感じるんです。働き方が多様になってきた分、今後ますます悩む人が増えると思う。

目の前に課題があるのに、見て見ぬフリはできないじゃないですか。

だけど、「これは大変だ! なんとかしないと!」だけだと面白くないので、せっかく何かに取り組むんだったら、楽しくやりたい。

まずは、これまでの自分を棚卸して「わたしはこれが得意です!」と自信を持って言える人が増えるといいな。そして、地域とつないだときに、いろんな交流ができるといいな。お酒を飲みながら、さまざまな課題があるリアルに触れつつも、「こんな風になっていったらいいですよね」なんて、夢を語り合いたいな。その結果、複業のような関わりができると、もっといいな。

というわけで、まずはできることからはじめてみようと思って、この文章を書いてみました。引き続き、よろしくお願いいたします。

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