〜基本的なポリシーを公開〜 スポーツ選手がソーシャルメディアを活用する際に意識すべきこと【後編】
スポーツ選手がソーシャルメディアを活用する際に意識すべきこと【後編】
まず「スポーツ選手がソーシャルメディアを活用する際に意識すべきこと【前編】」を簡単におさらいします。
ソーシャルメディアを活用するスポーツ選手やチームが増えてきていますが、
これに伴い、ソーシャルメディア上で様々な事件が起きているという現状があります。
例えば、サッカー・イングランドプレミアリーグのバベル選手の炎上事例や、
アメリカのNFLでのハーフタイムでの戦術暴露事件などがありました。
これらの事件の発生を防ぐ為に、NFLでは、リーグ単位で選手やコーチなど
関係者のソーシャルメディア活用のポリシーを策定しています。
前編では、上記を踏まえて、リーグとしてポリシーを策定していなくても、スポーツ選手はしっかりと自身のポリシーを持つ必要性があるのではないか?という示唆をしました。
今回はそれではどういったポリシーを持つべきなのか、見て行きたいと思います。
それでは、後編です。
◆選手がソーシャルメディアを使う目的とは?
そもそも選手はどういった目的を持って、ソーシャルメディアを活用しているのでしょうか?
以前のエントリで紹介したサッカー・アメリカ代表のドノヴァンや、(参考過去エントリ:スポーツ選手のソーシャルメディア活用はドノヴァン選手から学べ!)
サッカー・ポルトガル代表のクリスチャーノ・ロナウド選手は、自身のセルフブランディング(自分の考えを知ってもらう、自分にまつわる各種情報の発信)を
主な目的として活用しているかと思います。
その他、選手自身の情報発信力を最大限に活用して、社会貢献などを行っている選手もいます。
最近では、サッカー日本代表の長谷部選手が日本ユニセフと協力をして、Twitterアカウントを立ち上げられていますね。
世界の子供達の悲惨な現状をツイートされていて、活動の内容を広く周知されています。
日本ユニセフ協会:TEAM HASEBEプロジェクト
TEAM HASEBE Twitterアカウント:@teamhasebe
• 117ツイート
• 3,637フォローしている
• 4,798フォローされている
• 106リスト
その他、前編でも紹介した野球のダルビッシュ選手は、ユーザーとの積極的なコミュニケーションを行って、ファン化の促進や絆作りを実現できていると思います。
まとめると現状は下記の使い方が主流です。
①セルフブランディング
②社会貢献活動
③ファン化、絆作り
ただし、筆者は4つめの活用方法、集客を工夫次第では活用できると考えています。
これはNBAではチームがソーシャルメディアを活用した集客キャンペーンを実践している事例もあり、どこかのタイミングでまた紹介させて頂きたいと思います。
◆選手がソーシャルメディア活用で気をつけるべきこと
それでは、本題に行きたいと思います。
目的に応じて若干変化するかとは思いますが、
選手が気をつけるべきことは、基本的には以下の9か条です。
1. ソーシャルメディアは公共のドメインであることを常に意識する
2. 他の選手及びチーム、ファンに対して、感情的な批判を行わない。
3. プライベート情報、個人情報を公開しすぎない。
(公開する場合は、事前に許可を取る)
4. 自チームの戦術、練習内容を明かさない。
5. コンディション状況をむやみやたらに明かさない
6. 自分が情報発信源であることに責任を持つ
(チーム、組織の一員である自覚を持つ必要がある)
7. ファンとの対話を行う場合は、ルール(ポリシー)を決め、
コミュニケーションできる範囲を明示する
8. ファンとの対話を行う場合は、誠実な対応を怠らず、嘘を付かない
9. 選手のアカウント一覧を公表する(フェイクアカウント対策)
基本的には企業がソーシャルメディアを活用するときに策定するポリシーと同じ考え方です。
炎上のリスクに対して、未然の防止策を細かくルールを決めておくことが大事です。
これにスポーツ選手にありがちなファンからの批判に対する対応策や、
自身で発信してはいけない内容をあらかじめきちんと整理しておくことが重要になってくるかと思います。
中でも注意すべき点を、コメントという形で補足させて頂きます。
2.最近でも某プロ野球選手がブログで
「練習がだるい」などの愚痴や、監督に対する批判を書いたことで炎上した事例がありました。
自分の価値を落とすだけでなく、チームの価値も落としかねない行動です。
3.に関しては、
スポーツ選手は、公人という見方もあるかもしれませんが、公開されたくない選手や一般人もいるでしょう。
相手に掲載の許可を得ることが大事です。
また、位置情報を公開することで、一緒に行動している人にも迷惑がかかる可能性もあります。これも注意する必要があります。
7.は、ファンとコミュニケーションが簡単に行える反面、応えたくないファンからの質問なども寄せられるでしょう。
あらかじめ対応できる範囲を明示しておくことも大事だと思います。
9.も重要です。
去年、サッカーW杯で日本代表の快進撃があったタイミングで、
本田圭祐選手のFacebookページがあると噂になりました。
ファンはこぞって「いいね!」を押したのですが、マネージャーさんが「このページは公式ではない」と発言したことがありました。
要するに、フェイクアカウントだったのです。
チームHPなどで公式アカウントを公開することも大事ですね。
◆最後に
ソーシャルメディアはファンとチーム、ファンと選手がつながれる非常に重要なツールです。
が、しかし使い方を誤ると、選手自身の価値、リーグや試合自体のクオリティにも悪影響を与えることになり兼ねないリスクもあります。
上記のようなことに気をつけてアカウントを活用しないと炎上の可能性がつきまとい、選手離れやチーム離れにつながる可能性もあるでしょう。
ソーシャルメディアは、今スポーツ界に大きな変化をもたらそうとしてます。
その変化とは選手/チームとファンがコミュニケーションを行う障壁が取り払われることで、精神的・空間的な距離がぐっと縮まる、ということです。
簡単にコミュニケーションできる時代だからこそ、
また自分の考えや意見が従来のメディアというフィルタを通さずに発信されていまうので、選手単位でも、ソーシャルメディアを扱う上でのポリシーを決めておく必要があると考えているのです。
今後、スポーツ界ではこのような動きが活発化していくものと筆者は感じています。
生活者のみなさんは、選手のソーシャルメディアアカウントに触れる機会があれば、
当記事にて示唆したことが意識されているのか?という違った視点で見てもらえると
選手のソーシャルメディア活用の目的や背景が見え隠れするかと思います。
<スポーツ選手がソーシャルメディアを活用する際に意識すべき9か条>
スポーツ、ソーシャルメディア系、どんな小さなことでもお気軽にご連絡頂ければと思います。
Twitter: @TatsuyaKitano
Facebook: TatsuyaKitano