スポーツチームにおけるソーシャルメディア集客戦略② ~米・NBA~
前回はアメリカ・NBAチームのNYKnicksが昨年実施していたTwitterを活用した 集客事例をご紹介しました。
スポーツチームにおけるソーシャルメディア集客戦略① ~米スポーツ界~
簡単におさらいすると、NYKnicksはTweet-upと題したTwitter活用キャンペーンを展開していたのです。
Tweet-upと命名された試合チケットを特設Webページにて購入すると、
今まででは考えられなかった特典(選手との交流や、自身の応援ツイートがスタジアムのサイネージに紹介されるなど)がもらえるというもの。
さて、それでは2011年はどのような展開を行ったのでしょうか。
早速見ていきましょう。
■2011年度のTweet-upはデルタ航空とのタイアップのTwitter企画
2011年度は、文字通りTwitterをフル活用した企画を進めています。
これはデルタ航空とのタイアップ企画で、NYKnicksの公式Twitterアカウント(@thenyknicks)上で、
ファンに対して様々なテーマで問いかけを行います。
ファンはテーマに沿った内容のツイートをRTという形で行い、応募完了。
これは「#NYKDelta」というハッシュタグを付与させることで、応募管理を行っているようです。
ランダム抽選で、当選者にNYKnicksの試合チケットと航空券のチケットをセットでプレゼントする、という企画です。
ある日当然、この面白い企画はスタートしました。
・@thenyknicksからの質問ツイートにRTで返事をすること
・「#NYKDelta」をつけること
・抽選でホーネット戦のペアチケットがあたる
という内容のツイートがありました。
NYKnicksからの質問テーマは、「デルタ航空でどこに行きたいか?」。
これに対して、@slardner92というユーザーから「San Diegoに行きたい!」と応募があり、運良く当選しています。
当選発表も通常のツイートで行います。
当選した彼はやはりRTを行っていました。
(普段からKnicksのことばかりツイートしています。また3月の地震時には「Play for JAPAN」ともツイートしていました。)
このようにスポーツチームと接点を持つことは、貴重でかけがえのない経験になりえるのです。
チームはWow!を提供できたのです。結果、当選したことを彼はRTし、自分の周りに知らせたのです。
もちろん、リアル世界でも友人などには自慢げに話していることでしょう。
試合にはもちろん駆けつけ、もしかしたら、友人も誘っているかも知れません。当選者を試合に集客するだけでなく、周りの友人などを誘うきっかけになるかも知れません。
ちなみに、本キャンペーンは継続して行われているようで、
2月末から現時点までの「#NYKDelta」が含まれるツイート(@thenyknicks発信のツイートは含まない)は993ありました。
(口コミ分析ツール:TOPSYでの分析)
昨年度のアスキー総研ニュースの「Twitter利用実態調査」を参考にすると、日本におけるTwitterユーザーの平均フォロワー数が174だとのこと。
日本のデータなので無理矢理感は否めませんが、Twitter内でのインプレッション数を推測してみると
RT数 × RTしたユーザーのフォロワー数(今回は推測平均値) + @thenyknicksの#NYKDeltaを含んだツイート数30 × 約100,000フォロワー
= インプレッション(タイムラインに露出された回数)
933RT × 174フォロワー + 30Tw × 100,000フォロワー
= 162,342 + 3,000,000
= 3,162,342 インプレッション
かなりざっくりした数値ですが、それでも少なくとも300万回は「NYKnicks」「Delta」の文字列が露出したことが伺えます。
■スポーツにおけるマーケティングのキーは?
スポーツチームはこのような非日常の経験を、いかにファンに提供できるか?が
今後のスポーツチームのマーケティングのキーになると思います。
ファンは少なくとも、スポーツチームや選手と関わりたいと思っていますし、
日本でも多くの選手がブログを活用していることから、以前よりも身近に感じています。
もっと言うと、ファンはチームや選手とコミュニケーションが取れることが当たり前、とさえ感じるようになっています。
ソーシャルメディアでタッチポイントを増やし、コミュニケーションを行うことは企業もスポーツチーム&選手も同じく重要なテーマです。
また、位置情報サービスと連動させたキャンペーンを行うことが、「集客」におけるキーになりそうです。
NYKnicksでは、Androidアプリを活用した位置情報関連のサービスを展開しています。
スポーツはスタジアムに足を運ばないと経験できないことの方が多く、Jリーグでも昨年はテスト的にセカイカメラを活用していました。
このようなマーケティング展開はチームの組織的な協力体制が成功の可否を決めます。
企画~実施まではかなり長い道のりかも知れませんが、今年は日本のスポーツチームでも
このような動きを展開してもらいたいと個人的には考えています。
スポーツ、ソーシャルメディア系、どんな小さなことでもお気軽にご連絡頂ければと思います。
Twitter: @TatsuyaKitano
Facebook: TatsuyaKitano